25.
レインはアルトの隣に座り、夜の川を眺める。
「……もし、カルマが生きていたら今頃どんな子になっていたのかな?」
レインがポツリとそう言葉を呟く。
「そうだな……。きっと優秀な戦士になっていたかもしれないな……」
その言葉にアルトがしんみりとした声でそう言葉を綴る。
「もう……何も起こらないといいのに……」
レインがまた、ポツリとそう言葉を綴る。
その言葉にアルトはなんと声を掛ければいいかが分からない。
しばらくどちらも口を開かずに静寂だけが流れていく……。
耳に聞こえるのは流れる川の音だけ……。
「ねぇ……」
その静寂をレインが破り、小さく声を出す。
「どうした?」
アルトがレインに尋ねる。
「私たちは……ずっと一緒にいられるかな……?」
レインの言葉にアルトは返事をすることが出来ない。出来ることなら「ずっと一緒だ」と言いたいが、いつ自分も戦争で命を落とすか分からないので、その言葉を言う事を躊躇ってしまう。
「アルトは……アルトだけは何処にもいかないよね……?」
レインがか細い声でそう言葉を綴る。
その言葉にアルトの胸が締め付けられる。
『レインを守りたい』
アルトの心の中でその想いが膨らむ。
「……レインは……レインのことは守るよ……」
アルトがそう言葉を綴りながら、レインを抱き締める。
「アルト……私ね……アルトのこと――――」
レインがそこまで言葉を綴った時だった。
――――ドカーーーーン…………。
突如、爆発のような音が響く。そして、その音に驚いてアルトが立ち上がると、村の方向から黒煙が立ち上っているのが見える。
アルトはその場に持ってきたあるものをそのままそこに置いて、レインと共に村へ急いで駆けて行った。
***
――――バババババッ……!バババババッ……!!
――――ドカーーーーン……!ドカーーーーン……!
グルドフとドルクがそれぞれ戦闘機や兵士を連れて、アルトたちの村に闇討ちを掛けてきた。そして、武装した兵士たちは爆発音で驚いて家から飛び出してきた人たちを銃で殺していく。
「撃てー!撃てー!一人も生かすなー!!」
ドルクが戦車の上で兵士たちにそう大声を発する。
「あの時の屈辱を晴らしてやる……」
別の戦車に乗っているグルドフがアンシェル国とラグアンチ国の戦いで、嵐が起こり、戦争が中断になったことを根に持っているのか、不気味な笑みを称えながらそう言葉を綴る。
殺戮が繰り広げられて、静かな夜に爆発音と銃が放たれる音が鳴り響く。
その光景はまさに地獄絵図だった……。




