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夜空の誓い

作者: BH
掲載日:2025/09/01

父と母を亡くして半年。

まだ塞ぎ込んでいる弟に、夏の夜を見せたかった。


幼い頃に家族と来た花火大会。

それは両親との大切な思い出だった。

あの時と同じ、懐かしい屋台の明かりが目に映る。


焼きそばの匂い、金魚すくいの水音、遠くから響く太鼓の音。

人波に押され、思わず弟の手を掴んだ。


「はぐれたら困るでしょ」


言い訳のように口にしたけれど、本当は自分が不安だった。

一人で弟を見てきた。十分にやれているはずなのに、不安はいつも胸に潜んでいる。


握った手は、わずかに温かかった。

しかし弟はすぐにその手を振りほどく。


「……子どもじゃないし」


聞こえるか聞こえないかの小さな声。

私の一歩後ろを歩き始める。口数の少ない弟らしい態度だ。


私は思わず振り返る。

人混みの中でも、彼の姿はすぐに見つかった。

無言のまま、確かに私の背中を追いかけてきている。


安堵と、少しの苛立ちが同時に胸に広がる。


夜空に、大きな花火が弾けた。

弟が花火を見上げている。


私の見たかった笑顔。


でも彼は何も言わない。

ただ横で、少しだけ肩を寄せるように立っていた。

無口で、不器用で――それでもそこにいる。


夜空に散った光は、やがて闇に溶けていった。

私は無理やり弟の手をぎゅっと掴んだ。


「みててね……大丈夫。私、この子は守るから」


星空の下で、私は胸に誓いを刻んだ。

───

※インスト曲をYouTubeで公開しています。

ご希望の方はこちらからどうぞ:

[夜空の誓い](https://youtu.be/-eT7dv5Jf78)

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