表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/10

もうすぐ乙女ゲームがスタートします

 月日の流れは早い。

 9歳に前世の記憶を思い出してから、気づけばあっという間に7年の時が流れた。


 僕は既に16歳。

 お嬢様はもうじき15歳になる。


 この世界では社交界を12,13歳にデビューし、15歳で魔力を持つものは必ず、魔法学園に入学しなければならない歳である。


 遅生まれのお嬢様は来月が誕生日。翌月に入学式だ。

 そのための誕生日準備、そして入学準備。屋敷はバタバタと騒がしくなっている。


 ちなみに、僕はすでに16歳だが高貴な生まれではないので15歳での入学は見送られた。

 なので、今年お嬢様と共に魔法学園に入学する。


 前世ではもうないと思っていた学園生活、そして青春。多少ワクワクしている。

 しかし、魔法の能力値からしたら行く必要はないので気分は上がりきらない。


 7年で魔法は王国一。いや、世界一のレベルまで育っている。

 まぁ戦闘機会がなかったので実際は分からないが。

 しかし、乙女ゲームでのクロードは超えているので、おそらく世界一で間違いないだろう。

 無詠唱魔法も完璧だ。

 強さも誰にもバレていない。


 これも全て未来の悪役令嬢だったイザベラお嬢様を変えるため。


 そして、そのお嬢様はどうなったかって?

 僕のおかげもあり、いい感じにプライドの低いツンデレになった。


 7年の時をもってしても、デレデレにはならなかった。

 しかし、元々の理不尽で我儘な高飛車お嬢様を考えたら育成大成功である。自分を褒めてあげたい。


 ゲームとは違い、攻略対象との関係も良好だ。


 第1王子レオンハルト殿下とはしっかりとした婚約関係をキープ。

 彼から7年前の可愛い童顔は消え去り、ゲーム通のイケメンになった。


 ゲームではお嬢様からのデレを無視していたいけ好かない野郎だったが、この世界では逆転。

 推しのお嬢様がデレデレになるのも嫌だったが、そうはならず。

 令嬢をあしらうチャラさは存在なく、ツンなお嬢様に無下にあしらわれる存在となった。


 その護衛、ルーカス・ヴェイルとも良い関係。今では僕の友人だ。なんか懐かれてしまった。

 しかも、そんな身分を気にせず話してくれるので、悪い気はしない。まぁ僕は強い事を隠してるのでは別の意味で悪いとおもうが…。


 そして、見た目もちゃんとイケメンに成長した。

 王子に対する能力コンプレックスもなく、攻略対象で1、2を争う人格者となっている。

 …しかしゲームとは違い、彼の婚約者に攻略されており、クールキャラに似つかないデレをよく見せている。


 ちなみに、彼の婚約者とお嬢様は親友関係を構築した。

 月に何度も会って遊ぶ仲だ。これで背中を刺される心配はない。


 これからお嬢様が所属する(予定の)生徒会の先輩キャラクター、ラファエル・アルマンとはそこまで関係を築けてはいない。

 だが、社交界で彼から話を聞く限りマイナスな印象は持たれていないよう。


 最後のキャラ、クロード・ヴァレこと僕は…言わずもがなだ。

 お嬢様とは良い関係のまま。

 謎にお仕置きは未だにあるが…特に嫌われているわけではないと思う。

 もちろん、ゲームのように根暗キャラでもない。


 ヒロインとの関係値はゼロだが…会う機会もゼロだったので仕方がない。

 こればかりは入学後に期待するしかない。

 ヒロインがまさかの転生人物なんて展開も危惧したが、調べた所普通に良い子だったので、今のお嬢様なら断罪される未来は無さそうだ。


 そもそもお嬢様、最近は悪評なんてほぼゼロなのでヤバい事は起こらないだろう。

 強いて言えば、多少のおバカキャラ感が残っているのが不安要素ではあるが…まぁ、暴走しても僕が止めればいい。


 しかし他には、いつぞやのラビッシュ侯爵に働いたシナリオ強制力が怖いくらいだが…それを跳ね返すための力は手に入れた。


 さて、そして入学準備の方の進捗はバッチリである。

 なんせ公爵家令嬢、そして未来の王妃様の一大イベントだ。1年以上前から不安要素を徹底的に排除してきた。

 学力試験は難なく、僕とお嬢様共々平均を上回った。お嬢様に至っては成績順位は3位である。


 ちなみに、この順位は乙女ゲーム通りではない。

 ゲームでは勉強に魔法と、力をセーブしなかった僕が1位。続いてレオンハルト殿下が2位。3位にヒロイン。4位にお嬢様、5位にルーカスとなっていた。

 しかしこの世界では僕は頂点にいなく、4人共1つ順位が上がっている。


 なので首席挨拶は順当に、立場的にもふさわしいレオンハルト殿下になる。

 ゲームでは、王子や公爵家の跡継ぎ達を抑えて一介の従者が挨拶するのは受け入れられず、イザベラお嬢様が代わりに行った。その場で平民出身のヒロインに難癖つけたりと、入学式に適さない発言をして、多方面からヘイトを溜められてしまったイベントでもある…。


 話は変わって、お嬢様の身の回りの世話をするメイドも募集をかけたり、スカウトしたりしてしっかり選定した。

 ただ、結果としては8年ほど前から公爵家に勤めてきた僕の2つ年下のメイドになった。そう、エミリーである。

 元理不尽お嬢様には誰を付けようかと困っていた所、「一緒に行きたい!」まさかの申し出があったためだ。


 他には、お嬢様が泊まる生徒寮の部屋確保。

 通常は生徒2人で1部屋の所を、生徒ではないエミリーとお嬢様との組になれるようにしたことだ。

 公爵家の令嬢と言うこともあって、面倒な手続きを踏めば簡単だった。

 普通に、面倒だったけど…。


 ちなみに、僕自身は普通に二人部屋。

 細工しようと思えばできたが、それも青春の一つだと思い、あえて流れに任せた。


 いよいよ、舞台が学園へ、乙女ゲームのスタートへと移ろうとしているのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ