第21話 管理者増強からの園長権限
「ふう、改めて500個溜まった」
お昼を挟んで夕方、
何度か姫のために魔石を使ったせいで、
紆余曲折あって増減を繰り返した末の500個達成である。
「おめでとうございますハルクさん、これで二体目の管理者を出せますよ」
「二人になるとどうなるんですか、ガーベラさん」「役割を分担させられます」
「例えば」「掃除係、料理係、保守点検係、農作業……」「あっ、元の領地に居たゴーレムが!」
つまり、そういうことか、
城壁修理と農作業しかする所を見てなかったが、
ひい婆ちゃんの言う『最低限』のさせられる仕事だったのだろう。
「見た目は違っても、やることは同じですよ」
「アンドロイドでも?! 黒い板のやつ」「中から腕が伸びますよ」
「ちょっと見てみたい気も」「もう最初に選んだこの猫タイプしか、リセットされれば別ですが」
ようは僕に所有権が移った時、
引継ぎ作業みたいなのしかなったからリセットされたのかな。
「ガーベラさんに聞いても良いのかな」「はい、何でしょうか園長」
「僕がここに捨てられて死ぬーってとき、手元に小箱が出現したのですが」
「所有権の自動移行ですね、本人の意思なく遠くに離れ過ぎて行ったので」
そういえばひい婆ちゃんが生前、
鍵を何重にもかけていた箱に仕舞っていたはずだけどコレ、
確かダイヤル式ので……最後の番号のヒントを聞いた気が。
「じゃあワープして来たんですね、瞬間移動」
「正式な手続きでは無いので問題が」「えっ?!」
「最も、こちら側には問題は無いのですが」「はあ……」
じゃあ、元の城塞都市に何かあると。
「それで、追加の管理人はいかがなさいますか?」
「あっそうでした、おすすめは」「運営秘書をカスタマイズできますよ」
「えっ、人を?!」「アンドロイドです」「ええっと」「CVも調整できますが」「いやいい、どっかから怒られそう」
そういえば思い出したな、
ただ、とりあえずもっとこう実用的なのが良い。
「……思い出した、勝手に敵を狩ってくれて魔石を集めるアンドロイドが」
「狩猟係ですね、ピッチフォーク付きです」「それって範囲外も」「ええ、倒す敵も選べます」
「なんでまた」「レアモンスター収集機能もありますので」「あ、あったあった、そういうことも出来るゲームだった」
じゃあむしろ、
倒さない敵を選ぶって感じか。
「じゃあ、ええっと」「二体目なので250個です」
「まあいいや、あっ、戦闘服っぽい黒猫戦士、でも持っているのはピッチフォーク」
「ちなみにスコップも持っています」「穴掘りも出来るのか、じゃあこれ購入しますね」
選択してっと……
「ああっ、指がすべって巨乳タイプにいいいい!!!」
まあいいや、
ガーベラさん無反応だし……
箱の口を前の地面に向けてっと。
「……初めまして、イザベラと申します」
「うん、早速だけど敵意の強い魔物を狩ってきて魔石を、
ただレアなのは除いてね、例えばあそこの……あれっ?!」
野良にゃんこ、
子供三匹が魔物肉を焼くフィーナさんの周囲をうろうろしているが、
母親が居ないな、トイレかな、森の中でしてくれているんなら、ありがたいが。
「フォレストホーンキャットですね」「種類あるんだ!」
「希少度Sです、牧場が出来たらコレクション対象になりますよ」
「うん、アレは狩らないねね」「記憶しました、それでは狩って参ります、肉は」「美味しいのだけ」
こうしてピッチフォーク片手に、
森の中へ入って行ったイザベラさん……
残ったガーベラさんと一緒に肉を焼くフィーナさんの元へ。
(姫が六角堂から出て来た!)
うん、グレーのスウエットが、かわいい。
「ハルク様、今日もご苦労様でしたわ」
「あっはい、ところでパンのお味はいかがでしたか」
「この、うぐいすパンというのが美味で」「公爵令嬢のお口に合って、良かったです」
用意されているパンをもう手に取った、
自販機でガンガンに買ったからね、十二種類全部。
「さあ姫、焼けました」「まあ美味しそう」
「「「みゃあみゃあみゃあ」」」「お前たちは次だ!」「「「ふにゃぁ~~~」」」
可哀想に……
って、次ってことは僕よりもかよ!!
「姫、今夜のジュースは」
「ジャスミン茶で!」「ハルク」「はいはい」
顎で使われてジュース自販機で買う、
ガーベラさんに教えてもらったんだけど、
投入口にわざわざ魔石を入れなくても小箱タッチで行ける、出す手間が省けていいや。
「フィーナさんは」「水飲み場の水で良い」
「いや、それは」「その魔石は姫の分に回してくれ」
「僕の奢りで良いですから」「では、姫と同じものを」「はいはい」
買いながら思った、
あっこれ姫にあげちゃうやつだ、と。
(僕は僕で普通のお茶にしよう)
取り出していると姫が言葉を足す。
「ではジュースではなくスープの方は、コーンクリームスープで!」
「私も同じのだ、合計四本頼む」「はいはい、おすすめの『しじみ汁』はいつ飲みますか」
「あとお風呂上がりにココアジュースを飲みたいのですが」「はいはい、こぼして畳を汚さないで下さいよ」
もはや僕は財布状態である。
(公爵家と辺境伯家って関係性だと、仕方ないのか……?!)
さあ、夕食だ、
いただきまーっすっと。
「それでハルク、あの小屋の暖かくなる魔道具だが」
「ハロゲンヒーターですね」「ひとつ、くれないか」
「良いですが、更にってことですよね」「姫が入浴中に、傍に置きたい」
あー、外はまだ冷えるからね、
ヒートショック対策ってやつかな?
「わかりました、ってガーベラさん」「はい」
「足湯って裸で全身浸かっても、怒られませんか?」
「園長が良いと言えば」「僕?!」「はい、日本の法律は適用されませんから、公園法に準じた設計ではありますが」
つまり園長権限かぁ。
「じゃあ、正式なお風呂が設置できるまでの特例ということで」
「記憶しました」「なるほど、では私からも頼みが」「フィーナさんからも?!」
「あのトイレ、長時間居ると鳴るのを止めて欲しい」「……何やってたんですかフィーナさん」
まあ、一人になりたい時間もあったんだろう。
「園長の許可があれば」
「ええっとフィーナさん、どうするつもりですか」
「今夜は私は、そこで寝ようと」「そんなトイレですよ」「広いのが良いし、ハルクにこれ以上、迷惑はかけられない」
そんな迷惑だなんて、
ってそれ言うなら姫の浪費を勘弁して欲しい、
まあフィーナさんの特大スウェットは僕の希望だけど。
「でしたら開園記念で、クリスタル150個で良い物が造れますよ」
「えっガーベラさん、それは何でしょう」「それは……公園消防本部です」
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一方その頃、辺境伯邸では……
「おーっほっほっほ、殺風景な部屋ね」
「ま、まあ、亡き弟が使っていた部屋で、それで侯爵令嬢」
「何かしら我が夫となるクライヴ殿」「まだ聞いてないのだが、名前は」
ふふん、と巨乳を揺らし胸を張るお嬢様。
「アップヒル侯爵家令嬢、スミッペよ!」
「ね、年齢は」「二十四よ、喜びなさいっ!」「は、はあ」
三十四歳では、という言葉を胸に秘めたクライヴであった、
スージーが冷や汗をかくクライヴの耳元で、小声でささやく。
「ど、どうなさるのですか、あんなの」
「とりあえずは、ここで自由にさせるさ、とりあえずだ」
「そこのメイド!」「は、はいっ」「何か甘くて暖かい飲み物を」「はいっ」
そして顎で使われるケティ、
この状況に頭を痛めるクライヴだったが、
しかしこの先、もっと頭を痛め続ける事が連発するのであった……。




