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絶対どぎついやつやと思われとんやん!

 扉の前で、今か今かと先生に呼ばれるのを待っているのは...そう、うちや!



 ってそんなテンション上げとる場合なん!?

 今日はとりあえず調子に乗らずに行こうって決めたやん!

 素のノリは前の時の学校でも仲良い友達にしか見せてへんかったんやからここでもとりあえず何人か仲いい友達作って後は普通に生きようって決めたやん!

 なんでこんな直前で調子乗り出しとんの?

 このアホが!

 そんなんやから関東人になめられるんやで!?

 本音が隠せへんとか思ったことすぐ口に出すとか短気とかって思われるんやで?

 ちょっとぐらい辛抱せえや!


「...入ってきてください。」


 おっと、呼ばれてもうた。

 ともかくや。

 東京の学校まで来たのにいつまでも関西人してたらあかん。

 郷に入ったら郷に従え、って言うしな。

 わざわざこんな所で関西人アピする必要はないんや。

 だからこの場所になれるまでは大人しい子ぶっとかなあかん。

 ちょっとの辛抱や。

 友達が出来たらそいつらと上手い感じに絡んで楽しかったなで終わりでええ。

 だから、今は絶対目立ったらあかん!

 ましてや関西弁使いまくるとかもっての外!

 うちは心に決めたことはやり切るんや!

 頑張るで!




 ...と思ってたんやけどなぁ...。

 みんなあんぐりしてもうとる。

 いきなり関東の人にはキツ過ぎるツッコミやったんかもしれん...というかそもそも禁止って言ったやん!

 なんでツッコミ入れて関西人丸出ししとんの!?

 アホなん?

 自分の素ぐらいちょっと隠せや!

 最初は出来てたのになんでいきなりそういう事言うん?

 教室静まりかえっとるやん!

 あほが!


「あ、チャイム鳴るので席決めますね...壮太郎くんは...一番後ろの窓側の席でお願いします...。」


 あの〜、先生喋ってくれたんはとっても嬉しいんやけど、危ないもん見る目をこっちに向けんといてくれんかな...。


「分かり...ました。」


 返事した時にはみんな我に返ってるからか分からんねんけどさ...今更遅いみたいな雰囲気出さんといてや!

 お前敬語しゃべれへんのちゃうん?みたいな顔しやんといてや!

 ううう...みんなの視線が痛い...。

 絶対終わった...。

 全員うちのことどぎついやつやと思われとんやん...。

 誰も話しかけてくれんやん...。

 はぁ...。

 とりま席行こう...。

 多分話しかけられへんやろうし、隣のやつに腫れもん扱いされるやろうけど...。


「えーっと...よろしくね?壮太郎君...だったっけ?」


 と思っていたが、以外にも、席座ったら横の人が話しかけてくれた。

 こんな浮いてるやつに話しかけるなんて相当度胸あると思うんやけどな...。

 まあええわ。

 もうこれから1年ボッチ確定してるから、今ぐらいは転校生特典にあやかろう。

 もう標準語使うんは...もうええか。


「せやで〜。うちの名前壮太郎っていうねん。自分の名前なんて言うん?」


「じぶん?壮太郎くんは壮太郎だけど...。」


 え?話し通じとらん?

 なんで?

 別に標準語でも伝わるように分かりにくい方言は入れてないはずやで?


「えーっと...どの部分が分からんかったん?

 なんか変な方言入ってた?ならごめんやけど...。」


「いや...分かるには分かるんだけど、どう答えればいいか、分からないというか...。

 ごめん!もう一回言ってくれない?もしかしたら私の聞き間違いかもしれないし...。」


「う、うん。分かったわ。

 自分の名前、なんて言うん?」


「だから壮太郎君は壮太郎君でしょ。」


 え?

 なんかなんか怒られたような気がするんやけど。

 何で伝わらへんの?

 自分の名前...ってあ!


「もしかして自分って、うちのこと指してると思ってたん?」


「え、そうだけど。逆に何があるの?」


 まじで?

 これって関西弁やったん?

 うっそやろ!?


「自分って他人のことも指すんやけど...関東やったら自分は自分しか無いんやな...。」


「へえー、逆に関西では自分ってあなたとかの意味もあるんだ。

 知らなかった〜。」


 うちはめちゃくちゃ軽いカルチャーショック受けとんねんけど...。

 やっぱりいつかこれやったらボロ出してもうてたかもしれんな。

 まあそん時はそん時やったやろうけど。


「まあ、そういうことなら、私の名前は水瀬明希。よろしくね?」


「ああ、うん、よろしくな。」


 その瞬間、初めてちゃんと水瀬さんの全体を見て話したんやけど...なんというか...この人、結構なべっぴんさんやない?

 大丈夫?

 とか一瞬思ったけどうちに話しかけてくる時点で大分男と喋ったりするんやろう。

 まあ問題ないか。


「とりま連絡先交換しよー。」


「おん、ええで。」


「いやおんって...w」


「何で笑ってんの?」


「いや、全然?何も無いよ?はい、どうぞ。」


「ありがとうな。一応東京来てから最初の連絡先交換になったわ。」


「まあまあ、隣のよしみと言う事で。じゃあね!また。」


「じゃあな。」


 そう言って、水瀬さんは、隣のクラスに消えていってしまった。

 ふうー。

 これで一旦、お疲れさんでしたってことで...。

 こんな美人と喋るとなんか疲れるような気がするよな〜。

 まあうちが単純に慣れてないっていうのもあるけど。

 まあ相変わらず視線は冷たいまんまやし。

 世知辛いわ〜。


 ん?

 メール来とるで?


「壮太郎君、五時に裏門集合で。」


 あれ?

 まって、よくよく考えて見れば、途中から目線の毛色が違うような...気がするんやけど...。

 特に女子より男子の方の目線がきついような気がするんやけど...。

 もしかしてそういう性格じゃ無かったん?

 もっと不可侵条約的なもん結ばれてる系やったりする?

 まずいって...終わるやん!

 しかも、こんなん見られたら殺される!

 とりあえずこのメールはそっと閉じとこう。

 で、どうしよ。

 こっからどうやって男子に溶け込めばいいん?

最後、誘われているという結構大事な事実を頭の中から消え去っている主人公さん。

どうするんでしょうね?

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