第8話 高難易度ダンジョン
「おはよう」
「……」
「……何か、不服そうだね」
「行こっか」
「何処へ?」
彼女の身体が光ると、地に大きな魔法陣が展開される。
光が強くなったと認識し、それが弱まると、別の街にいた。
「はぁ……魔法って便利だねぇ……」
俺が魔龍に到達するのに8日間。
どこぞの遠い街に一瞬。
俺の今までは何だったんだ?
手を引かれ、どこぞへと走り出す。
着くと、冒険者支援施設の看板が、古びた焦げ茶色の建物の上に付いていた。
さっそく登録しようってか。
「それと、ちょっと仲間も募集したい」
だから、この少女には、心を読む力でもあるんか?
先に入って行ったエレナの後を追って、のろのろと入り口をくぐった。
誰もいねぇーな。
受付で、登録の案内を受ける。
つーかこのまま、俺は冒険者になっちまうのか?
「楽しそうだね。流水」
「お前がな」
ブレスレット型、指輪型、ネックレス型など、好きなのを選べるが、そこに何やら、魔法システムが組み込まれていて、冒険に関するあれこれは、それで管理されるのだとか。
魔法ネットワークみたいなものが世界中に構築され、それを介して、メインシステムに繋がってるとか。
そんなのあったのね。三年も旅してて、知らなかったわ。
孤独な旅を思い出す。
ただ、強さのみを求めて旅をする。
おかげで強くなれたが、それ以外の殆どを、捨てて来たように思う。
「さて、次は何処へ行くでしょーか?」
「知らねーよ」
「この近くに、ダンジョンがあるの。高難易度の。まずはそこで、肩慣らししてみない?」
「……それはナメて掛かって死ぬやつじゃないのか?」
俺の意見は黙殺され、そこへ向かうことになった。
何か段々、はめ込まれてる感じがする。
そして俺にしては初めての、ダンジョン探索が始まった。
と、思ったが、そこは一階層しかなかった。
それが、どこまでも、奈落の底までも深い。
そして広い。
そこに散在して飛び交う赤いドラゴン達。
「マジかよ……」
「大丈夫」
「死ぬやつじゃん」
「死なないよ。まず私がやってみるから、見ててっ」
そう言うと、少女は飛び降りた。
「おいっ」
落ちてきた存在に気づいて、洞窟内のドラゴン達が少女の方を向く。
ドラゴン達が振り向いた時には既に、少女の前に雷撃の光球が出来上がっていた。
次の瞬間、広大な洞窟中に、巨大な稲妻が、一瞬で放射した。
物凄い爆音。
うるせぇ!! 鼓膜破れるって!!
光の後、近場を飛んでいたドラゴン達が、全て絶命して落下して行く。
少女の姿がなかった。
「ちょっと、やり過ぎちゃった」
隣りに居た。
飛べるのか?
「いや、俺の出番なくなって良かった」
「何でかな」
「死ぬやん」
三年で、だいぶ強くなったと思っていた。
だが、この天才魔法使いの少女は、その三年で、数段上を行っていた。
圧倒的。
俺だったら、一体倒すので手一杯だ。
努力する天才ってのは、これだからなぁ……。
大丈夫なのか? このパーティ。
まだ二人だったが。
何とかなるものなんだろうか?
前途は全くもって、未知だった。




