表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ある魔道家の跡取り息子  作者: みどりりゅう
ある魔道家の跡取り息子

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/46

急展開1

 その日ののこり、翔之介は部屋に閉じこもりっきりで魔美子から魔能の開発訓練を受けた。すべての術の基本となる、自分の魔力を一点に集中する訓練だ。

 屋敷内は事件の連続と新たな襲撃への警戒でごたごたとしているが、魔美子はそれに翔之介を近づけないつもりらしい。


「魔美子さんは行かなくていいんですか?」


「余計な気は使わず、意識を集中なさってください。それともなんですか?わたしがいては都合が悪いことでも?」


「いえ、そんなことは……」

 本当はもちろんあった。今すぐにでもまた廊下の鏡を通って、あの虎と会っておきたかったのだ。

(虎に天鼠先生が襲われたことを言わないと。そしてこの指輪をどうするか意見を聞かないと)

 翔之介には、なぜかあの虎に対する信用があった。しかし、その気持ちを魔美子に気取られてはまずい。


「そうです。手のひらに魔力を集中させて……」


 しかたなく熱心に魔力を凝らしていると、家中の者があわただしくやってきた。


「魔美子さま、東の敷地に反禍王の手のものが侵入してきたようです。対応をお願いいたします」


「そうですか、すぐ参ります。……翔之介さまは訓練をお続けになって部屋に待機なさってくださいまし」


「はい……」

 少年はそう返事はしたものの、この機会を逃すはずはなかった。


 翔之介は魔美子が部屋を出ていくと、自分も母の形見を持ってこっそり部屋を抜け出した。

(虎に会いに行かなくちゃ)

 さいわい、屋敷内は侵入者への対応に人手を取られて手薄のため、だれにも会わずに渡り廊下に出ることができる。警戒のためか鎧戸をしめた状態で、昼間だがうす暗い。

(明かりもつけない方がいいだろうな。鏡を越えるところも戻ってくるところも見つからないようにしないと)


 しかし、いざ目当ての場所についてみると、少年はそんな自分の目論見が、すべてくずれてしまったことを知った。

(鏡が……ない!)

 廊下の壁に掛けられていたあの大きな姿見が取り外されていたのだ。


(いったいだれが?だれか、ぼくがこの鏡を使ったことを知ったのだろうか?そして妨害のために外した?

 ……まてよ。ということは、ぼくが鏡に入るためにまた部屋を抜け出すことを知っているものがいるのでは……)


 不意に翔之介は背後に気配を感じた。

 暗がりにあやしく光る手が浮き上がるのが見えた。


「ぬ・ば・た……」

(あっ。だめだ……やられる……)

 と思った瞬間


 斜めから白い閃光が飛び、不意を突かれた襲撃者は退散した。

「だいじょうぶか!?」


 驚きのあまり、すっころんだ翔之介の後ろには意外な姿があった。

挿絵(By みてみん)

「龍臣にいさん!?でもなんで?魔能がないはずじゃ……?」


「うん?ああ、これだ」

 兄の手には銀色のゴムボールようのものがある。

「これは銀鹿医師がつくった、簡易魔術を込めたボールでな。おれのような魔能がないものにも護身具は必要だから持ち歩いているんだ。今の『しらぬい』という一瞬明るくなる程度の簡単な魔術しかこめられんが、役には立ったようだな」


 いつもとまるでちがって、きちんとした大人の態度をとる兄に、翔之介も礼を言った。

「はい。ありがとうございました。――いま襲ってきた人は、黒いほおっかむりをしてたけど、おにいさんのボールで怪我をしたんじゃないでしょうか?手をおさえていました」


「うん?そうか。光がまぶしくて、おれにはよくわからなかった」

 なんだか龍臣が眼をそらしたように思えた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ