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絶世の姫は愛を拒み、呪いを遺した―西の京・山口に眠る姫山伝説―  作者: さとちゃんペッ!


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第4話 小夜が召される

ご覧いただきありがとうございます!

伝説……この伝説を知ったのは、書物からではなく、生きた人間との会話からでした。伝説を元に創作した物語をここに謹んでお届けします。

 その日の夕方だった。屋敷の空気が変わった。ざわめきが走り、人の気配が急に増える。

「山口から使いが来たぞ!」

 小夜の父が慌てて門へ向かう。そこに立っていたのは武士だった。鎧こそ着けていないが、その立ち姿だけで空気が張り詰める。


「平川の長者殿で相違ないな」

「は、はい」

それがし陶晴賢すえはるたか。大内家より命を伝えに参った」


 その一言で、場の空気は凍りついた。

「そなたの娘、小夜を――館へ召し出す」

 小夜は奥の間で聞いていた。

 音が消えた。風の音も、人々のざわめきも、すべてが止まった。


 長者館の広間に侍たちは座った。

 小夜は母に連れてこられた。

「この者が、長者の娘でございます」


 陶晴賢は、荒くれ武者らしく大声で怒鳴った。

「大内義隆公のそばで仕えることになる。今すぐ出発するぞ。支度は不要じゃ」

 灯りが揺れ、母は涙をこらえ、父は言葉を失っている。父の背後に侍が立っている。まるで、いつでも首を斬り落とせると言っているかのように。


 大内家――西国を支配する絶対の力。

 小夜は思った。

(その頂からの命に、逆らう道はない。もし、《《ここで》》拒んだら、父が罰せられるに違いない)


 小夜の胸元には龍一郎に手渡されたに髪飾りが布に包まれて忍ばせてある。

 着物の上から髪飾りに触れた。力が湧いた。

(龍一郎さまがきっと助けに来てくれる)


「……わかりました」

 小夜は静かに言った。

「小夜……!」

 母が声を震わせる。

「大丈夫です」

 微笑むが、その頬は引きつり、その指先はかすかに震えていた。



 館へ向かう道、小夜を乗せた馬は夜の闇の中を進む。松明たいまつの火が揺れ、影が揺れる。小夜はひとり、髪飾りを握りしめていた。

(龍一郎さまに……もう一度、会いたい)

 その思いが胸を締めつける。だが、もう戻れない。


 大内殿の館は、光に満ちていた。夜であるはずなのに昼のように明るく、灯火が並び、香が焚かれ、すべてが整えられている。そこは、まるで別の世界だった。


 小部屋で美しい衣装に着替えさせられた。手早く髪を結われ化粧を施された。

 化粧部屋の女は小夜を見てつぶやいた。

「なんとまあ麗しい姫じゃ。……気の毒にのう」


 導かれるまま広間へ入る。畳に衣擦れの音が広がり、無数の視線が突き刺さる。上座に座るのは大内義隆、その隣には鋭い目をした陶晴賢。空気は重く、逃げ場はない。


「……面を上げよ」


 小夜はゆっくりと顔を上げた。その瞬間、義隆の目が見開かれ、陶の目が細くなる。――見つけた。それぞれの意味で。

 その美しさは、ただの娘ではなかった。国を揺るがすほどの、運命そのものだった。


(……帰りたい)

 小夜は、そう思った。胸の奥で、小さく。だがその願いは、どこにも届かない。ここから先は、もう戻れない。権力の中へ、静かに呑み込まれていく。


「今宵は疲れたであろう。ゆっくりと休むように」

 小夜にはその声の持ち主が誰なのかはわからなかった。しかし、ここの男たち全てが敵だとわかっていた。


◆◆蛇娘ノート◆◆

武断派の武者・陶晴賢ですが、この時期の名前は陶隆房だったようです。大寧寺の変以降、晴賢に改名したようです。隆房だと「誰?」になってしまうので、陶晴賢と書かせていただきます。

あれ? と思われた歴史通の皆さま、お許しくださいませ。


この情報は読者様からいただきました。

ありがとうございました。
































最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます!

いかがでしたか?


感想をいただけるとすごく励みになります。

次回もどうぞお楽しみに!


さとちゃんぺっ!の完結済み長編歴史小説、良かったら読んでください。↓

歴史部門:なろう日間2位 週間2位 月間2位 四半期2位 (1位はとれない)

源平合戦で命を落とす安徳天皇に転生した俺、死にたくないので、未来の知識と過剰な努力で、破滅の運命を覆します

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