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ストーカーの差し入れいただいて!

 新しいバイトを探そうと思った俺は、彼女に何かいいアルバイトはないかブログで聞いてみた。



 タイトル:『いいバイト誰か教えてください』

 本文:肉体労働系で時給は800円くらい欲しいです



 すると彼女がコメントをつける。

 コメント:〇〇建設のアルバイトなんてどうですか?


 建設系か。確かに俺の鍛え抜かれた体を活かすには、いいアルバイトだろう。

 彼女に言われる通りにそのバイト先へ面接を受けに行き、無事に内定をもらう事ができた。



「いやあ君、良い身体してるねえ」

「鍛えてますから」

 てかった筋肉が魅力的な工事現場の主任に褒められて思わず照れてしまう。

 ガタイのいい工事現場のおっちゃん達に見劣りしない俺の肉体。

 タンクトップ姿で削岩をしながら汗を流す。まさに健全な男子高校生の夏休み。

 不満があるとするならば、男しかいないということか。

 確かに時給はいいし、俺にあったバイトだとは思うのだが、やはり彼女の姿が見たいなあ、なんて考えていた。

「君、はいこれ、差し入れ」

「へ? 差し入れ?」

 お昼休憩になったので、どこかでお弁当でも買ってこようと思っていると、主任からお弁当を渡される。

「主任の手作りですか?」

「ははは、そんなわけないじゃないか。向こうにいる女の子が振る舞ってくれたんだよ。何でも視察に来たそうな」

 言われて向こうを見ると、

「……」

 そこにはこっそりとこちらの様子を窺っている、変装モードの彼女が。

 よくよく工事現場の責任者を見てみると、彼女の苗字と同じ企業所属らしい。



 なるほど、読めたぞ。

 このバイト先は、彼女の実家の系列だということか。

 そしてご令嬢の彼女は、自然にここへ視察に来ることができると。

 貰った差し入れを開くと、とても美味しそうなお弁当だ。

 きっと彼女の手作りなのだろう。

 ただ気に食わないことがあるとすれば、お弁当はバイト全員に振る舞われているということだ。

 彼女からすれば俺にお弁当を渡したいが、俺だけひいきすると何だか印象悪いので、

 全員分作らざるを得なかったのだろう。大丈夫、わかってるよ俺は。



「君も見てないで、一緒に食べようよ」

「……! ……♪」

 お弁当のお礼にと、隅っこに体育座りしてこちらを眺めている彼女の方へと歩み寄り、お昼のお誘い。

 彼女は嬉しそうにマスクを外して自分のお弁当を広げる。

 これが初めての彼女とのご飯になるのか。

「このお弁当、君が作ったの?」

 お弁当を食べながらそう問いかけると、顔を赤くしてコクコクとうなずく。

 肝心のお弁当の味はと言うと、素晴らしい、絶品だ。

 以前食べた彼女のクッキーも最高に美味しかったし、彼女は料理がうまいのだろう。

「君の素顔が見たいな。サングラス外してよ」

「……! ……」

 ちょっと意地悪してそんな事を言うも、首を横に振られてしまった。

 サングラスかけてようと、バレバレなんだけどなあ。



「ごちそうさま。美味しかったよ、それじゃ、バイトに戻るから」

 お弁当を食べ終えた俺は彼女に感謝し、削岩機を手に所定の位置へ。

 そのまま作業を続けていたのだが、彼女の視線が気になって仕方がない。

「ちょっと、やってみる? ばれると怒られるから、隠れてだけど」

「……♪」

 どうやら彼女は削岩機を使ってみたかったようだ。



「そうそう、真っ直ぐ持って、力はそんなに入れなくていいから、うん、うまいうまい」

「……♪」

 彼女の後ろに立ち、肩を持って支えながら、彼女の削岩をお手伝い。

 工事する女の子って、いいよなあと思った、そんな日でした。

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