第六話
神との交信が終わった後、回りの人たちに見たものを伝えるが、回りのものたちやトパーズが接触できる人たちは、すべて大臣の手のものに変わっているので、どうやってもトパーズの声は国王にまでは届かない。
そうやって回りに話したことでトパーズへの監視の目と干渉が厳しくなってしまった。
この国にはいくつもの神殿が配置されている。ここは西の神殿。
神殿の巫女同士が定期的に祈りをささげる。
これがグリッドとなっていて、この島を守っているもののひとつなのだ。
何とかしてその祈りのときに、ほかの神殿の巫女と連絡を取ろうとするが、監視があり、変な話はできない。
しかし最近は、神殿同士の連絡が取れにくくなっている。変なエネルギー干渉もあるし、この西の神殿と同じようなことが、ほかの神殿でも起きているのかもしれない。
東の神殿とは完全につながらなくなっている。
だんだんと厳しくなる監視や干渉の中、ここももう少しでつながれなくなるだろう。
トパーズは、ほかにも自分にできることを探したが、すでに神殿としての機能も大臣らに牛耳られている今、なすすべは何もなかった。
一部の人たちの間違った考え方でここはもう沈むしかないのかもしれない。
母はわかっていた。この国がどうなっていくのかも、トパーズがどういう運命をたどるのかも。
だんだんとこの国が何かのエネルギーに包まれていくのを感じる。
まるで虫に蝕まれるように最初はほんの小さな点だった。
今は包み込むほどおおきい。
しかしトパーズはあきらめはしなかった。あることを試すために、あの少年に会うべく風の精霊とともに対話の間に行く。
今ではエオノーラと同化しなくても、対話の間に入らなくても、外の風景を見ることができる。
風の精霊たちは友人であり、今のトパーズの心の支えだった。そして監視の目がとどかないのは対話の間だけなのだ。
目を瞑り、神と、大地と、すべての自然の精霊たちに感謝をささげると、額のしるしが輝き、神殿の上に浮かんでいた。
エオノールとエオノーラはトパーズの周りでまわり、先導するように飛んでゆく。
そして1本の木が町を見下ろす丘の上、そこに少し大きくなったあの少年の姿があった。
”彼には私が見えるだろうか?声が聞こえるのだろうか?”
不安でいっぱいのトパーズが少年の目の前に下りてゆく。
目があうと少年は微笑んだ。
「また会えたね。精霊さん」
「私が・・・わかる?」
ほっとするトパーズ。
「ああ・・・精霊も成長するんだね。前見たときより大きい」
二人は昔から知っている物同士のように話を始める。その話は尽きることがなかった。
少年は出会った日からトパーズのことを探していたらしい。
二人は出会った日のことや日々の出来事などを話しては大笑いするのだった。
少年がする話は突拍子もなくおかしく感じる。神殿で育ったトパーズには何もかもが新鮮なのだ。
人と話をして大笑いするのは、母がいなくなってからはなかったことだった。
少年の笑顔を見るたびにトパーズは心臓が早鳴るのを感じた。
とてもたのしかった。楽しい時間は過ぎ去るのも早い。
楽しいけれど・・・トパーズには時間の猶予はない。
”彼に私が西の神殿の巫女であること、そして今大変なことが起きようとしていることを伝えなければ・・・・”
トパーズはすごく楽しそうに話す少年の顔をもっと見ていたかった。
時はあっという間に過ぎ、何も真実を言えないまま次の日に会う約束を交わす。
・・・・・・・・・・・つづく・・・・・・・・・・・