第4話 とりあえずの住居からのやはりエアコン欲しい
「よし、これで100個だー!!」
思わず叫んでしまった、これで荒野の三分の二くらいかな?
魔物を倒しまくってようやく魔石を三桁に乗せた、
これでゲーム序盤のお約束、雨風凌げる『タコ滑り台』の購入だ。
(箱から画面を出して、選んで購入、っと)
設置場所をちゃんと決めないとな、
水飲み場から少し離して……よし、ここだ!
「おお、出来た出来た、やっぱり大きい!」
巨大な赤いタコの滑り台、
東西南北で良いのかな四方に足型滑り台の滑るやつ、
それぞれの間に足型の階段があって、これで八本足だ。
(そして上がった所が軽く室内になっている、ちゃんと屋根付き)
あと中央に下へ降りる梯子もあって、
そこから階段と滑り台の間、つまり足の隙間からも外へ出られる、
ようは二階建てだ、うん、これでとりあえず雨は大丈夫かな、しのげそうだ。
「とはいえ、風が強くなってきて寒いな」
床はこれステンレスなんだろうか、冷たい、
あと中は当然、電灯の類は無いから夜は真っ暗だろう。
(あっそうか、公園の街灯を買わなきゃ)
夕方になる前に、
ってここ夜になったら絶対寒い、
ちゃんとした室内のある設備、出来ればエアコン付きの……
「ええっと、画面から購入メニューを……」
街灯の購入は1個10魔石か、
それよりも……購入画面を探して、あったあった、
公園で『室内があるもの』といえば、やっぱこれだね。
(簡易トイレ、男女別トイレ、男女&多目的トイレ)
多目的トイレ単品でもあるのか、
三種セットは100個で多目的のみだと50個、
内部にエアコンは……換気扇はあるけど冷暖房は無さそうだ。
「でも多目的トイレって、気密性はあるよな?」
まだそこまで寒い時期ではないから、
一晩くらいならエアコン無しでも大丈夫か?
あと他に、屋根付きなうえ冷暖房完備な公園施設といえば……
「……おっ、東屋がある、屋根のみ10個、
ベンチつきだと魔石15個、テーブルも付くと20個かあ、
半室内型、ってこれ四方のうち一辺が大きく空いてるのが50個、あとは……」
スクロールしていくと、
一番下にあったのが……!!
「六角堂?! 畳敷き、窓ガラス、エアコン完備、これだー!!」
東屋の最上位か、
しかし魔石が500個である、高い。
(六角形だけど、この室内の広さなら十分、出足を伸ばして眠れる!)
掛け軸まであるな、
よし決めた、まずは500個だ、
残りの魔物を倒して、足りなければ穴を掘ろう!!
(それも掘り尽くしたら……箱を閉じたら、また魔物が動き出すのかな)
この箱についても、
あと出て来る画面についても調べないと、
ようは立体映像型のモバイルいやタブレットいやノートPCみたいなものか?
’(でもこういうのって、弄り始めると、あっという間に時間が過ぎる)
おそらくは前世の経験談だ、詳しくは憶えてないが。
とりあえず今は、急いで魔石集めだ、500個かあ、
手間暇かかるし普通に疲れる、夜に間に合わなければ、まあ、その時に考えよう。
「よーし、憧れのエアコン付き東屋である六角堂めざし、がんばるぞー!!」
それはそうと、まだ手を突けていない方向にある、
巨大なモフモフの魔物が、めっちゃ気になるんだよなあ……
よーーーく見ると、すげえ長くて尖った角があるみたいだ。
(あずは、あそこへ行くかぁ)
右手にはピッチフォークを、
左手には蓋を開けたままの小箱を持ち、
滑り台を滑って、その魔物へと進むハルクなのであった。
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一方その頃、ハルクを追放した辺境伯邸では……
「クライヴ様、沢山の方々が集まっていますわね」
「ああスージー、表向きはお前とケティとの婚約パーティーだが、
裏ではハルク追放記念の宴会でもある、立派に踊ってくれよ」「はいっ!」
外ではその、ハルク荒野追放に使ったドラゴンが飛んで行った。
「本当にあのドラゴンを借りるのには骨が折れた、
今日のパーティーのために、王都から客人を呼ぶためという建前だがな」
「あの、クライヴご主人様」「どうしたケティ」「ハルクの死体の確認は」「かなり高い所から落とされたはずだ、問題ない」
自室でワイン片手に、
ふたりをはべらせているクライヴ。
改めて婚約者となったふたりも、うっとりとしている。
「そうですか、なら安心です」
「あんな魔物だらけの荒野、確認しに行くだけでも危険だ、
それに『そんな事』に使ったと王城に知れたら、いや、黙っていればわからないか」
コンコンッ
「誰だ、入れ」「ははっ、クライヴ様、ステファトフ様がいらっしゃいました」
「爺様か、大ババアの葬式以来だな、どれ、会ってやるか」「では私も」「わたくしめも」
「それと、ひとつ城壁周辺でおかしな事が」「それは急を要する事か?」「いえ、そこまでは」「ならば良い、後だ」
残りのワインを呑み干して部屋を出るクライヴ、
この時点では、まだ取り返しがついていた事を、
彼は知らなかったのだ、そう、徐々に城塞都市を覆う結界が、弱まっていたことを……。




