試験結果通知がきました
う~ん。朝日が眩しい。
ですが、ポカポカと陽を浴びるのは気持ちが良いですね~。
今は日課でお庭に来ているのです。
毎日かかさず来ています。偉いでしょう?ふふふ。
「まあ、この時とお料理の時くらいしか使いませんからね~。」
続けないとなまってしまいますし、小さい頃はお父様が毎日付き合ってくださってましたのでもう習慣ですね。
さあ、始めましょうか~。
眼を閉じる。
「――――……。」
木や葉、鳥達そして自分の身体。全てのモノの生命の流れを感じる。
「……。」
「…………。」
「ふぅ。」
ニコッ。
何分たったのでしょう。
周りと溶け込んだ時間……。
すーーっと力を抜く。
「今日はこれでおしまいにしましょう。」
すると、終わったのがわかったのでしょう。
近くに控えてくれていた侍女がお茶を用意してくれました。
「ありがとう。ヘレン。」
ヘレンは私付きの侍女です。私より全然オトナなお姉様ってくらいの年齢です。可愛いと言うより綺麗系のしっかり者です。
「ヘレンの入れてくれる紅茶はいつもながらとても美味しいわね。」
「恐れ入ります。」
キリッとした顔立ちが、微笑むと柔らかくなるのがたまらなく素敵です☆
「ロンヌの作ったクッキーもありますよ~。」
ふわっとやってきたのは、今度はかわゆい系の目がクリクリしてるもう一人の侍女さんです。私より少し年上のティナ。
「はぁい。もちろんいただきます。」
ちなみにロンヌは料理長です。いつも忙しいのに美味しいお菓子まで作ってくれてとても感謝です。
しばらく美味しい紅茶と、美味しいクッキーを楽しんでおりました。
まった~りお茶休憩しているところに誰かがこちらにやってきます。
リトですね。珍しく急ぎ足です。どうしたのでしょうか。
「今朝もお疲れ様でございました。アリミアお嬢様に封書をお持ち致しました。」
「あら。ありがとう~。」
?!?!これは!
がーーーん。
例の結果通知票ではありませんか。
リトも気にかけてくれていたのですね。
顔に結果が楽しみですね。と書いてあります。
よくみると周りの侍女達もに~っこりしております。
皆私が幼い頃から仕えてくれていますので、一緒に一喜一憂してくれるんですよね。
本当に素敵な使用人達です。
とほほ~。そんなに皆さんが自分のことのように楽しみにしてました~。とあれば、後回しには出来ませんね。
おとなしく開けましょう!
そして、結果ですが……。
制作美学D。
文学図書D。
経済商家D………。
文官D……。
騎士C…………。
魔法S…………。
…………。
D……。って。
そして、Sって。……なに?
「何よこれ~?!?!?!」
○★△■?!
思わず石化してしまいました。
ああ。どうしましょ?!
ガクブルガクブル。
しかもよく見ると、なんか有り得ない事にコメントまで書いてあります……。
ひーーー!!
「アリミアお嬢様?!」
「お嬢様?!?」
私の石化に周りで見守ってくれていた使用人達があわあわしています。めったに取り乱さない方々なのですが。
只今私を中心にプチパニック集団になっております。
そんなところに落ち着いたひとりの声が聞こえてきました。
「あら?どうしたんですの?」
どうやらお母様のようです。
石化している私の代わりにリトが説明しています。
「それが、国の適性試験結果がきまして、今ほどアリミアお嬢様にお渡ししたのですが……。」
数秒後…………。
どうやら少し遅れてですが、お母様の声で石化が解けたようです。
「お母様~。申し訳ございません。」
「試験結果が来たのですが、不甲斐ないのと……何だか少し変なのです。」
しょぼんとしていると様子をみたお母様が、
「少し落ち着いてからお話しましょうか。」
と言ってくださいましたので、ひとまずお母様と一緒にお茶を楽しむことにしました。
※※※※※
試験の結果はランクで通知されます。
その人の全ての分野での成績をみて、その人の各分野適性を判断されます。
ランクは、
A=すごく向いている。
B=適性あり。
C=適性はややあり。まあ、普通といった所ですね。
D=適性ほぼなし。
というようになっております。
大抵はB~Dのランク付けになりますね。
Aはその人個人の適性ランクではなく、本当に能力が他の人とも比べて秀でている人にしかつきません。
ですので、私の試験結果は…………。
※※※※※
「オーマイガー。……ですわ。」
意気消沈しています。
「ほぼほぼDです。」
困りました。お父様とお母様の顔にドロを塗ることに。
涙。
そんな枯れ木状態の私の横で、結果通知票に目を通していた母はですが。
「ふふ。」
?!?!
ビックリして母を見るとやはり微笑んでいました。
何故?!
涙。←まだ涙。
「あの~お母様?」
訳も分からないので尋ねてみます。
すると、
「ねぇアリィ。あなたこれをちゃんと見ましたか?」
と言うのだ。
「はい。」
ええ。見ましたとも。思わず抹消したい……おっと。お嬢様としてあるまじき言葉遣いでしたね。
思わず消し去りたい(←これもいかがなものかとは思いますが。)くらいの通知票でした。
とほほ~。でございます。
「あら、まあ。」
「心配ないと思いますよ。もう、アリィったら~。」
「まあ、今は燃え尽きたようになっていますし、お父様が仕事から戻られてからお話ししましょうね。」
と言葉を残してお母様はお屋敷に戻っていきました。
?!
結局訳がわからぬまま放置されてしまいました。
※※※※※
専門学園への希望を出せるのは少しでも適性があればのお話です。
つまりC以上になりますね。
ですので、Dはほぼゼロ点であることを意味します。適正は無いと言うこと……です。
騎士学園のランクはCとありましたが、
まさかのコメントがありまして(←そもそも、なぜコメント?!)
【あなたには魔法学園をオススメ致します。】と書いてあった。
ランク以外が記載されると聞いたことがないのですが。ではこの一文はなんなのでしょう?
そもそも----
この最後の一言。封書は国からきているものなので、
【オススメします。=ここにしなさい。】とのことだ。
選択肢が!!!……ない…………!!!!!
※※※※※
ついに、お父様がお帰りになりましたので夕食後にリビングでお茶をしながら届いた結果通知票の話をしています。
あれから、少し落ち着いてきたのでもう一度通知票を確認していてさらなる不思議に気づいたのです。
【魔法 S】
とあったのです。
成績優秀者からA,B,Cランクになるのです。そして、入園するとそのままA,B,Cクラスとなります。
……。
うん。
Sってなにー?!
初めて見ました。
しかも説明もないです。
これはなに?!
ランク外ってことかしら。
私に他に選択肢がないので、若干生活魔法だけ使ってるからギリギリ魔法学園ならいれてもいいか?って事なのかしら?
はぁ。
そんないろいろな訳も分からない現状と気持ちをお父様にお話しました。
しばらくお父様は考え込んで、お母様に笑顔を向けると、
「んー?こんなコメントなんて前はあったかな?」
と仰っています。
「まあ、オススメならいいじゃない。」
とお母様。
「それもそうだな。」
「それに。」
「「心配はないですよ。」」
と二人そろってとっても良い笑顔。
完全に人事です。。。
国からのSランクへの説明がないので憶測で物を言っても仕方がないとの事で、この件は学園へ行ってみてから聞いてみると良いのではないか。との結論になりました。
そして、一言御言葉を頂いていることから魔法学園へ通ってみるのはどうだろうかとお父様からお話がありましたので、そのように決めました。
平凡な私としては結果通知で少しでもランクの良いところへ行こうと思っていただけでしたのでまあ、良いのですが。
なんだかいろいろ理解できなくて、もやっとはしますね。。。
「う~ん。」
ですが、判らないことは判りませんからね。
「寝てしまいましょう。」
もう、この疑問は通園してから聞くことにします!
「すぴ~。」
いろいろと考え込んで疲れていたのか、一瞬で夢の中にはいりました。
※※※※※
「ふふ。やはり私達の子ですね。」
「やっぱり魔法学園でしたね。」
「「ビックリするでしょうね。アリミアは。」」
ふふふ。と楽しそうな2人の言葉は、もう夢の中深くにいるアリィには聞こえていないのでした。