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8 話し合い


バルトは暇を持て余していた。

今日は前の依頼から三日後、つまり集まる約束をした日である。

あの事件のあと三人の間には気まずい空気が漂っていた。

あの時盗賊を殺したおかげで自分たちは助かった。殺していなければ自分たちが殺されていたかもしれない、少なくとももっと被害は出ていたであろう。それに一人は生きて捕まえた。これでアジトもわかり、残りも捕まえることができる。

完璧に近い結果だ。自分が正しい、そう思っていたから気まずい空気も取り繕おうとしなかった。直後の二人の反応を見てやりすぎたと思ったはずなのに…。

二人と別れて帰宅しベッドに伏してから暫くして取り繕えば良かったと後悔し始めた。一度後悔が始まると色々な事を思い出して反省会が始まってしまった。一人を捕まえた要領で他の奴らも殺さなくても良かったかも知れない、ウィンに対して当たってしまった、と罪悪感が次々生まれてきた。

根拠はないがもう一度二人に会えれば、普通に話せれば気まずい空気もこの罪悪感も消えるような気がしていた。

そのためバルトはこの日居ても立ってもいられず朝早くからギルドに来てしまった。

いつも集まるのは昼前後である。そのため二人が朝早くから来るはずもなく暇を持て余す羽目になってしまっていた。

本日何杯目かのコーヒーを飲みながら本日何度目かの持ち物の確認をする。

勿論忘れ物などないし持ち物が増えることもない。

何やってんだろう…そう思い始めた時、


「おはようバルト。珍しく早いのね。」


セーナが声をかける。


「ああ、おはよう。今来た所だよ。」


やっと来た!と喜んでしまったがバルトは平静を装って答えた。

答え始めた瞬間机を見渡し空のコーヒーカップが片付けられていることを確認し、安堵した。


「あとはウィンだけね。すぐに来ると思うけど。」


私も何か飲み物持って来るわ、とセーナは席をたった。


セーナが立ち上がった時胸元に大きなリボンが着けられていることにバルトは気づいた。

珍しい、でも似合っている、と思ったが特に気にとめなかった。


「失礼ですがこの前盗賊を捕まえられた方ですね?」


突然声をかけられる。


「ああ、はい。三日程前に。」


30歳前後に見える男性にの問いにバルトは驚きながらもなんとか答えた。


「ああよかった、合ってた。バルトさんですね?」


「はい、そうですが何か用ですか?」


誰だ?と思っていたバルトであったが盗賊を引き渡した警備兵だと思いだした。

男性は実は、と真剣な面持ちで話し始めた。


「この前捕らえてもらった盗賊の根城が判明しましてね。」


失礼、と言いながら警備兵はバルトの向かいの席に座った。


「それでね、盗賊の討伐に力を貸してもらえませんかね?」


言葉を区切った男性は反応を伺っているようだ。一呼吸置いてまた話始める。


「その盗賊のってのがどうやら最近現れて暴れてる奴らの可能性がある奴ららしくてね。規模が大きい可能性があるから人手が欲しくてね、あなた達なら実力は十分だろうから協力してほしいんですよ。」


話はわかったが気乗りがしなかった。

人間相手となるとウィンがついて来れるか、セーナも大丈夫だろうか、それに自分自身も今は人間を相手に戦いたくない。


「俺一人じゃあ決められない、他の二人と相談したい。」


「構わないですよ。あの二人のお嬢さんとじっくり話あって、けれど返事は今日中お願いしたいんですよ。急で申し訳ないけれどね。」


そう言うと男性は去って言った。

去った直後に片方のお嬢さんが戻ってきた。


「今の人誰?」


「盗賊引き渡した警備兵の人だよ。」


「ああ。で、何の用だったの?」


「盗賊のアジトが分かったから討伐を手伝って欲しいんだって。」


「ふーん。受けるの?」


「ウィンが来てから決めようかなって。」


「それもそうね。」


そんな事を言っているともう一人のお嬢さんがやってきた。


「遅くなってごめん!」


「噂をすればね。」


「?どうしたの?」


バルト今来たウィンにさっきの話を説明した。


「で、二人のお嬢さんと話って決めて欲しいってさ。」


「受けよう!」


ウィンが力強く言った。


「え?お、おう。」


バルトは驚いた。

ウィンが受けると言った事に、それとお嬢さんと呼んだことを気に留めなかったことに。


「私は構わないわよ。」


セーナが賛同する。


「悪い奴らは捕まえないと…!」


ウィンが力強く言う。

それに違和感を感じながらもバルトは


「分かった。受けよう。」


この仕事を受けることを決めた。

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