表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ある魔道家の跡取り息子  作者: みどりりゅう
巨人号の事件

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

57/71

巨人号の事件28

 昼食は

「せっかくだから、ビュッフェに行ってみましょう」


 16階の大食堂に向かった。ここは一般客も入ることができるため席数が多い。バイキング方式自体、少年は初体験だ。ずらりとならんだ様々な料理が取り放題・食べ放題ということが、翔之介には信じられなかった。


 初めに

「一番良くないのは、取ったはいいけど食べきることもできず無駄に残すことよ。それはみっともない。あとは主品と副品をバランスよく、栄養を考えなさい」

 と、叔母に釘をさされた。


 少年としては、食べたいものを目に映り次第あれもこれも取る気だったのだが、そう言われては少し考える。自分が食べたい茶色のものばかりでなく(べつに欲しくはないが)緑色や赤色のものも入れないといけない。

 しかし欲望には抗えず、ピザとカレーに唐揚げをつけるという強欲を発揮してしまった。


 いっぽう叔母はモッツアレラ・チーズと黒パン、それにフルーツ&サラダにとどめている。

「旅行中に、食事で体調を崩すのがいちばんおそろしいのよ」

 冷ややかな視線で自分の皿と甥の皿を見比べたが

「……まあ、あなたは良いでしょう。育ち盛りであることを考慮しないとね」

 言いながら、レタスにフォークを突き立てていた。

挿絵(By みてみん)

「昨日の展示会はどうでしたか?」

 口を唐揚げとカレーでいっぱいにしながら問うと


「口にものを入れたまましゃべらない」

 注意した上で


「……目当てのものはなかったわね。ただ、事前に渡された出品予定リストがあてにならないこともわかった。どんな品が出るかは、その場にならないとわからない」


「じゃあウチからの流出品が出るかどうかは……」


「毎日、参加しないとわからないわね」

 叔母はため息をつくと、リストを見て

「それにしても、もう少し情報を公開してほしいわね。ただ単に、いわれのある魔道具や秘蔵の魔呪文、希少な魔動物に個別魔能……と書かれてもね」


「個別魔能?それってなんですか?」

 甥の問いに


「魔道者が個別に持つ固有能力ね。たとえば、禍王家が持つ変身能力などよ」


 ああ、蛇になったり虎になったり……あれはたしかにすごかった。禍王家の蔵で見た化身同士の戦いは、怪獣映画を観たような強烈な印象を少年に残している。でも、そんな能力を売ったりできるの?


「身体に刻まれた呪的回路を分離できればね。むずかしいし、かなりの苦痛を伴う施術だけど……」


 うへぇ、痛いのか。そんな思いまでしてせっかく持っている力を失うなんて、気持ちがよくわからないな。疑問に、


 魔美子は

「禍王のような特殊な家は別にして、一般に強力すぎる魔能や魔道具というものは、保持すること自体にかなりのリスクが伴うのよ。身体や精神に悪影響をおよぼすことも多い。そうなると、当人にとっては『能力』ではなくただの『呪い』よ。とっとと手放したい。

 そして、ある者には障碍しょうげでしかない能力や道具が、他の魔道者には喉から手が出るほど欲しいものだったりするから。そのあいだに需要と供給が発生して、このような取引が成り立つの」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ