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ある魔道家の跡取り息子  作者: みどりりゅう
巨人号の事件

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54/69

巨人号の事件25

「うん?」


 パーティ会場にいたイルカやイカと同じような人間大のぬいぐるみ……ヒトガタが、階段の踊り場でジタバタ足踏みをしている。名札を見ると『ジーアちゃん』とかいてある。


 ああ、この子はたしかこの船のメイン・マスコット・キャラクターだ。「出会えるとラッキー!きみも船内を探してみよう!」と旅のしおりに掲載されているが、まさか乗船一日目で会うとは思っていなかった。

 こんなところでなにをしているのだろうと、いぶかし見ると


「……うん?なんだこれ?」

 踊り場に、なにやら文様が浮き出てある。


(これは、束縛系の呪だ)

 もう3ヶ月にわたり魔道教育を受けてきたので、それぐらいはわかる。


 通りがかったものの足止めをする呪的な意味でのトラップ。それに引っかかって、ジーアちゃんはにっちもさっちもいかなくなったのだ。

 だれがこんないたずらを……と考えても、今この船には魔道者だらけだ。これぐらいの仕掛けをほどこすことができるものなど無数にいる。犯人を考えてもしかたない。


 足踏みを止めないジーアちゃんの関節から煙が出ている。これでは壊れてしまう。スタッフに通報する暇もなさそうだ。

 なんとかならないものかと呪を見つめていると、その模様のなかにもろそうな部分があるのに気づいた。

 おそらく、ジーアちゃんがジタバタしているうちに多少ほころびが出たのだろう。

挿絵(By みてみん)

(どうにかならない?)

 少年がじっと見つめていると、その模様のくずれが広がり始めた。

 そして、しまいにはパリンッと、呪が完全崩壊した。


 解放されたジーアちゃんは、歩き始めた。


(よかった。なにもせずともジーアちゃんが暴れて壊れた)


 そうなのだが、どうやらヒトガタは翔之介の力で自分が解放されたと認識しているらしい。

 ペコッと頭を下げる。


「ぼくはなにもしてないよ。きみが自分で破ったんだよ」

 そう言っても、頭を下げる。


(ヒトガタって、感謝の表現までできるんだな。自律性がすごいや。でも判断能力は、そこまで高くないな。ぼくのほうがまだ少しはかしこい)


「……ぼくは上に行くけど、きみはどう?」

 たずねると、ジーアちゃんは下階への階段を指さす。


「そう?じゃあ、ここでお別れだね。気をつけてね、バイバイ」

 手をふりながら段を上がると、ヒトガタは頭を下げながら下の階に降りていった。


(ホント、人間くさくつくってあるなあ。さすが豪華客船だ)

 感心しながら、少年は段を上がった。


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