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私の夢  作者: なめねこ
2/2

想い

あれから何十年たっただろうか。




私は今ではもうあの時のことに苦しむことはなくなりました。

しかしたまに思い出したりもしてしまいます。



でも悲しんだりはしません。


悲しんだらおばあちゃんを不安にさせるかもしれない。


おじいちゃんに叱られるかもしれない。



だから私は看護師になっておじいちゃんに

「あの時はごめんなさい。

おじいちゃん、助けられなかったけどおばあちゃんは助けてみせるから見ててね」


と言いたい。



おばあちゃんはこの頃元気がないように見える。




もしかしたら私のことを恨んでいるのかもしれない。


でも私はおばあちゃんを助けて見せる。そう神様に誓った。










私は明日から看護師として病院で働きます。


地元の小さい病院ではありますが夢をかなえることができました。私は仏壇でおじいちゃんに報告をしました。



飾ってある写真はとても笑顔でいつも元気をもらいました。







そして次の日私は病院にいきました。

仕事初日はさすがに大変でした。

いろんな患者さんがいて正直続けられるか不安でした。




でも仏壇でおじいちゃんの顔を見るとそんな不安もなくなり元気になりました。




病院の仕事にもなれ、楽しみを覚えながら何ヶ月もたったときそれは突然起きた。






おばあちゃんが突然気を失って倒れた。




私はその日はたまたま休みで友達と遊んでいました。


母からの電話に私は驚きました。

そしてすぐに病院に駆け付けました。







病室についた私はドアを勢いよくあけて中に入りました。









おばあちゃんはベットに横になっていました。




私は絶望しました。



そしておばあちゃんに近付き泣きそうになりましたがおばあちゃんは・・・・寝ているだけでした。




私は落ち着いて周りを見ました。すると母は笑いながら



「大丈夫よ。ただ疲れてただけだから、医師もたぶん過労だろうって言ってたし。2、3日で退院できるって」




私はその言葉を聞いて安心しました。






それから毎日のように私はおばあちゃんの部屋に行った。


しかしおばあちゃんはいつもつらそうな顔をしていました。




私は最初、すごくつかれていたんだと思っていたけど何日たってもつらい顔はとれることはありませんでした。




おばあちゃんに話し掛けても

「あぁ」とか

「そうか」とかしか言ってくれず、時には無視しているのか、なにも話してくれないときもありました。






私はもしかしてあの時のことをまだ怒っているのだと思いました。




いや、そうとしか思えない。



なぜならあれ以来私はおばあちゃんの笑顔を見たことがないからである。




おじいちゃんが死んでから私はおばあちゃんの部屋を覗きに行ったことがあるがおばあちゃんはノートみたいな物を手に持ちながら泣いていた姿を何度も見たことがあるからである。






私はおばあちゃんの病室にいることがつらくなり、会いにいくことが減ってしまった。







そんなある日私は妙な胸騒ぎがしました。



しかしそれが何なのかはわかりませんでした。






そして数時間後なにやら騒がしいことに気付きました。




私は仲のよかった同僚に何があったの聞いてみました。




同僚は私を見た瞬間驚いた顔をしていました。


そして口を震わせながら言いました。

「あ、あなたのおばあちゃんが突然苦しみだして意識不明だって・・・・」







私は同僚が話し終わる前に急いで病室に向かいました。













病室には医師がいました。


しかしなぜかここだけ時間がとまっているかのように誰も動いていませんでした。










そしておばあちゃんの顔には白い布が掛けられていました。




「さっきの胸騒ぎは・・・・おばあちゃん・・・・だったの?」




私は・・・・・なんのために看護師なったのだろう




おばあちゃんが近くにいながら私はなにもできなかった。




私はおばあちゃんのためになにもしてあげられなかった。




そして私は泣き続けた。



布をとるとおばあちゃんはいつもの眠っている顔をしていました。










私はおばあちゃんの優しさを忘れていました。



おばあちゃんはどんなときも優しくしてくれました。



優しく許してくれました。















私はその日一日おばあちゃんの病室にいることにしました。







おばあちゃんの手は冷たくなってしまいました。




私は涙や鼻水が止まらずちり紙でふこうとしたが無いことに気付きました。




あちこち探していると引き出しの中にノートが2冊あることに気付きました。



一冊はボロボロのノートでもう一冊は真新しいノートでした。


表紙には日記とかかれていました。




私はボロボロのノートを手に取りました。



そのノートは見覚えのあるノートでした。










そう。それは昔おばあちゃんが泣きながら持っていたノートでした。






私は中身を見てみました。



それはおじいちゃんが書いたものでした。







★★★★★★★★★★★★★★




19××年  7月10日



今日も香織は夜遅くに帰って来た。


少し疲れてるようだったがいつものように肩を揉んでくれた。


本当にいい子だ。




19××年  7月11日



今日も香織は夜遅くに帰って来た。


いつもの笑顔で肩を揉んでくれた。


バスケット選手になると言っていた。




香織ならなれるだろう。


わしががんばれと言ったら笑顔で頑張ると言ってくれた。


本当にいい子だ。












19××年 7月25日



今日はずいぶんと帰るのが遅い。


ばあさんがついさっき香織をむかえに行った。



バスケット選手になりたいと言ったあの日から毎日帰るのが遅くなった。



よく頑張る子だ。



バスケット選手になった香織の姿が見てみたい。




これからもどんなに辛いことがあっても続けて欲しい。












★★★★★★★★★★★★★★









これ以降は白紙だった。




私はおじいちゃんがこんなに応援してくれていたのに気付くことができなかった。






おじいちゃんに会いたい。


会って謝りたい。




おじいちゃんはいつも私のことを考えてくれていたのに私は・・・・・・・私はなにもしてあげられなかった。









私は泣き続けた。




そして気付いた。なぜこんなにノートがボロボロなのかを。







きっとおばあちゃんはおじいちゃんの日記を見つけ、ボロボロになるまで読み続けたんだと思う。






私はなんとか落ち着きを取り戻し、次の日記を手に取りました。




開くとそれはおばあちゃんが書いた物でした。










★★★★★★★★★★★★★★




19××年 7月26日



朝、目が覚めた。やはりおじいさんはいなかった。



香織が泣きながら謝っていた。香織は悪くないのに・・・・



大丈夫だよって言ったら香織は泣きながら笑ってありがとうって言った。



本当に優しい子だ。




19××年 7月26日



香織がバスケットをやめてしまった。




元気も無くなったようにみえる。



元気になってほしい。




19××年 7月27日



おじいさんの日記を見つけた。



おじいさんに申し訳ない。


香織にバスケットをやらないのか聞いてみた。



香織は看護師になるといった。



おじいさん・・・・・すみません。でも香織が決めたことだから応援します。
























200×年 5月13日



体が重く上手く動かない。

でも香織の姿をみれれば幸せである。




200×年 5月14日



香織が話し掛けてくれた。


でも、もう上手くしゃべることすらできない。




200×年 5月15日



看護師さんが私はもうながくないといっていた。



香織は知っているのだろうか。



香織に会いたいけどこの頃会いに来る回数が減った。



頑張っているんだろう。




200×年 5月16日




もう てがうごかなくなってきた。



にっきはもうかけないだろう。




さいごにかおりにあいたい。



ありがとうといいたい。



かおり・・・・・・・・がんばって。






















★★★★★★★★★★★★★★










私は泣いた。泣き続けた。




おばあちゃんは私のことでずっと悩んでいたのに私は最期まで気付いてあげられなかった。







おばあちゃん・・・・・・ありがとう。




私、おばあちゃんになにもしてあげれなかったけど、おばあちゃんのこと大好きだったよ。















おばあちゃん、おじいちゃん、今までありがとう・・・・・・・・・・・・・・・・・・・私、どんなに辛いことがあっても頑張るから、見ててね。





















ありがとう



















   完

最後まで読んでくれてありがとうございます。まだおじいちゃん、おばあちゃんのいる人はまだ間に合うのでどんどん話し掛けて下さい。ありがとうございました。

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