第34話 やってくる新たな客と数に備える公園居住施設
お昼に新たな自販機から、
ニチ●イのチャーハンやたこ焼きを食べる、
いや僕の管理棟なのになぜか姫とフィーナさんも一緒だ。
「このお好み焼きとやら美味しいな」
「良いですけど五枚目ですよね」「三つは私の魔石だ」
「十番勝負でライムさん相手に三勝は大したもんですよ」
一方でアイリス姫は、
昼食のパンもそこそこに、
更に設置したアイスの自販機から買ったやつでご満悦だ。
「暖かい部屋でこの冷たいお菓子、最高ですわあ」
「ハルク、今夜湯上りに食べたいと言っている」「はいはい用意しますよ」
「お話中すみませんハルク園長」「ガーベラさんすっかりここ在住ですね」「メイン管理棟ですから」
正門入ってすぐだからね仕方ないね。
「それでどうしたんですか」
「イザベラから連絡が、今夜遅くにオークとオーガが」
「もう到着ですか」「あと新たなウェアウルフさん達も」
「何人くらい」「ウェアウルフは五十一人、オーク三十二体、オーガ十九体です」
いっぱい来るなあ。
「これ、みんな定住する気じゃ」
「快適ならそうなるでしょうね」
「住居どうしよう」「ロッジを設置しますか」
「宿泊小屋ですか」「ひとつひとつは高いのが難点ですが」
家族用から二階建てまで、
なんだよこのブルートレイン付き(宿泊可)って、
そういやちらっと園内汽車って設置できるの見たな、まだ買わないけど。
(うーん、もっとコスパ良く人が泊まれる……あった!!)
なんか凄い住居を見つけてしまったぞ。
「ガーベラさん、この『県人会館』って」
「同じ種族がまとめて宿泊できる施設ですね」
「あれですよね、愛知県人会館とか、三重県民会館とか」
値段でグレードが変る、
平屋と二階建てと三階建ての三段階で、
一番良いのはホールまであるな、値段は……まあ大丈夫か。
「設置しますか」「三階建てだと百二十人も住めるのか」
「ハルク、我々の城を」「……フィーナさんの場合は『姫の城』でしょう」
「いずれ造ってくださいますの?」「フィーナさんにごり押しされたら、でもその前に今は大量の来客対策ですよ」
ということで外へ、
風に乗ってジェットコースターではしゃぐウェアウルフの声が、
そして途中でパトカーに乗って警備する蘭&来夢ともすれ違う。
「ウェアウルフのみなさーん、テントは寒いでしょう」
以下、ガーベラさんの通訳で。
「俺達は寒いのは平気だ」
「あんまり寒きゃ男が女・子供を包み込んで寝る」
「だがここのテントとかいうのは快適だ」「ていうか連れてかれたアイツはどうなった」「もう少し反省ですね」
ということで、
タコ滑り台からそれほど離れていない、
良き所に『ウェアウルフ会館』を設置した、今、公園内で一番立派な建物だ。
「うおおおおすげえ」「城だ城だ」「なんだこれは」
「皆さん今夜から、いや今からこちらをどうぞ、部屋は早い者勝ちです」
「うおおおお」「屋上は俺のもんだ」「えっ、そこ?!」「園長、見て周りましょう」
姫も中をきょろきょろ見回す。
「素晴らしいですわ、この箱は」
「一応、下駄箱なんですけどね、ウェアウルフには関係ないみたいです」
「下駄とはなんだ」「あっフィーナさん、靴のことです」「脱ぐのか」「人間なら、まあここではいいでしょ」
一階の共用部分を見て周ると、
ウェアウルフに必要ないものも。
「あっ、ここに出来た、ランドリールーム」
「少し聞いたが洗濯が出来るのか」「はい、ってウェアウルフさん入らない、風呂は別にあります!」
「では服を洗う時は、ここを借りれば」「管理棟に設置しておきますよ人間用」「こちらのが近いのだが……そんな顔をするな」
食堂はキッチンがあるが、
ウェアウルフの料理姿とか想像できないな、
魔石自販機を沢山設置して食料を買えるようにした方がいいな。
「さすが三階建て、会議室が三つも、あと突き当りはホールか」
入ると壇上で大の字のウェアウルフが。
「ここは俺がとったぞ、俺の棲家だー!」
「いや持て余しますよ、二階三階に快適な宿泊部屋がありますから」
「何があるんだ」「ベッドですよ布団ですよエアコン付き、まあ行けばわかりますよ」
ガーベラさんを見る僕。
「そうですね、施設管理人をひとりは出しましょう」
「一体で大丈夫かなあ、過労死しなきゃいいけども」
そして地下は男女別のお風呂だ。
「まあ」「姫、やはりこちらの方が」「毛だらけになるよー?!」
やばい、
ちょっとウェアウルフに姫とフィーナさんを取られそう、
正確にはウルフ県人会館にだけど……さてさて、どうしよう。
(寂しいけど、姫とフィーナさんの、それこそ『お城』も、建てないとね)
それで、もしあるなら、僕の気持ちも……。
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一方その頃、辺境伯邸では……
「報告します、先ほど、辺境伯領内、全てのゴーレムの崩壊が確認されました!」
「うぬぬ、孫よ、腹を決めろ、ワシは命を賭けてもここを守りぬいてみせるぞっ!」
「お爺様……スージー、ケティも」「は、はいっ」「かしこまりました」「時間を……時間を稼げば!!」
気合いを入れるクライヴたち、
いよいよ周囲を取り囲む魔物達が、
本格的に辺境伯領へ足を踏み入れようとしていた。
(くそっ、こんなことなら、まず最初にハルクに、秘宝を開けさせるべきだった!!)
間違った後悔をしているクライヴ、
そもそも追放しなれば、無能だからと蔑ますような事をしなければ、
などという事実に気付く事は無いだろう、なぜなら無能なのは、異世界人だったのだから。
「クライヴ、信じているわ」「ああスージー、魔法攻撃を頼む」
「回復はお任せ下さいクライヴさま」「ケティも、頼りにしているぞ!」
こうして『城塞都市・最後の戦い』その序章が、始まろうとしていた……。




