16.
「……いいぞ~!もっと腰を振れ~!」
一人の男が酒の入った木製のジョッキを手に、踊っている女にそう声を掛ける。
今日はラグアンチ国の「新たな国の日」という事で、この地に来た日をお祝いの日として、男たちは酒を飲み、女たちは歌いながら踊り、子供たちははしゃいでいた。
男たちの中には、酒に酔った勢いで女と一緒に肩を並べって一緒に踊っている者もいる。女たちもそんな男と笑いながら楽しそうに愉快に踊り出す。
今日は国中がお祝いのため、賑やかさが夜更けまで続いていた。
アルトたちもみんなと混じり、楽しそうに過ごしている。
そこへ、上半身裸の男たちがステージのような場所にやってきて、それぞれの筋肉を自慢するという余興をしている。
「……優勝は、ガン国主!流石、鋼の肉体を持つ男!」
進行役をしている男がガンの手を高々と掲げながら、そう言葉を発する。それを見ている人からは「流石国主!」というような声を発しながらみんなガンに大きな拍手を送っている。
「……やっぱり、アルトのお父さんの筋肉って凄いよな~」
カルマがガンをキラキラとした瞳で見ながら、そう声を発する。
「父さんは俺にとって最高の男だからな!」
アルトがそう言葉を綴りながら、嬉しそうな顔をする。
そして、そんな夜をラグアンチ国の人々は楽しそうに過ごした。
***
「……自虐史観?」
グルドフの言葉にドルクがはてなマークを浮かべながらその言葉を聞き返す。
ドルクとラグエルは共に、アンシェル国に訪れていた。ラグエルがファンに連絡を取り、会談することになったため、この国にやって来て、アンシェル国の王宮の中にある一室でグルドフとドルクは対面になるように腰を掛ける。その傍にはそれぞれの側近が控えていた。
そして、ラグアンチ国との戦争の時に、グルドフが彼らに自虐史観を植え付けて戦争をこちらが有利になるように持っていた事を話す。
「……実際に奴らはそれで我々の兵士に上手く攻撃がしにくくなっていた。つまり、その方法を使えば奴らがいる地を奪うことが出来ると思うぞ?」
グルドフが不気味な笑みを浮かべながら、そう言葉を綴る。
「だが、奴らが今いる地は誰の国のものでもない。その地を奪うとしたらその理由を作らなきゃならん」
グルドフの言葉にドルクがそう言葉を綴る。
アルトたちが今暮らしている場所は、バンドール国の土地という訳では無いので、何も理由なしにその国を攻撃することはできない。下手をすればバンドール国は戦争が好きな無慈悲な国と世界に思われてしまう。
「……その地を奪う何か良い策は無いだろうか?」
ドルクがグルドフにそう尋ねる。
「そうだな……。何か良い方法があれば良いのだが……」
グルドフもその地を奪う何か良い策がないかを考えるが、何も思いつかなくて唸る。
「あの、宜しいですか?」




