4話
前の3話人称が、ごっちゃになっていたので少し修正してます。
少年の一言により面を食らったように静まるエントランスにほんの少しの静寂ができた。それはテロリスト集団のメンバーも同様であった。そしてさらに、少女を人質に取っているテロリストの1人を逆上させるのに充分な一言でもあった。
「おいそこのお前!黙って手を頭の後ろで組んで膝を着けと言ったはずだよな!何立ち上がってやがる!座ってろ!それ以上何か言うとほんとにこの嬢ちゃんの命はないと思え!」
「え、あのほんとに乱してしまってすみません、ただほんとにやばいんです。出ちゃうんです!」
少年も必死だった、少年のお腹の波はもう既に頂点に近くそれはもう必死であった。
テロリスト集団はその必死さが伝わったのかは分からないが、その場にいたもう1人の仲間と話し始めた。
「どうしますか?ここでトイレに行かせず漏らされでもしたら、この場の異臭が凄いと思うのでトイレくらいなら連れて行ってもいいのでは?」
テロリストのもう1人は手を顎に添えながら考え、肯定の意思を示した。
「そう…だな、連れて行け。」
そう言った後に少年の背中に銃を突き付けながらテロリストの1人と共にトイレに向かって行った。
トイレへの道中、少年のその堂々とした佇まいに気圧されたのか、テロリストの1人は銃を持つ手を震わせて恐怖していた。
「おい、お前妙な真似はするなよ?」
テロリストの言葉に立ち止まり、頷く事で対応すると再び歩き出して静寂が流れた。
(この少年は何者なんだ?この背筋の伸びた立ち方といい、足音を立てない歩き方、ただの高校生くらいの人間には見えないのだが、それに俺の脅しの銃を突き付けられている状況とはとても思えない表情だ。ほんとにわからないな。)
テロリストに動揺の表情が浮かび上がる。
そうしているうちにトイレへ到着し、テロリストの誘導に従い個室に入る。
そうして用を済まし、再びエントランスへと向かった。
その道中だった。少年は振り返り
「あの、すみません、手を洗い忘れたのでもう1度トイレに行ってもいいですか?」
「何言ってやがる、戻るぞ!」
「どうせなら、僕1人で行ってからすぐに戻るので大丈夫ですから!お願いします!」
と、勢いよく頭を下げた瞬間…!勢いを付けすぎたのか足元を滑らせ、咄嗟に手を前に出した。
「…おう、グッ…」
テロリストは体をくの字に曲げてうずくまったのだが、少年はその言葉が肯定の意思と思ったのかトイレへと戻った。
意識が薄れる寸前にテロリストは
(やはりあいつは只者じゃなかったか…もう少し警戒をするべき…)
という事を考えていた。