第36話 公園マスコットからのランドマークタワー
チュンチュン、チュンチュン……
「ちーっす不気味な鳥さん、最近は愛らしく感じてきたよ」
今日は天気の良い朝、
窓の外に挨拶をしつつ朝食を頂いていると、
朝からアイリス姫とフィーナさんがやってきた。
「おはようですわ」「おはようハルク」
「あっ、おはようございます、どうしたんですか」
「姫が今日は朝風呂に入りたい気分だそうでな」「お借り致しますわ」「あっはい、どうぞ」
続いてガーベラさんも入ってきた。
「園長、お話が」
「僕も相談しようなかって事が、まあお先にどうぞ」
「まずオーガの皆さん、オークの皆さんは今の所、大きなトラブルはありません」
うん、それぞれオーク会館、オーガ会館に、
管理人を設置したからね、ベラクルさんにベラーガガさん、
あのへんの魔物は強い者に従う習性があるから、アンドロイドの強さに大人しくさせられたのだろう。
「ていうか話は通じるんですね」
「族長他数名いや数体は両者ともハイオーク、インテリジェンスオークといった上位種ですので」
「そうだったんだ」「更にその上位種から下のオーク、オーガへと、ある程度の会話が」「めんどくさいですね」
でもまあ黒猫AIアンドロイドのおかげで全員と意思疎通は出来そうだ。
「まだ来たばかりではありますし、今は食事に夢中なので良いですが」
「公園内での抗争が」「異世界でそんなテレビドラマありましたね」「ハルク公園ゲートパークとかやめてー!」
「一応、それぞれのリーダーに話を聞くと、早くオークと、オーガと闘わせろと」「じゃあアレですね、平和的に戦わせましょう」
と、ふとお風呂場を見る、
いや引き戸が閉まっているから中は見られないよ!
「気になりますか」「ええっと」
「我々で良ければ一緒に入りますよ」
「いやそうゆう性癖は」「そのわりには巨乳にしたりお尻を」「フィギュアみたいなもんです」
それよりもだ、
テーブルの上に箱を置いて画面を出す。
「また新たな購入ですか」
「メールで来てたマスコットなんだけど」
「どの動物タイプに」「あの一角にゃんこをモデルにしたい」
四匹まで設定できるな、
角の生えた猫のマスコットで、
春夏秋冬で揃えるか、はるにゃんこ、なつにゃんこ、あきにゃんこ、ふゆにゃんこ。
「CVも設定できますよ」
「またまた怒られそうな」「異世界ですから怒られても大丈夫でしょう」
「例えば誰が居るの」「麻●ももサンとか井●詩織サンとか、た●やすともえサンとか」「いや最後はセクシー過ぎるでしょ」
子供に聞かせられない声のマスコットは勘弁。
とか設定して遊んでいると姫と巨女がお風呂から出てきた。
「新しい色のスウェット良いな」
「あっはい、赤と青、夏になったらジャージも出しますよ」
「それは夏用の衣服か」「まあそうですね」「それで話なのだが」「わかってますよ」
赤スウエットでフルーツ牛乳を飲む姫、
落ち着いてアイスモナカ三本喰いをするフィーナさん、
ふたり僕の対面に座った、言いたい事はもう、わかっている。
「そうか」「ええ、ちゃんとした家ですよね、道中で稼いで貰った魔石で購入可です」
「姫は立場が立場だ、出来るだけ安全な、この領地の中央に」「はい、この公園のランドマークタワーにしましょう」
「それは何だ」「象徴です、姫のための建物、家といえばこれしかありません……お城です」「まあ」「我々のか」「はい、アイリス城です」
歓喜の表情になる姫。
「嬉しいですわあ」
「五階建て、お風呂もありますし、例によって家来も、まだ少数ですが」
「本当に済まない、姫のために、私で良ければどんなお礼でもする、何でもだ」
正直言っていちいちトイレに降りて寒い外に出たり、
お風呂のために公園の正門まで通うのはかわいそうだ、
なによりウェアウルフ、オーク、オーガと来て治安も心配になる。
(だったら警備つけるより、ちゃんとした住居に入って貰った方がいい)
そして、できれば僕もそこに……
このあたり、強制にならないように、
上手く伝えなきゃな、うん、僕の気持ちを。
「……では条件があります」「ほう、言って欲しい」
「僕の、今の素直な気持ちを聞いて欲しいんです」「まあっ!」
「なるほど、そういう訳か」「はい」「姫」「是非、お聞かせ頂きたいですわっ!!」
うん、ハルク十五歳、
そろそろ覚悟を決める時、だな。
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一方その頃、辺境伯邸では……
「三人して優雅に朝食か、して鍵は」
「何を焦る必要がありましてクライヴ、とりあえず妹の魔法で領内は守られましてよ?」
「うむ、『アンロック』の魔法は十分な睡眠時間と気力体力がだ」「大魔導師『ダーナテツ』様もこうおっしゃられておりますわ」
料理を持って来たメイドを蹴るスミッペの妹、アヤッペ。
「肉が少ない、やり直しよ!」
「……スミッペ、彼女は、妹は」「なによ」
「アヤッペはちょーっと気が強いだけよ、旦那に怒って結婚指輪を捨てるくらい可愛い聖女よ」「外道だな」
とはいえ彼女の魔法で守られているのは否定できない。
「ではこの後、『秘宝』を開けてくれるのだな」
「間違いなく『アンロック』の魔法はかけるわ、安心なさいおほほほほ」
不安そうな表情を見せるクライヴ、スージー、ケティ、
この後、それは的中するのであったが、この時はまだ、
この三人を信じるしかない、それしか方法が無いと思い込んでいたのであった……。




