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謎解きの解答 Past chapters

中3の時に描いていた漫画の過去編的なものを書いてみました。(なので友人しか内容わかんないと思いますが)よかったら読んでみてください。

肌寒く、枯れ葉が散る季節。


そんな平凡な日常にも、悲しみの傷が抱えられている。


2019年 10月14日


PM 2:35


4限の授業が終わった頃、帰りの支度をしていた。

すると前の方からクラスメイトが近寄って来た。

「ねぇ、谷口君ちょっといいかな?」

「……、何?」

「突然ですが、俺と友達になってください!」

「嫌です」

凌は即答した。この人は同じクラスの柳澤心という人だ。普段から元気な姿をよく見るけど、なぜ自分に話しかけてきたのだろう。

「いやそんな即答しなくてもぉ、仲良くしようよ谷口君〜」

「いやその前にその呼び方やめて、僕男子に君呼びされるのは正直気持ち悪いと思ってるんです」

「おぉそっかぁ、じゃあ凌って呼ぶわ」

「え?」

「よろしく凌!」

終始戸惑っていた。突然話しかけられるし、君呼びを拒否したらいきなり名前呼び。

本当になんなんだ。


***


ある日の交番、これといった事案などもないようで。交番内でだらけている警察官がいた。

「はぁ〜、眠〜。それにしても暇だな〜」

[相沢康、警察学校を卒業したばかりの新任警察官]

「はぁ〜」

あくびをしていると突然後頭部に強い衝撃が走った。

「いった!?」

「なに新人がサボってんだよ、働け!」

「もぉ叩かなくてもいいじゃないですかー、特に事案もないから暇なだけですよ」

「仕事はないけどなぁ、サボっていいとは言ってねぇぞ?ほら、巡回行ってこい!」

相沢は上司にどやされたので、管内の巡回に向かった。


***


心は凌にお願い事があったようだ。

「なぁ凌、勉強教えてくれない?」

「勉強?」

「ほら、凌学年一頭いいじゃん。それに仲良くなりたかったから!」

そう、凌は学年一位になるほど頭が良い。普段教室の端にいる陰キャのような存在なのでみんなは気づいていないが。

(勉強教えたらどっか行ってくれるかなぁ)そう内に抱く。

「……、わかったよ」

「本当!サンキュー凌!」

ずっとこのテンションなのは、正直きつい。そう思いながらも、勉強を教えることにした。

しばらくしてから心がこんなことを聞いた。

「なぁ、そういえば凌ってなんでいつも一人でいるの?」

「え?」

「あいや、そんなに勉強も運動もできるのにどうして誰とも関わらないのかなって」

凌はその問いに対して下を向き、言葉を失った。まるで何かを思い出したくないように。

「あ、ごめんなんか。変なこと聞いて」

少し気まずい雰囲気になった時、突然廊下の方から叫び声が聞こえた。

二人は何事かと思い、その悲鳴の方へと向かった。すると女子生徒がいて窓の外に指差していた。その指差す方を見てみると、女子生徒が頭から血を流して倒れていた。

「あの、何があったの?」

「突然屋上から降ってきて」

「え?!やばいよ、誰か救急車呼んで!」

心は慌てていたが、凌は無言で窓の外を見ていた。

しばらくして救急車が到着し、その子は病院に搬送された。一安心かと思いきや、生徒達の間では議論を呼んでいた。

「自殺しようとしたのかなぁ?」

「いや、あの子真面目だしいい子だからそんなことはないと思うよ」

「じゃあ、誰かが突き落としたとか?」

教室内では自殺か誰かに落とされたかで議論になっていた。確かにあの子は真面目で、とても自殺するような子ではない。なので誰かに突き落とされたのでは?と全員思っているようだ。

だが、心はそうでもないようだ。

「ん〜、でもあの子を殺そうとする人なんているかなぁ」

凌はそんなことは気にせず、帰る支度をする。するとボソッと呟いた。

「心が強い人間は、心が弱い」

「え?どういうこと?」

凌は心のことは気にせず、その場から立ち去った。心は慌てて凌の後を追って行った。

そして凌に先程の言葉の意味を聞いた。

「心の強い人間は、傷を抱えてもそれを誰かに話すことができない」

「んー、やっぱよくわかんないな」

「もういい?これから行くとこあるから、着いて来ないで」

そう言ってどこかへ向かった。しばらくして目的地に到着したようだ。

「え、病院?」

「……」

そう、凌が来た場所は病院だった。その理由をこの時、心はまだわかっていなかった。

心は凌にここに来た理由を聞いたが凌は無視してそのまま歩いていた。そして病室にたどり着いた。

「悪いけど君は入らないで」

「え?」

そう言って病室の外に心を締め出した。

その病室にいたのは屋上から落ちた子、森田詩織という子だった。

「……谷口くん?どうして……」

彼女はとても戸惑っている様子だった。

「話を聞きに来た」

「……話?」

「うん、どうして……"自殺しようとしたのか"……」

その言葉を聞いて彼女は目を見開いた。どうして知っているんだ、というように。その時病室の外にいた心も聞いていて、彼も驚いた様子だった。

「どうして……」

「……、みんな君が自殺するはずがないって言って。誰かに突き落とされたとか言ってるけど、人間はそんな単純じゃない」

凌が言いたかったのは、表面的な印象だけで鵜呑みにして底にある気持ちに気づいていない。そう言いたかったようだ。

「森田さん、本当は何があったの?」

そう言われ下を向いてしまったが、彼女は話してくれた。

「……私、癌なの……」

「え」

外で聞いていた心はその言葉に驚いていた。

「膵臓癌、発症したことに気づかなくて……。身体の調子が悪かったから検査したら末期で……」

「……」

「……余命半年って言われて……、もう何もかも嫌になって……」

彼女は沢山の涙を流しながらそう言った。凌はそんな彼女にこう言った。

「でもね、だからと言ってそれを逃げる理由にしちゃいけない」

「うるさい!どうして私に構うの?谷口くんに私の何がわかるの!」

「わかるよ」

「……え?」

「……僕去年、友達を亡くしてるんだ」

「……え?」

「……自殺だった、僕の目の前で……」

凌はそう言って、過去に何があったのかを話し始めた。


***


それは、曇っていて薄暗い日だった。


僕は廊下を歩いていた。すると、中庭の方からドンッという音がしたと同時に叫び声も聞こえてきた。僕は気になり音の場所へ歩いて行った、そしたら……


「……、しょう……」


そこにあったのは、親友が頭から血を流して倒れている光景だった。するとその時、凌の悲しみを表したかのように雨が降り始めた。


「はぁ…はぁ……はっ……」


飛び降り自殺。竹田翔太は度重なるいじめを受け、とうとうそれに耐え切れなくなりベランダへ飛び出し、飛び降りた。

凌はそれに気づくことができず、親友を失った。


***


凌は自分の過去を全て話した。

「だから、抱え切れなくなっても。死んでいい言い訳にはならない」

その言葉を聞いて詩織は再び涙を流す。

「それに今の時代、病気は治せないものじゃない。それに君には、まだ未来がある」

そう言葉を残し、凌は病室を出た。

「あ、ちょっと待って」

病室の外にいた心が後を追いかけてくる。そしてこう言った。

「凌って意外と優しいんだね、今まで無愛想で人と関わってなかったからわからなかったけど」

「別に、普通だよ」

「へぇ〜、ツンデレか」

心がそう言うと凌は心に強力な肘打ちをする。心は悶絶していたが凌はそんなことは気にせず歩いて行った。


***


そんな中、ひったくり犯を追いかけていた相沢。

「へっくしゅん!!」

彼の全身はびしょ濡れだった。どうやらひったくり犯と格闘した末、あっさり負けて田んぼに突き落とされたようだ。

「おい大丈夫か?」

「なんとか……」

「とりあえず着替えてこい」

「はい……」

やはり警察官は大変な仕事だ。

「はぁ……帰ろ」


***


2025年 3月22日


PM 10:02


夜分遅く、心は凌の部屋で遅くまで課題をやっていた。ために貯めた心の自業自得であるが流石に可哀想なので凌が少し手伝っていた。

「はぁー疲れたー、休憩」

「おい、あと少しなんだから頑張れよ」

「無理無理無理無理無理」

心はゴネだした。それには流石に凌も鬱陶しいので30分休憩することにした。

「何か配信でも観るかぁ」

「30分だけだぞ」

「……ん?なんだこれ?」

「ん?どうした?」

そう言って心は画面を見せてくれた。それはとある配信だった。

『それでは!この二人の最期を見届ける視聴者の皆さん、いいねとコメントをよろしくお願いします。二人の死に様……、しっかりとその目に……焼き付けろ』

配信主はそう言って涙を流していた。

「なんだ?」

「ちょっとこれやばいんじゃない?」

流れる不穏な空気、その光景を前に二人は何を思ったのだろう。

最期まで読んでくれてありがとうございます。

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