孤独のエンドロール
Twitter主体の世界観共有企画「架空街」(@4ty_00)にて、
ルストというキャラクターで参加させていただきました。
今年、架空街は二周年を迎えるとのことで、
以前Twitterでのみ投稿させて頂いた短編を、こちらにも転載致します。
死の気配が、近づいていた。
身体中の凡ゆる部位が、痛みに侵食されている。
これまで嬉々として受け入れてきた感覚の、どれとも違う。はっきりと、生命を削り取る痛みである。
ルストは愉悦に顔を歪めた。
痛みを感じるという事は、未だ生きているという事である。
これ程、己の生を実感した事が、今迄にあっただろうか。
誰に与えられたものでもない。身の裡から沸き起こる苦痛こそ、今のルストを生かし、そして殺そうとしている。
痛みを感じ始めたその時から、死に場所は決めていた。外界の荒廃とは無縁の穏やかな場所である。
そこで、誰に知られるでもなく、静かに逝きたかった。
此処に籠って、一ヶ月程になる。その間、誰にも会っていない。訪れる者のない場所を選んだのだ。
そして、ルスト自身にも出かけられるだけの余力がなかった。
痛い。苦しい。辛い。……寂しい。
それが、ルストの人生だった。生とは、そういうものだった。
そして、それら全てが喜びだった。
心地よく身体が蝕まれていく。
ゆっくりと侵食する痛みに身を任せ、ルストは静かに、瞼を下ろした。