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プロローグ~いつもの朝~



「うー。さむさむ~。」


柔らかな淡い青色ワンピースを着た人がやってきた。

起きて間もないのか、少しウェーブがかった栗色のロングヘアーをざっくりと束ねている。


隣には大きな厨房があるが、そちらではなくオープンキッチン付のダイニングに来たようです。

使いやすそうな大きなシンク。

広い調理台。

大きな鍋も置くことのできる鉄製の薪台が何個もある。その台の下で木材を燃焼させて使うのです。



ぼーっとしたまま、おもむろにケトルをつかむと…………。

――――少しずつ起きてきた意識の中、慣れた手つきで手をかざす。


‘’……――――!(?)

ちゃぷん。中が水でいっぱいに満たされる。


ふふん♪と鼻歌まじりで満足そうです。

すると、薪ストーブまで移動して上にケトルを置いた。

今度はすーっと下方向へ指を動かす。


‘’ピッ!(……ピッ!?!?!)

ストーブに木材がくべられる。


そのまま手をかざすと

‘’……----ボッ!(?!)

火がついた!!!



「ふぁぁぁぁ~。冬の終わりとはいえ寒いな~。」


朝起きてひんやりとした部屋。

部屋も暖めたいし、温かいコーヒーも飲みたい。


「やっぱり薪ストーブ便利よね。一石二鳥~。うっふふ~。」


どうやら完全に目が覚めたのか、その透き通る蒼眼は楽しそうに目を細めて笑っている。



ふ♪ふ♪ふ~ん♪

朝からご機嫌で食事を作り始める。

‘’ぱちん!指をならすと出てくるのはフライパンにお鍋。

そしてまたしても指を‘’ピッ!とすると、

お庭から卵・トウモロコシ・トマトにレタスがぴゅーーーと飛んでくる。(飛んでくる?!)



(……そう。飛んできたのだ。)



卵はフライパンへ。

トウモロコシは空中で実がほぐれくるくると回っている。

「えーい!」

と手を手刀のように動かすと、トウモロコシはミキサーにかけられたように粉々になり鍋へ、トマトはスライスされた。


「よし、オッケー!」

ほぼほぼ支度が終わった頃誰かが起きてきた。


トントントントン。足音が近づいてくる。

「おはよう!アリィ!」

「ふふ。今日はアリィの日でしたね。」

「おはよう!お父様。お母様。もうすぐ出来ますわ!」

「ああ。ありがとう。先に座って待っているね。」

「はーい。」




──────────────────────────

ここは魔法と共に生活する国ラフレイン王国。

国民は得意な魔法の種類や魔力の力に差はあれど、皆魔法を使うことができる。

魔法と共に生き、国を守るための戦や、魔物と戦うための攻撃だけではなく家庭の中でも多く使われている。むしろ一番身近な魔法と言ってもいいだろう。

──────────────────────────




「できましたわ~。」

「ふふ。楽しそうでしたね。ありがとうアリィ。」

「とてもおいしそうだね。」

「あら?!サンは?」

「もう起きてくるだろう。」

「そうですわね。少し待っていましょうか。」


「しかし、上手くなったもんだな。なあエリー。」

そう嬉しそうに言ったのは父であるルイーズ・ディ・シアード。シアード伯爵である。

短髪に整えられたグレーの髪に蒼眼の真面目で優しい父。


「ええ。ルイ。」

エリーと呼ばれたおっとりとした雰囲気の母はエリス・ディ・シアード。シアード伯爵夫人。

檸檬色の眼がキラキラしている。

栗色のロングヘアーがは今朝もキレイに整えられていた。

「でも、アリィ。身だしなみには気を付けましょうね。ふふふ。大方料理の事しか考えてなかったのでしょう?」


「あ!はーい。……その通りですお母様。」

やはりお母様にはかないませんね。

完全に思考が読まれておりました。朝食を作る楽しみで頭がいっぱいだったのです。

アリィのただ結わえただけの髪を注意されてしまったのでした。えへへ。



そんなやりとりをしているうちにダイニングのドアが開いた。


「おはようございます。遅くなりました。」

そう言って入ってきたのは檸檬色の瞳にグレーの髪を長めに流した弟。

サンテック・ディ・シアード。シアード伯爵家の嫡男です。


「今日がアリィ姉様なら、明日は僕の番ですね。」

「そうね!明日のサンの朝食も楽しみにしているわ。」


「では、皆そろった所でいただきましょうか。」




ここシアード伯爵家は、貴族ではあるので一応使用人や侍女達が勤めてくれています。

ではなぜアリィやサンが朝食を?とお思いでしょうが、この家ではこういった事が稀にあるのです。


【ひとりの人間としてなんでも普通には出来るように。】


という両親の願いで、週に二度料理人ではなく、2人が朝食を作る。

自分で起きて、自分で考え、自分で作るのです。

料理以外にも、華道や武術なども学んで来ました。



「それにしても、魔法って便利ですよね。手に魔力を込めて使うと思う通りに変化するわ!料理の仕込みもぱぱーっとできるようになりましたし。」


味付けはやはり経験値不足でなかなか上達も難しかったですが仕込みに関しては早い段階から良い感じだったのです!

ちょっと自分の料理スキルの上達に心の中でニヤニヤしてしまっていると、


「――――そうだね。」

「?お父様?」

「なんでもないよ!すごくおいしいね。今日も上手にできてるじゃないか!」

「アリィ姉様!スープがとてもおいしいです!」

「ふふ。ありがとうサン。」

なんだか少しお父様が口ごもったようでしたが、きっと気のせいですね。



そんなこんなで食事を終えた頃に執事のリトがやってきた。

朝の定期連絡と本日の予定を告げると、

「アリィお嬢様。国からの通達がきておりました。」と封書を渡されました。

「ああ!そんな時期ですわね。」


封書には、

――――アリミア・ディ・シアード様へ――――

とありました。

――――国からの適性試験の受験票でした。――――


「ありがとうリト。お庭で朝の日課が終わったら目を通しますね。」

「かしこまりました。お預かりしておきます。」


――――適性試験――――

――それは、これから始まる出会いと予想もしなかった未来への第一歩でした。――



人物等空想上の物語です。のんびりとではありますが書いていこうと思います。言葉遣い等おかしな所も出てくるとは思いますが、楽しんでいただけたら嬉しいです。

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