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ある魔道家の跡取り息子  作者: みどりりゅう
ある魔道家の跡取り息子

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24/46

秘密の部屋2

「……あれは、大おばさまね。ついに出陣なされたのね」

 ほくそ笑むと翔之介の方を見て

「冥途のみやげと言ってはなんだけど、機械にかける前にいっしょに上の様子でも見てみましょうか。おもしろいわよ」


 銀鹿先生が手をかるくふると、空中に大きなスクリーン状の画面が展開され、上の様子が映し出された。


「――あら、豹子さんったら頑張ってるわね。禍王家の人間のくせに裏切って下郎どもに味方するなんて、本当に父親に似てバカな子だわ」


 そこには懸命に術をふるって敵対派を鼓舞する少女の姿があった。しかし顔色は悪い。


「ごらんなさい。大おばさまがついに化身の術をお使いになっておられる。あの術こそが他魔道家に比べて禍王家最大の特徴でね。ろうたけた禍王の術者は自分で定めた獣の姿に変身することができる。その姿なら、術者は通常より何倍もする魔能をふるうことができるのよ」


 そこにはおそろしい大蛇が、のたうちながら敵を蹴散らしていくさまが映し出されていた。


「おばさまは大蛇、そしてかつては龍雄お父さまも、お名前どおりの猛々しい黄金龍に変身あそばされたものよ。……ああ!あたしも一度でいいからあんな姿を取ってみたいわ。そして下賤の者どもを思いのまま踏みつけてやりたい!」


 人がひどい目に合うところを、うっとりと熱っぽい視線で見物するたま子に、翔之介はみぞおちあたりから冷たくなるものを感じた。


「……ああなっては、もうおしまいよ。しょせん無謀な戦いだったのよ。禍王に逆らうだなんて。いくら豹子さんががんばっても、まだ化身の術は使えないもの」


 大おばに蹂躙される人々を、ただ画面を通して見ることしか翔之介にはできない。

(襲ってきたのを防ぐのは仕方ないとしても、そこまで踏みつけにしなくてもよいのに……)


 そのとき、禍王家の屋敷内から激しい爆発があった。そしてそれと同時に、あたり一面に鳴り響くすさまじい咆哮があった。


(あっ!あの声は!)

 それは、翔之介には聞き覚えのある声だ。


 爆発の煙からあらわれ出でたのは……

(虎だ!あのとらわれていた虎だ!)


 自由になった虎は全身を金色に輝かせ、牢にいたときより一回り大きくなったように見える。

 彼はすばやく戦場におどり出ると、大蛇に飛びかかった。

挿絵(By みてみん)

 映像を見ていたたま子の顔色が青ざめる。

「あれは……獣吉おじさま!?まさかそんな!十年前に亡くなったはずなのに!」


(獣吉おじさん?……そうか、あの虎は豹子さんのお父さんだったのか!)


「そんな……あのおじさまが生きていらしただなんて……お父さまと大おばさまが共謀して始末したと思っていたのに」


 大虎と大蛇はくんずほぐれつの大乱闘を繰り広げたが、次第に虎が優勢になり蛇の動きを封じ始めた。


「いけないわ!このまま獣吉おじさまが龍子おばさまに勝利してしまっては、禍王の当主の座がおじさまに移ってしまう。獣吉さまに対抗すべく、早くあなたの魔能を取ってしまわないと。銀鹿医師、急いで機械の用意をしてちょうだい!」


 翔之介はしばられたまま頭からすっぽりと、コードのついた「かぶせ」をはめられた。


「じゃあ翔之介くん、短いあいだの姉弟関係だったけど楽しかったわ。龍臣お兄さまの栄養となるのだから幸せな一生だったわよね。あちらに行ったら冬子さんによろしく」


 恐怖と緊張で翔之介はもう言葉も出ない。


「さあ、銀鹿医師、やってちょうだい」

 銀鹿医師が機械のスイッチを押すと、それはあやしいうなり声を上げだした。


 ウルンルンルンルンルン……

(ああ……力が、力がうばわれていく……)



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