第2話 異世界転生からの記憶復活
荒野の地面に落下、
叩きつけられそうになった瞬間、
僕の手に突如現れた箱を開くと、急に身体が止まった!
(いやこれは……時間が、止まっている?!)
と同時にまるで箱の中から見えない何かが、
僕の頭へ流れ込んでくるのがわかる、いやなぜわかる?
そう認識してしまっている、凄い勢いで……そして徐々に思い出す。
(あっ、これは、僕いや俺の……前世の記憶だ!!)
そう、俺の名は『緑園 春暮』園芸好きの日本人だ、
でも死んで、俺の希望する緑あふれる異世界に転生した、細かい理由はわからない、
いやこれ思い出せないようになっているな、つまりは消されているっていうことか。
(思い出して良い部分と、悪い部分があるのか)
と同時に止まった瞬間のまま、
箱の中から半透明の立体スクリーンが映し出される、
そこにはこう書かれていた……『クリエイトパークへようこそ』と。
(これって、前世でやった公園造りゲームだ)
決められた場所で穴を掘ったり魔物を倒したりして、
クリスタルというアイテムを通貨にして公園を進化させていくという、
最後はとんでもない規模の公園が造れる、それがここで出来るってことか?!
「STARTとSAVE DATAがある、でも進化しまくってたぞ?!」
そう、最後にやった時は『宇宙要塞公園』だった、
そんな続きからやったら一気にSFっていうか、この星を滅ぼせる。
(でも命が助かるなら……えいっ!)
SAVE DATAを指でクリックすると……!!
『DATAがありません』
ですよねえええええ!!!!!
(いや、このままでは死んでしまう)
STARTをクリック!!
『GAMEを開始します、MAPを選んで下さい』
おお、いつものだ!
確か最初は草原……って荒野?!
右にスワイプすると……うん荒野だ、
左も荒野、上も荒野、下も荒野、って荒野しかない!!
(いや、宇宙とかあっても困るが)
これ全部同じ荒野だよな、
よく見ると俺が落ちようとしている荒野だ、
つまり、ここを何とかしろと……よし、クリック!
『マップ内の魔物は動きが停止されます』
……うん、確かに荒野に魔物が結構居るな、
中には落ちてきた俺に向かって走って来ているのも、
これ喰う気満々だな、落ちて飛び散った肉が目的か。
「うっわ、目が三つの魔物かぁ」
これ突っついたら動き出すとかないよな?!
ていうかまず俺が下に降りないと……両手に持った箱に念じる。
(ゆっくりと降ろしてくれ)
すると本当に降ろしてくれた、
そして箱をまじまじと見ていると思いだす。
「これ……ひい婆ちゃんがずっと大切に持っていた箱だ」
と同時に、ハルカ婆ちゃんの子守唄を思い出した。
(あれ、あの曲……今ならわかる、全部CMソングだ!)
静岡のサファリパークとか、
東京のカステラ屋さんだとか、
新宿の駅前にある電化製品のとか。
(つまり、異世界人の先輩……名前もハルカだし)
春香、晴華、陽佳、遥、刃留火ってどこの女総長だ、
とにかく俺にずっと歌ってくれていたってことは、多分、
俺が同じ異世界人だってわかってた……でもなぜ、どうやって?
「とにかく、今このストップ状態をどう……って雲が普通に流れているぞ」
地上の魔物だけが止まっている、
いや普通に睨まれたから動けないだけか、
これ急に動いたりしないよな、武器は無いものか。
(あっ、思い出した!)
これがゲームと同じなら、
スコップと干し草を刺して運ぶ巨大フォークみたいなやつが地面に突き刺さっているはずだ、
突っ込んできた豚やイノシシをその農作業フォークで刺して倒していたな確か、マネするか。
(……ないな、どこにも刺さってない)
スコップなら、あっちこっち掘ればクリスタルが、
フォークなら突っ込んできた動物を刺せば肉とクリスタルが手に入る。
「箱さん箱さん、初期装備のスコップとピッチフォークをください」
あっ、箱から飛び出て地面に突き刺さった!
この小さい小箱からどうやって、でも実際に出た、
あれか、タヌキっぽい猫型ロボットのポケットみたいなものか。
(これでこの魔物を倒せば……!!)
めっちゃ睨まれてるが、
やるしかない、えーーーーい!!
「背中から、シュート!!」
突き刺すと、
あっさりと身体が裂けて、
中からクリスタルが、あっこれは!
(ハルクとしての記憶だと、この世界の言い方だと『魔石』だ!!!)
ゲーム内と呼び方が違うのか、
それはそうと肉はゲームだと焼いて食えるんだよな、
確かゲームだとクリスタル10個で『BBQセット』が買えるはず。
(箱の空いた部分を上にし続けると、そこから半透明のパネルが浮いて出る!)
購入メニューがあるな、
アイテムから建物から遊具もある、
安いのが『バネ遊具』乗って前後にびよんびよん動くやつ、魔石1個。
「うーん、とりあえず止まっている魔物、全部倒すかぁ」
よし決まった、
まず最初の仕事は魔石集めだ、
そして食と住の確保、本格的に考えるのは、それからだ。
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一方その頃、辺境伯邸では……
「さあ、これで邪魔者は片付いた、あとはあの『秘宝』をクライヴ、お前に受け継がせるだけだ」
「父上、しかし五桁の暗証番号を」「ハルカ婆様が死んだ時からすでにやっておる、時間の問題だ」
「だそうだスージー、ケティ」「はい、もうあのハルクは今頃」「魔物の餌だろうな!」「気分が良いです、ご主人様」
しかし彼らは知らなかった、
もうすでに、破滅へのカウントダウンが始まっていたことを……。




