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第1話 光と静寂の森

 旅に出た。ザック一つに手早く荷物を詰め込んで、そのまま駅に。

 列車に揺られる。吹き過ぎる風景。陽光に輝く世界。


 ふと、ある見知らぬ駅で降りる。

 周囲に民家も見当たらない自然の風景。


 少し涼やかな風に吹かれながら、あてもなく歩き始めた。




 少し日が陰ってきた頃、青年は森の中を歩んでいた。

 旅の目的はない。

 ただ突発的に、旅に出たくなったのだ。


 月明かりが、森の中を照らしている。

 キャンプ道具など持っておらず、ただ歩くしかなかった。


 時折休憩を挟み、どれだけ歩いたか、辺りに朝日がさしてきた。


 静まり返る森の中、木々の間から、光の筋が射し込んでいた。


 突如、風が止んだ。

 森そのものが息を潜めたような、異様な静けさが訪れた。

 余りにも静かだった。


 唐突に、背後に気配を感じた。

 そこに狼のような魔物が飛びかかってきていた。

 牙が首筋に触れる寸前、身体が勝手に動いていた。


 前方に倒れ込むように避けると、そこに狼のような姿をした生物がこちらに、鋭い眼光を向けていた。

 異様な程に、目が赤く、血走っている。


 狙われていたのは、首筋だったように思う。直感だが。


 次の瞬間、新たな攻撃に移る魔物のような狼。

 魔物と言うしかないほど、ゴツい体躯をしている。


 ——速い。

 目で追えない。


 飛び跳ねて頭を狙ってきた顔に、反射的に右拳がヒットしていた。

 地を横滑りして着地する魔物。

 あまり効いてる感触ではなかった。


 これでも地元では、武術道場に通い、長年の修行の末、達人レベルまで到達している。


 陽光に照らされる世界で、その魔物まで光に照らされ、神々しくさえ見えてしまう。

 だが彼? は、青年を殺そうとしている。


 こんな綺麗な世界の中で、まるで殺意すらも美しい。

 そう感じてしまいそうになる。


 さっと見回せば、見える範囲に三匹いる。


「ここは……何処なんだ?」


 連携をとり、襲いかかってくる魔物の狼達。

 避ける、いなす、殴る、切り裂かれる、血が滲み出る。


 そこで突如始まった殺し合い。

 相手に鋭い爪と牙があるのに対して、こちらは拳と蹴り。


 死の未来を感じた。

 自分の極めた武術は、こんなにも弱かったのか?


 そこから始まる死闘。次第に増えていく傷。

 血だらけになり、ようやく1匹だけ、撲殺に成功する。


 二匹が、少し怯む様子を見せる。

 それから少し、応酬を続けると、二匹は諦めたのか、踵を返し、走り去って行った。


 「はぁ、はぁ、」その場にぶっ倒れる。

 ヤバイ。出血多量で死ぬ。

 気が遠くなり、そのまま意識を失っていく。


 再び、森は不自然なほどの静寂に沈んでいた。

 これは……死んだかな。


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