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ある魔道家の跡取り息子  作者: みどりりゅう
ある魔道家の跡取り息子

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21/45

急展開3

 それから三十分もしないうちに、龍子はみなを大広間に呼び寄せた。翔之介、たま子、豹子、魔美子、銀鹿先生が集まったが龍臣の姿はない。どこを探してもいないらしい。

 翔之介は虎の身に何か起きないかと、それが心配だった。


 反禍王派の邸内への侵入、そして翔之介への謎の襲撃の報告を受けた大おばは、なにか心に期すものがあるらしい。

「龍臣のすがたが見えぬようじゃが、まあよい。

 ――ここのところの相次ぐ混乱をかんがみて、わしは前より考えておったことを実行に移すことにした。今よりそれをおぬしらに言いわたす……」

 龍子はおごそかに言葉を続けた。

「わしは禍王の当主代理として決心した。そこにおる翔之介に禍王家の当主の座をゆずりわたすため、今晩にも継承の儀式を執りおこなう!」


 突然の発表にみな、どよめいた。

「なんですって!?本気ですか、大おばさま?」


「むろん本気じゃ」

 龍子は静かに答えた。

 

 豹子は当然さけんだ。

「そんな!わたしは承認できません。いくらなんでも早すぎます、まだ十そこそこの歳の少年に当主の座を継がせるなんて!」


「なんの、年など関係あるまい。どうせ継ぐのは翔之介に決まっておるのじゃ。ならば早いうちに継がせて、当主としての経験を積ませておいた方がよかろうて」


「なにも、こんな反禍王派の不穏な行動が活発化している時になさらなくとも」


「こんなときだからするのよ。特に反禍王の痴れ者どもが翔之介に手を出そうとしておるのなら一刻の猶予もならぬ。やつらが将来の当主を抹殺する気なら、その先を制してとっとと翔之介を当主にしてやって、その愚かなたくらみをくじいてくれる!」

 激しい龍子の口調に


 たま子が、おずおずとながら意見を言った。

「……けれど、今は龍臣お兄さまもおられないのですよ。お兄さまのお帰りを待ってお考えをうかがってからになさってはいかがでしょうか?」


 しかし龍子は吐き捨てるように

「あやつなど、しょせんは禍王の当主になれぬ男よ。この件になんの影響もない!」


「そんな言い方、お兄さまは表家の長男ですのに……あんまりです」


「だまれ!これ以上の口ごたえは許さぬぞ!それは豹子もじゃ!」

挿絵(By みてみん) 

 その容赦ない通告に、豹子は龍子、そして翔之介を一瞥すると黙って部屋を飛び出した。

 その目は怒りに燃えていた。

「わたしはあなたにさからうわ」

 朝方に彼女に言われたことを思い出して、翔之介は緊張した。

「翔之介は儀式の用意ができるまで部屋に待機しておれ!」



(とんでもないことになっちゃったよ。今日から急に当主になるなんて……)

 翔之介は厳重に防御結界をほどこされた一室のなか、一人じっと待たされていた。

 外では見張りとして魔美子がいる。

(ぼくを襲った人に守られても、不安なだけだよ)

 どのように隷属契約の呪縛をくぐりぬけて自分を襲ったのかは謎だが、彼女が自分に「ぬばたま」を使ってきたのは間違いないように思う。

 翔之介はそのことを誰かに伝えたかったが、なにせさっきからピタッとその彼女自身がマークしているので言いたくともいえない。


 いったいこれからどう対処すればよいのだろう。

(ああ、あの虎に会いたいなあ)

 翔之介はしみじみと思った。

 あの虎なら相談に乗ってくれる、答えを教えてくれる、そんな気がしたのだ。それにはあの鏡にまで、たどり着かなくてはならない。

 そのために、さっき広間から出るとき、魔美子には内密にたま子に聞いたのだ。


「……あの、廊下に飾ってあった鏡はなんで外したんですか?」

「えっ、あれ?龍子大おばさまが猪吉に命じて外したみたいね。なんでも年を取ると鏡の反射がまぶしく感じられて不愉快だそうよ」

(ウソだ。虎に近づくものがいるとあやしく思って鏡を外したんだ。はっきりぼくと分か

ったかどうかはわからないけど)


「あんな大きな鏡、どこに持っていったんです?」

「えっ、そうね。猪吉が南の蔵に片づけ入れていたようだけど、なに?あんな鏡が気になるの?」

「いえ、そんなことはないんですけど、ただどうして外したのかなと思って……」

 本当のことをたま子に言うのは、なんとなくためらわれた。

 黙っておくのは悪い気もしたけど、虎がたま子に事情を知られることを良しとしていなかったし、自分のことを何かと気にかけてくれている彼女に、これ以上不要な心配をかけたくなかった。


 そんなことを部屋でひとりで悶々としているうち、すっかり夜は更けた。


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