32話 フリックへの罰 その2
「廃嫡、は確実だな」
「廃嫡……ですか」
「ああ、そうだ」
シャーリー嬢はどこか安心したような、そんな表情になっていた。廃嫡ということは、王位継承権を剥奪されるということだ。未遂とはいえ、国家反逆の片棒を担がされたのだから、当然だと思う。まだ、安心は出来ないと思うのだけれど。
「処刑までは至らないようで安心いたしました」
「そういうことでしたか……でも、まだ処刑を回避できたかは分からないんですよね?」
私はアルゼイ様に尋ねていた。こういう言い方はしたくないけれど、処刑……少なくとも終身刑くらいにはなるものだと思っていたから。私だって、元婚約者のフリック様にそこまでの罰を与えてほしくないという思いはある。しかし、サンマルト王国の今後を考えると……。
「そうだな……廃嫡まではほぼ確定だろうが。私の案としては、奴に必要なのは、一般人の目線に立っての行動選択だと思う。処刑、終身刑は免れたとしても、一般の凶悪犯と同じく無期の期間労働……ということも考えられるな」
「さ、左様でございますか……」
無期の期間労働……サンマルト王国では終身刑の次に重い罰になる。最低でも20年以上は懲役が科せられるはずだし。出て来た頃には、とても王族に戻れるような立場ではなくなっている。でも、フリック様のやったことを考えると、そのくらいが妥当なのかもしれない。
他の王族や貴族への牽制にもなるし……エラルド王国への牽制にもなるだろう。
「フリック王子殿下の行いを鑑みれば……そのくらいが妥当ということでございますね……」
「そうだな、シャーリー嬢には申し訳ないことだが」
「いえ、心得ております」
人生一寸先は闇だというけれど……フリック様の性格的に、ここまで厳しい事態になるなんて予測していなかっただろう。キングダム侯爵の甘言に乗せられただけだと、今でも思っているのかもしれない。でも、人生はそんなに甘くない……アルゼイ様は実のお兄様になるけれど、きっちりとした罰を弟に望むのだと思う。
なんとなくだけれど、フリック様の様子が思い浮かぶわ……今頃は大慌てしているんじゃないかしら。




