Ⅶ
二週間ぶりの更新となってしまい、申し訳ありません(平伏)
変わらず暇つぶしに使っていただけたら幸いですっ(T-T*)
……読んでくださる方、居るかな…(びくびく)
+attention+
若干の残酷描写が入ります。
そして、マイ設定が徐々に暴走?し始めました。
主人公ではなく、書き手のです…(滝汗)
最後に…紅一点のりりぃちゃんが少しの間ログアウトするため、若干むさ苦しく(男子会?)なります(遠い目)
ソレは、言葉で表現するなら真っ白になる、と言うのが解りやすいだろう。
ちゃんと、視界にはカクリと力なく項垂れたリリィの色のない顔や、掌から徐々に伝わる体温が低くなっていく温もりも視て感じている。
けれど、自分の体を動かすための意思や思考がまるで壁にぶつかったように、その先の動きを止めさせる。
その代わりなのか、次第に速まる鼓動とじわりじわりと内側から燻り始める泥々としたマグマのような熱が体を支配し始めようとした時、頭部からの強烈な痛みと、それの反動でか今度は背中からも痛みを感じた事で、少しだけ意識がソレに傾いでくれた。
やっと意識が動き出したと思った瞬間、自分にぶつけられた底無しと思える程の低く重たい声の言葉に、真っ白な感覚は血の気が引くものへと呆気なく切り替わった。
「タリス・フォックスグローブ!お前は、今のリアの前で、獣に堕ちるのかっ?!」
「…ッ…っ!」
“獣に堕ちる”
その言葉だけで、一体自分が何をしようとしたのかを理解したと同時に、急激な吐き気と目眩を起こしそうになった。
この国の隠語として使われているソレは、魔力暴走の意味を持つ。
発端は、例外なく暴走した者や、一部例外が有るものの暴走はせずとも獣の如く本能的に魔力を使う者には、瞳孔が蛇の目のように縦に長くなる傾向が有ることから、ソレに類する事を“獣に堕ちる”と例えられている。
今までそんな物を体験した事がなかったから、気付かなかった。いや、気付けなかった。
それだけでも、自分の不甲斐なさに臍を噛みたい気分だが…それよりも、もっと最悪なのは――。
「…意識が、ない…リリィの前で……僕は…」
魔力―魔術的耐性―が消えた状態の彼女の前で、無意識とはいえ発破的魔力の開放を行使しようとしていた事を再認識した瞬間、せり上がる嘔吐感にリリィに背を向けて嗚咽交じりの咳をソファーの外へと吐き出した。
何で…?何で…!何で…?!なんで…っ!!
現状についての理解が、この数分で起きた出来事の経緯が自分の予期せぬことに、頭の中で誰に向けてか判らぬ問いかけを繰り返す。
その都度、吐き気が何度も込み上げては、直視したくても出来ない彼女の姿を思い出し、そしてまた吐き気を催すのを繰り返す。
何処から間違えた…?何か、あった…?少し前まで、あんなに愛らしいさまを見せていたリリィが、何でああなってしまったのか、脳内で自分が思い出せれる限りの今日の彼女とのやり取りを細部まで再生させては、何処にその兆候があったのかが見つけ出せない。
その間にも吐き気は襲ってくのだが、徐々に頭の片隅から訴えてくる物―冷静になれ!と半ば吠える自分―に意識が向くようになれば、ゆっくりとだが吐き気は弱まり、思考もクリアになっていった。
「――――落ち着いたか…」
「……はい…」
不規則になっていた呼吸を安定させ、小さいながらも深呼吸をしたのを見計らってか、背後からの呼びかけに軽く首肯すると、逃避できない現実を見るために、背けていた体の向きを元に戻した。
「……っう…!」
それでも、やはり直視したくない現実は残酷にしか感じられなくて、今度は胸が急激に握りつぶされるかのような苦しさに眉を顰めそうになった。
自分の目の前には、赤みを帯びると淡い桃色に映える白い肌は、どちらかと言うと若干青みを帯びた白さを纏い、呼吸をするたびに動くはずの微かな胸の揺れも殆どない。
――――彼女の父の腕の中で、まるで、 のようなリリィの姿に、その言葉を形にしてしまえば、今度こそ獣に堕ちそうな自分に両手を拳に変え爪で手の平の肉を削ぐつもりで握りしめて自分を律する。
荒れそうな呼吸を理性で抑え、何時の間にかカラカラに乾いた喉をなるべく言葉を紡げるように、自分の唾液で誤魔化すように潤して、やっとの思いで声を出した。
「…公、爵…。リリィ……いえ、リーリア様は、今…」
けれど、言葉に出来たのはソレで精いっぱいで。紡いだ後には、自分の体温が指先から冷たくなっていく感覚を覚えた。暴走はしてない。暴走までは行かないまでも、自分の持つ属性の一つ―水魔法の高位である氷魔法―が、不安を訴えるように体を苛もうとしている。
中度の怪我や病気ならば、自分の主である属性である光で治癒も出来るが、生憎と彼女には…彼女だけにはソレが効かない。
だから、何も出来ない。見てることしか出来ない。自分の力を無意識に行使してしまわないかと言う最悪の想定に、軽く触れる事すらも出来ない。
――――例え、文武問わず学業で優秀な成績をおさめても、幼いころから鍛えた事で得た高位属性の魔法を持っていたとしても、今は何の役にも立たない。活路を見出すことも出来ない。
“出来ない”しかない今の自分に出来る唯一は、生まれた時からのリリィを知る唯一の肉親―父―であるデルフトブルー公爵家当主の彼に委ねる事だった。
主人公のモノローグの長さに潜む、若干の粘着?臭ぇ…
+補足…?+
リースさんは、公爵の前では礼節を重んじるために貴族階級を示すためリーちゃん(書くたびに変わる、ヒロインの呼び名…)に敬称をつけます。
パパさんは、婚約者の立ち位置は許しても、お父さん・息子ポジは許してないので、呼び名はタリスくんが主です。
――――たぶん…(ぇ)