第一話
ここはいつの時代だか・・・
ずっとずっと昔のこと。
何度か大きく栄えた国が沈んでしまって・・・その後に栄えた国の話。
大きな島の大きな国。
ここは神殿。白い壁にところどころ水晶が使われている。
日が当たると周りに虹が広がってゆく。その虹の美しい様は息を呑むほどだ。
そしてその虹の様子で時間もわかる。
白い柱が並ぶ廊下を巫女たちが歩いてゆく。
朝のおつとめだ。
神官であるアステール大巫女の後ろに6人の巫女たちがつづく。
その中にひときわ小さな女の子。まだ5、6歳くらいだろうか・・・
14、5歳くらいの巫女が並ぶ中、小さなその女の子は歩くペースについてゆくのに精一杯。
その女の子の名前はトパーズ。巫女見習いだ。
アステール大巫女はトパーズの母。代々巫女の力は女の子に受け継がれてゆくので小さな頃から巫女見習いとして大巫女のもとで修行する。
大きくなり大巫女となる身なので、神殿から一歩も外に出ることはない。
祈りの間に来ると、アメジストでできた祭壇に供物を置いてゆく。
祈りの間の柱は東西南北に立ててありそれぞれクリスタル、シトリン、ローズクオーツ、フローライトでできている。
その柱の根元にも供物と花ビラを置いてゆく。
トパーズはローズクオーツの前に花びらを置く。
このローズクオーツのなかにはいつも優しいまなざしの女神様がいて心の中で話しかけては慰めてもらったり励ましてもらったりしている。
その女神様はほかの人には見えないようで、女神様と目も合わさない。
時々話が長くなると大巫女がにらむので母にはばれているようだ。
そして大巫女である母が祭壇の前に立ち神に祈りをささげる。
この瞬間がトパーズにとって最高な時間だ。
大巫女の身体からブルーと紫の色が立ち上りまわりに広がってゆく。
そして各柱の中の女神たちが呼応し、震え、透明なエネルギーが祈りの間に満ちてゆく。
大巫女と巫女たちと女神たちのエネルギーが満ちたとき、天上から呼応するように虹色のエネルギーが降りてくる。
そのたびにトパーズは自分ではなくなり、すべてになるような感覚になる。
ここにいてここにいない・・・ここにいるけどどこにでもいる・・・そんな不思議な感覚。それはとても気持ちのいいものだった。
天上からの虹色のエネルギーはその時々によってブルーやゴールドに変わる。
ブルーの時には力強く雄雄しいエネルギー、ゴールドの時にはなんともいえない洗われるような気持ちになる。
祈りが終わるとトパーズは大巫女を尊敬と敬愛のまなざしで見つめる。
巫女の仕事は、巫女として神からのメッセージを伝えるためだけのものではない。幼いトパーズはまだすべての内容を知らないが母を見ていると色々大変だということが伝わってくる。
時々この国の大臣と話した後には必ず眉間にしわを寄せてため息をつくのを見かける。
トパーズが母に聞くといつも
「大丈夫よ。これからはもっとこういうことが増えていくの。このくらいでため息ついてちゃだめね」
そういって微笑む。それがいつも私には寂しげに見える。
大巫女であるがその前にトパーズにとっては母である。
『お母様には笑顔でいてほしい。早く大人になってお母様のお手伝いが出来るようになりたい・・・』
そういつも思っていた。
・・・・・つづく・・・・・・