第31話 突然の訪問からの新たな種族情報
「失礼する」「ちょ、フィーナさん!」
「お邪魔しますわ」「アイリス姫も、どうして管理棟に」
「お風呂が出来たと聞きまして♪」「あっ、情報、はやっ!」
そう、あれからイザベラさんベラドンナさんが狩りに出かけ、
新たに魔石が溜まったものだからお風呂を追加した、
そこそこ広く、僕と姫と巨女が三人で入れるくらい、いや狙っている訳じゃないけど。
(で、お風呂から出て落ち着いてたら、来ちゃったんですよ)
購入情報をガーベラさんあたりから聞いたのだろうか、
足湯は今やキャンプで来ているウェアウルフがやりたい放題、
とても全身を浸けてなんていられない、お湯飲むついでに身体まで舐められそう。
「すみません、あの二階ってオプションでもお風呂つけられないんですよ」
「ああ、二件隣の地下にもなかったな、シャワーすら」「ええっと、あ、牢屋ですか」
「それではハルクさま、お湯をいただきますわね」「良いですけど僕が入った後ですよ」
気にしない、といった感じで引き戸を引いて脱衣所へ、
しっかりフィーナさんがガードするかのようにして……
いやいや十二歳相手にそんな、といっても僕ハルクは十五歳だ。
(前世って、何歳くらいで死んだんだっけ)
相変わらず詳細は思い出せない。
バスタオルや換えの下着とかは持参みたいだな、
そういえばまだランドリーとか無いので明日には設置しよう。
(フィーナさんが手洗いで干してたな)
あっ洗剤?多目的トイレにあるんですよ、
手をかざせばちょろっと出るやつ、あれ使ってるみたい、
わざわざ衣服を持ち込んで……ていうか服について思った、もっとこうですね種類というか……
(色違いが、欲しい!)
せめて『ハルクパーク』のロゴの色を、
濃い緑だけじゃなく、青と赤とか、まあ魔石が溜まったら。
ガラガラッ
「失礼、これは何だ」
「あっ、ええっと安全カミソリですね、お風呂設置で買えるようになった」
「使い方は」「髭を剃るんですが、女性の場合は脇も、ってその」「なんだ」「いえ、そのですね」
見えちゃってるんですけどおおおおお!!!
「姫は見るな」「そっちは見てません!!」
「……こう使うのか」「そうですそうです」
「姫にはまだ早いな」「フィーナさんが使って下さい」「ああ、そうしよう、短剣も無い事だしな」
普段はそうやって脇の処理をしてたのか……
まあいいや、ふう、どきどきしたなぁもう、
巨女のたわわ、その破壊力は凄まじいものがある。
ガラガラッ
「洗剤がふたつもあるのだが」
「シャンプーとリンスですっ!」
「服を洗うのにも使って良いか」「いいです、ていうか明日にはランドリー設置しますからっ!!」
もう、これわざと見せに来てないか?!
(顔は無表情でも、内心は面白がっていそう)
遊ばれていると同時に、
姫の防波堤っていうつもりもあるんだろうな。
ガラガラッ
「それとこれはガーベラから聞いたのだが」「胸をしまってくださいっ!」
「ウェアウルフによれば、さらに奥に住んでいる種族が居るらしい」「えっ、猫獣人とか?!」
「いや、オークにオーガだ」「豚の魔物と鬼の魔物じゃないですか!」「ティムすれば良い」「僕は魔法は使えません!」
でもまあ友好的に、
お客さんとして来てくれるなら……アリかも?
明日、ガーベラさんに相談してみようっと、まだまだする事はいっぱいだ。
ガラガラッ
「それと」「風邪ひきますよ?!」
「ハルクの使っているその布団とやらが欲しい」
「あーはいはい、一応、なぜか四セットあったから良いですよ」
ランドリーも、
布団丸洗いできるやつを設置しなきゃ。
ガラガラッ
「後で私が」「もういいですってば!」
「なんだ、マッサージしてやろうと思ったのに残念だ」「えええ」
……引っ込んじゃった。
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一方その頃、辺境伯邸では……
「なんだスージー、眠れないのか」
「ねえクライヴ、これからのクライヴとの思い出、いっぱい作れるわよね?」
「どうした、なぜ今更そんなことを」「……私が選んだ道が、間違いじゃないって言って」
そっと後ろから抱きしめるクライヴ。
「ああ、俺を選んだ時点で正解だ」
「そうよね、もう引き返せないもの」
「ヤツは死んだ、それが答えだ」「クライヴ……」
ケティも心配そうな表情だ。
「私ももう、生涯クライヴさまにお仕えすると決めました」
「ああ、正しい決断だ、何も一緒に死にに行く必要は無いからな」
「ですから、どうか、どうか正しい証明を」「わかっている、のちの笑い話になるさ」
まだ余裕を見せようとするクライヴ、
しかし三人とも、いや辺境伯家自体が、
取り返しのつかない誤った選択をしていたことが、のちに判明するのであった……。




