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ある魔道家の跡取り息子  作者: みどりりゅう
巨人号の事件

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30/47

巨人号の事件1

 翔之介しょうのすけは、自分が今から乗りこむ船の大きさに圧倒された。

挿絵(By みてみん)

 見上げても上の部分がどうなっているのかよくわからない。

 まるで巨大なビルを横倒しにしたように見える。


「そんなに反ると、首をいためます。それと、そのような口を開けたままのほうけ顔でいないように。陽城ようじょうの人間として、見苦しくない立ちふるまいをなさい」


「は、はい。魔美子まみこねえさま」

 翔之介しょうのすけは、横に立つわかい叔母の注意にしたがい口を閉じると、背筋をしゃんとのばした。


 以前のようなぼんやり少年のままではいられない。なんといっても、今の自分はほまれある魔道の名家・陽城家の「跡取り息子」なのだ、と小学5年生は気持ちをひきしめた


 ……とは言うものの

(そんなに急に、育ちは良くはならないよ)

 生まれてこのかた、けっして上流ではない生活を送ってきた少年が今の立場になじめないのも、ほんとうだった。


 そもそも翔之介自体、自分が魔道などというわけの分からない世界の関係者なのだと知ったのが、たかだか3ヶ月ほど前のことに過ぎない。母を失い、他人の家に預けられていた彼のもとを、にわかに見知らぬ女性……魔美子が訪ねてきたのだ。


 このとき、彼女は自分が少年の実の叔母であることすら隠していた。

 そんな状態のまま、陽城の家と因縁ぶかき魔道の名家・禍王まがつきみ家に引き取られた翔之介は、そこでの魔道界をゆるがす騒動を経て、ついに陽城家の正式な跡継ぎとして認知されることになったのだ。


 それは、当主・鷹太郎たかたろう(翔之介の父にして魔美子の兄)の死によって断絶していた陽城家の、魔道家としての再出発を意味した。


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