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夏生詩集3

あたたかい音

作者: 夏生

眉間に皺を寄せて

胃のあたりに力が入って

口の中、乾いて

言葉がごとりごとりと

私の胸に強く嵌め込まれて

あまりの重さと痛みに

顔をしかめた頃


あたたかい音が流れると

ほろっとして

胃のあたりの力がほどけて

胸に詰まったものが

ポトリとおちた


あたたかい音は

やわらかくやわらかく

時も空気も心も

ほぐしていく


あたたかい音を

たててくれた人は

私の胸にごとりごとりと

言葉をはめ込んだ人で


強く言ってしまってごめんなさい

湯気揺らぐ湯飲みをこちらへそっと

置いてくださった


やさしい新緑色

ひと口含むとあたたかさと

懐かしさがふんわり広がって

すっかり溶けてしまって


鼻をすすりながらゆっくりいただくと

ごとりごとりと言葉をはめ込んだ人も

鼻をすすりながらひと口


ああ、おいしい

二人して同じことを言って

ほころんだ

















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― 新着の感想 ―
[良い点] ほっと安らぐような作品でした
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