23.
カルマをその場から少し離れた場所に弔い、花をその周りに散りばめる。
そこには今回の戦争で命を落としていった仲間たちも弔った。そして、ガンはその場所で残った仲間たちに別の地に向かう事を話す。
「俺たちはただ穏やかに暮らしたいだけなのに……」
「なぜ、天は俺たちにこんな試練を与えるんだ……」
その場にいる仲間たちがそう口々に言葉を綴る。
戦争をしたいわけではない……。
誰が好き好んで戦争をするのだろうか……。
そして、今回の戦争も前回の戦争でも自虐史観を植え付けられ、戦に支障が出るように仕向けられた。
「……今夜中にこの地を出よう……」
ガンが静かな声で皆にそう言葉を綴る。
そして、アルトたちはその地を捨て、その場所を去って行った。
***
「……例の案で上手くいったみたいだな」
アンシェル国からバンドール国にやって来たグルドフがドルクと対面になって座り、そう口を開く。
ラグエルからファンに連絡があり、例の作戦で戦争はこちらが有利に運び、完全勝利したことを伝えると、グルドフは祝いの品を持ってバンドール国に訪れた。
「なかなかその『自虐史観』というのは使えるな。これからの戦でも活用できそうだ」
ドルクが笑いながらそう言葉を綴る。
「それで、ラグアンチ国の奴等はさらに南に向かったのだな?」
「あぁ。まぁ、多分またそこの地も荒れた地なのだろうけどな」
グルドフの言葉にドルクがそう応える。
「全く、忌々しい奴らだな……」
グルドフが苛つきを露わにしながらそう言葉を発すると、何かを思い付いたのか、ニヤリと笑う。
「なぁ……、ドルク殿、提案があるのですが……」
グルドフがそう言葉を綴り、ドルクにある事を話す。
「……確かにそれは良い案だな。分かった、協力しよう」
ドルクがグルドフの話を聞いて、そう言葉を綴る。
そして、お互い握手を交わし、計画を進めることにした。
***
「……着いたぞ」
ガンがある場所に着いてそう声を出す。
その地は寒さゆえか、乾燥で地面はひび割れ、所々に大きな穴が出来ている、前の所よりも荒れた土地だった。
そして、その地をガンたちはまた開拓して住処とすることにした。ただ、ラグアンチ国と名乗ることをやめ、元の民族としてこの地を「村」という風に呼ぶことを決めた。
あれから月日は経ち、アルトは十八歳になった。
開拓はまだ途中の段階だが、それなりに住めるような環境が整ってきている。しかし、前回の戦争で男たちが大半無くなっており、作業は思うように進まなかった。それでも、皆で力を合わせて、この地を開拓していく。
この地が最後の安住の地になると信じて皆は開拓の作業に精を出していた。
***
「……ふぅ、こんなもんかな」
アルトが作業の手を止めて、息を吐く。
アルトは新たに畑を作るために村の一角を鍬で耕していた。そこには、他の男たちも加わり皆で協力して畑を耕していく。
ある程度耕し終わり、皆でその近くで休憩を取っていると、レインがアルトの所にやってきて、持っていたパンをアルトに渡す。アルトはそれを受け取るとお礼を言って、そのパンに齧りついた。
「ふふっ。そんなに慌てて食べなくても誰も取らないわよ?」
アルトの食べる様子を見てレインが微笑みながらそう言葉を綴る。
「ごめん。腹減ってたからつい……」
アルトが一旦食べるのを止めて、そう言葉を綴る。
そして、アルトはまた作業に戻っていった。
穏やかな日々が続く……。
でも、誰の心にもまたいつ狙われるか分からないという恐怖感が拭えない……。
***
「……そろそろいいだろう」




