くろとたろうと
「にゃぁぁぁ
今日も今日とてだるだるだいなぁ」
彼の名はクロトラ。
10歳を過ぎた黒い虎猫のおじいちゃんねこである。
おじいちゃん猫は大体寝ている。
クロトラも主の机の上のベッドに横になり、一日を満喫しようとしているところだ。
主の机の上のベッドはクロトラの特等席。
昼は日がさして暖かく、日向ぼっこには最適だ。
「若いのはいいねぇい
おりはだみだぁ
身体が動かんのよぅ」
「でもおりはこれでいいんだぁ
こうしてふかふかのぉでもふもふぅしてたら
心地いいくて一日あっという間だぁ」
クロトラが特等席でうとうととしていると、そこに灰色の怪しい陰が近付いてきた。
「にぃさん!にぃさん!」
灰色の怪しい奴がクロトラに話しかけてきた。
「にぃさんにぃさん
遊ぼうよー遊ぼうよー」
クロトラののんびりライフの邪魔をしに来たのは、灰色の虎猫の太郎。
通称バカ太郎。
太郎は何度叱られても、テーブルの上にのる。
そこに美味しいものがあるから。
太郎は何度も2階のベランダから落ちても、ベランダの手すりを歩く。
外の解放感が気持ちいいから。
太郎は自分の気持ちにまっすぐな奴なのだ。
そして今も遊びたい気持ちを、まっすぐクロトラに伝えている。
「にぃさーん
遊ぼーよー」
だがクロトラは寝たい。
太郎の話し掛けを無視して、ベッドの上で横になり続けている。
そこに太郎が猛アタック。
自分の頭をクロトラに擦り付け、遊んで欲しいとアピールしていた。
「しようがないやつだぁなぁ
どれ
頭でも舐めてやれば気が収まるだろう」
クロトラは目をつむったまま太郎の頭を舐めた。
しかし太郎はそんな事で満足しない。
「違うんだよーにぃさーん
俺は遊びたいのー
遊びたいのー」
クロトラのごまかしの頭舐めをよけて、太郎はクロトラの体に頭を擦り付けている。
「遊びたいなー
遊びたいなー」
頭と体を擦り付けながら移動する太郎。
とうとうクロトラの胴体に覆い被さってしまった。
さすがのクロトラもこれにはキレた。
「こっちゃあ眠いんだ!
わけぇのはわけぇのどおしで遊んでろ!」
クロトラがキレて頭を上げ、太郎に噛みつこうとした瞬間。
「スヤァァァ…」
太郎はクロトラの上で寝てしまってた。
全く、仕方のない奴だ。
起きたらまたうるさいから、このまま寝かせておこう。
そう思い、クロトラは一緒に寝ることにした。