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2013年・2014年

こんな逃げたくなる夜に

ふいに降り出す氷雨の粒 心迷う

やけに空が暗く 嫌になる

ぬかるみ道が宝物 影が楽しい

冷めた月が笑ってる 永い夜は続く

土の下に何があるのだろう 無意識それとも敗北

この世界に負けたとしても 昔話はあるのだ

際限なく 思い出はあるのだ

この世界に生まれ落ち 笑えなくとも

今は 宵闇に溶けるだけ

それだけで 生きてる価値はあるのではないか

壊しもせず 創りもせず

存在だけで 生きていたい

神にも裁かれない 純然な贋作

自然に囲まれ 孤独が映える

かの山から 舞った風

ゆれる木樹 落ちる枯れ葉

湿った空気に浸かり 体が冷たい

忍び歩いているだけで 何を壊す

千年の虚無感を 繰り返すだけ

傷跡なんて どこにもなくて

一輪の花も みあたらなくて

やがてみんな 死んでしまうのだろう

朽ちる町 淀んだ景色

人波も消えて 業も残らない

居場所もなくば 呪いもない

けれど深淵に あらがえない 

欲望を 忘れることはできない

けっきょくは 何に餓えているんだろう

いとおしい 名もなくて

仰ぐほど 空音が聞こえて

放り投げたるは コーヒーの空き缶

置き去りにして ひとり往って

うるさい鼓動を 道連れに 

かこまれた 生活のなかの

おそろしの 罪は凍えてしまって

骨のあやかしが 飛んでいる

そんな人ならぬもの 誰が見ているの

亡霊は意味をなくしたように

寄る辺を失って 転がっていく

星のあいまから 等しき不幸を

大事に握っていた あの恨めしさを

にくむことも もはややめよう

もがれた四肢も つぶれた魂も

そんなものは どこにもないのだから

壁が迫ってくる 幻をみる

感触のない壁が 人肌だと知る

ひきずりこまれ つかまれて

せきたてられる 不安が心地いい

深まる闇 こぼれる容貌

からみつく不快と 毒瓶ひとつ

根源の罪に 殺される感覚

いにしえからの くらき憂鬱

汚い唾液だけを 棄て吐いて

廃人のように ひとりぼっち

架空じゃない 用意されている肉体

手繰って 身を投じて

支配されよう 生ぬるい朝焼けに

刻一刻と 時間は流れている

おれには 歩くことしか残されていない

ああ遠くから 鬼のなき声が聞こえる


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