第11話 曾祖母からのメッセージ
『ハルクへ これを読んでいるということは、私は死んだのでしょう、
きちんと手渡しで受け継いでいますか? そうでなくてもこの箱はあなたのものです、
なぜならこれは、異世界人から異世界人へ受け継がれる物なのですから、異世界とは「地球」のことです』
……これを読んで改めて確認する、
僕が居たのは、地球の、日本という場所だ、
そして曾祖母も、ハルカお婆ちゃんも、間違いなく……日本人!!
『この箱は、異世界転生のご褒美として異世界人がリレーで繋ぐ道具です、
具体的には「公園造りゲーム」を、本当に魔法のような形で出来てしまう、
もちろん対価は必要です、魔物の出す魔石、それをこの箱に入れる必要はありますが』
うん、それは僕も把握している、
日本でそのゲームは、さんざん遊んだから……
『実は辺境伯領の要塞都市は、私がそうやって造り上げたものなのです、
ただ私は出来るだけ「この世界のもの」で街を作りたかったため、異世界の物は極力避けました、
しかし新しく造られるのであれば、それはもう自由にしていただいて構いません、一度リセットするのも手でしょう』
うん、事実上、リセット『させられて』今の状況がある、
というかあの立派な城塞も、それを保守しながら防衛するゴーレムも、
この箱、街造りゲームいや公園造りゲームによるものだったという訳か。
『ちなみに私の前の異世界人は王都を発展させました、歴代陛下はその子孫です、
ですから何か困った時は力になってくれるかも知れません、その話は私が受け継いだとき、
この手紙で知ったのですが、結局、それに頼る必要はありませんでした、今となってはそれで良かったと思っています』
更に前の異世界人、
その情報を聞きに行くのも面白そうではある。
『私が幼い貴方に伝えた異世界人同士のメッセージとして、
元の世界のCMソングを子守唄として伝えたのは今ならわかっていただいてるかもしれません、
最も半分は、私の地元、名古屋のローカルCMなので、出身地が違えば理解して貰えないでしょうが』
あー、言われてみれば、
異世界人だ日本人だって理解しても聞いた事の無い曲が多数あったな、
何でも貸しますとか、アサヒなんとかカメラとか、御婚礼家具ならなんとか町とか。
(ひい婆ちゃんの子守唄は、独特すぎて全部憶えてる)
ていうか断片的に前世の事を色々と思い出し始めたような、僕も。
『この箱はあまりにも持っている力が強すぎます、
箱を開けている間は魔物は近寄せません、逆に近づいてから開けると、
その範囲内の敵を生きたまま縛り付ける事が出来ます、それを使って狩る手もあることをお教えしておきます』
ハルカお婆ちゃんわざわざ親切にありがとう、
でもそれ、もう自然にやっちゃったんだ……本当に強力だ。
『後の詳しい設定、操作方法等はこの画面をよく調べれば出てきます、
画面が見られるのは異世界人だけです、貴方が異世界人だとわかったのも、
私が操作している画面を認識できたからですよ、本当のひ孫のように可愛いハルクは、心の癒しになりました』
うん、幼い頃から本当によく可愛がって貰った、
前世を思い出してからは、きっと寂しかったのだろう。
『最後に、この箱は自分の思い通り、本当に自由に使って下さい、
私は急な文明の発展は良しとしないため控えましたが、貴方が望むなら、
どんどん好き放題やっても構わないと思います、それが、異世界人の特権なのですから。 ハルカこと冨田陽歌より』
はるかってそういう名前だったんだ、
俺はハルクだけど春暮だ、苗字も違うから赤の他人かな?
結婚してどうこうっていう線もあるけど……とにかくこれは受け継いだ。
(……待てよ、これがあるから魔物は入ってこれない、と、いうことは……)
まあいいやメッセージは受け取った、
後は、ひい婆ちゃんの言う通り、好きに自由に使って生きよう!!
「ということでぇ、まずは、今後の、お買いものチェックだ!」
衣食住を頑張って揃えるぞー!
それはそうと、早く雨が止まないかなあ……。
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一方その頃、辺境伯邸では……
「なるほど、王都ではそのような騒動が」
「はい、王家の遺産、いまだ解明されていない『エアコン』の技術を盗もうとした一派、
その責任者とされる『姫』の追放処分、その先が」「こちらの、あの荒野という訳だな」
ウィリパテル辺境伯当主が執事から説明を受けている、
それを一人、今日は正妻スージーも側室ケティも傍に置かず聞いていた次期領主、長男のクライヴ。
「父上、その姫とやらが美しいのであれば、この私の側室に」
「いや犯罪人だ、火傷では済まない、処分することに意味があるようだ」
「では名前を変えて」「そんなリスクより、もっとマシなのを呼んできてやる」「本当ですか!!」
すでにスージーという弟の婚約者を奪っておきながら、
しかもメイドまでも強奪しておいて、更に欲を出し欲するクライヴ、
そして追放され、捨てられるためにやってくるという『姫』……それぞれの運命や、いかに。




