18話 集まった王子達 その2
「兄上、ご無沙汰しておりました」
「ジェイドか……久しぶりだな」
「はい、お久しぶりでございます」
ジェイド・サンマルト第二王子殿下……確か北の国境線で、魔物討伐の指揮に当たっていたはずだけれど。久しぶりに帰って来たというわけね。ちなみに私は、彼との面識はほとんどない。その為、この段階で挨拶をする。
「ジェイド・サンマルト王子殿下。こうしてお会いするのは、本当にお久しぶりかと思われますが……」
「ああ。貴方は確か、兄上の婚約者であるエリザ・ガーランド公爵令嬢殿ですね。アルゼイがお世話になっております」
「いえ、とんでもないことでございます……! むしろ、私がお世話になっているくらいですので……!」
ジェイド様は噂通りと言えば良いのか、非常に物腰の柔らかいお方だった。基本的に、伯爵以上の貴族には敬語でお話をされるらしい。3人の王子殿下の中では一番、礼儀正しいという噂もあったりする。しかしその反面、一番腹黒いのではないかという、黒い噂もあるらしいけれど……その辺りの真相は分からない。
ジェイド王子殿下が腹黒いという噂が真実だとするなら、それは王位継承争いに影響してくるのだろうか?
「そういえば、アルゼイ兄上。先程、先着していた護衛から聞いたのですが、少々、問題が起こったようですね?」
「そうだな。ふう……我々、王族の失態と言えば想像は付くだろう?」
「なるほど……フリックがまた何かをやらかしてしまったのですね?」
「そういうことだ。そのやらかしに関しては、そこに居るシリカ嬢が上手く収めてくれたのだがな」
「なんと……! 素晴らしい!」
「えへへ……なんだか、そう言われると照れちゃいます……!」
シリカは嬉しそうに顔を赤くしている。確かに彼女の機転は、フリック様をフォローするという意味では見事だったけれど、それと同じくらい……いえ、もしかしたらそれ以上にキングダム侯爵も凄かったと言えると思う。シリカの機転を利かせた言葉に即座に反応し、続けたのだから……。
「アルゼイ様、キングダム侯爵の功績も素晴らしかったと思います」
「確かにそうだな。シリカ嬢の機転の言葉に対する反応は見事であったと言えるだろう。ただし、素直にキングダム侯爵を認めるわけにはいかない……エリザなら、その意味が分かるだろう?」
「そうですね……予想ではありますが……」
予想でしかないけれど、おそらく間違ってはいないと思う。キングダム侯爵はフリック様を応援しているように感じられるということなんだろう。それはつまり、実際の王位継承争いになった場合、ルービック・キングダム侯爵とは敵対関係になる可能性があるということだ。
アルゼイ様はそのことを危惧しているのだと思う。
3人の王子殿下が揃った舞踏会会場……踊りを披露している貴族も居る中、新たに現れたジェイド王子殿下に取り入ろうとする貴族も居る。なかなか、一筋縄ではいかない雰囲気になってきたと思う。
私は先程から大人しいフリック様のことが気がかりだったけれど……訪ねて来る貴族を断っているようだし、彼の性格を考えると、いつ爆発してもおかしくないような、そんな気がしてしまっていたから。




