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ストーカーはいないけど免許を取って!

「ぐぬぬ……」

 もうすぐお盆休みで、彼女は実家に帰ってしまうらしい。

 だからその間に原付の免許でも取ろうと現在勉強中なのだが、これがなかなか難しい。



 タイトル:『原付の免許早くとりたい』

 本文:免許をとるために勉強中です



 もうすっかり彼女に依存してしまっている俺は、ブログで彼女に助けを求める。



 コメント:このページなんてどうですか? すごく勉強になると思いますよ。


 すぐに彼女がコメントをつける。貼られたアドレスへ飛ぶと、そこは交通規則などを丁寧に解説しているホームページであった。非常にわかりやすい解説で、馬鹿な俺でもすらすらと頭の中に知識が詰め込まれていく。




 タイトル:『試験受けに行ってきます』

 本文:一発で合格してみせます



 翌日、ばっちりと交通規則を頭に詰め込んだ俺は意気揚々とブログを更新。



 コメント:頑張ってください。私も今実家で手伝いとか頑張ってます。



 彼女はそうコメントを残す。そうか、いつのまにか彼女は実家に帰っていたのか。

 つまり俺の隣の部屋は今誰もいないということだよな。

 ……やましいことなんて考えてないよ、全然。





「っしゃ! 合格したぜ!」

 合格者発表に自分の番号があるのを見つけて小躍りする。

 これで後は講習を受ければ、晴れて免許ゲットというわけだ。

 うきうきしながら講習会場へ行くと、後ろから声をかけられる。

「よう」

 振り向くとそこには金髪で長身の女性が立っていた。

「誰だっけ?」

「あー……俺もどっかで見たことがあるから声かけたんだけど、誰だっけ?」

 自分から声をかけておいてなんだこの馬鹿女は、彼女を見習えと思いながら、記憶を探る。

「ああ、お前確か4組の」

「おお、そうだそうだお前は5組の」

 お互い思い出してポンと手を叩く。

 彼女は隣のクラスの女子生徒だ。会話した事はないが4組と5組は体育で一緒になるし、金髪の長身というのは目立つのでインパクトがある。

 俺だって別にずっと彼女にしか目がいっていないわけではないのだ。

「お前も免許取りにきたのか? 免許取って何やるんだ? 俺か? 俺は勿論彼氏とツーリングだぜ!」

 聞いてもないのに自分の事をぺちゃくちゃと喋る金髪。一人称が俺でもやはり女の子は話すの大好きということなのだろう。

「ああ、いいねツーリング。うん、俺も彼女とツーリングしたいよ」

 返答しながら頭の中で彼女とのツーリングを想像する。

 心地よい風に揺られながら、並んで走る俺と彼女。うーんファンタスティック。

「でもよー、俺のお兄ちゃん……お前のクラスにいるチビなんだけどな、お兄ちゃんがバイクなんて危ないから乗っちゃだめとか言うんだよ、本当に何様だよって感じ」

 悪態をつく金髪。ああ、あの女の子みたいな男ってこいつの兄だったのか。まあ同じクラスだけど喋ったこととか全然ないからどうでもいいけど。

 しかしそいつの心配もわかる。バイクの事故は多いからな。

 冷静になって考えてみれば、彼女とのツーリングは諦めた方がいいだろう。

 ドジなところのある彼女がバイクに乗っても、事故る未来しか見えてこない。

 ……ていうか、俺が原付の免許取ったら、彼女も取ろうとするんじゃないだろうか。

「すぐにでも彼氏とツーリングしたいんだけどな、こればかりは誕生日がまだ先だからなあ」

 彼女の誕生日もまだまだ先か。それまでには、この関係に決着はつくのだろうか?

 金髪のノロケ話をうんざりするほど聞かされながら講習を終え、無事に免許をゲットした。


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