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第7話 ボス

『レベルが499から500へ上がりました。』


「よし」


 レベルは順調に上がり続けている。

 やはり魔力感知(マナセンス)と無能の相性はよく、ピンチに陥った戦闘は一つもなかった。


『レベル500を越えた為、アンリミテッド魔法が解放されます』


「アンリミテッド魔法?」


 はじめての通知だった。

 

『アンリミテッド魔法の終末の光(アポカリプスライト)を習得しました』

『アンリミテッド魔法の万象融合(アルカナシンセシス)を習得しました』

『アンリミテッド魔法の災厄の雨カタストロフィックレインを習得しました』


 ステータスを確認すると、確かに《魔術 ※アンリミテッド》の欄が追加されている。

 一種の隠し魔法的なやつだろうか?


 そうして更にいくつかの階層を下ってレベリングを重ねて、レベルも遂に1000を超えたところだった。


 ダンジョンの一角で仰々しい巨大な鉄扉を発見する。

 その扉で行き止まりで、おそらくここを通過しないと行き場はない。

 いちゲーマーとしてボスの出現を予感させる場所だ。


 すでに、魔力感知(マナセンス)によりこの中には2体の敵がいることは感知済みだ。

 真理洞察(トゥルースビジョン)で敵のステータスと姿を確認する。


 一体目の敵は山羊の顔に筋肉質な巨体で、斧槍(ハルバード)を装備しているのがステータスとともに映し出された。


 ================

 《名前》 アイゴノックス

 《レベル》 1115

 《種族》 悪魔

 《生命力》 31616

 《魔力》 19966

 《攻撃力》 17640

 《防御力》 15975

 《魔法攻撃力》 12976

 《魔法防御力》 13307

 《俊敏》 17305

 《知力》 9983

 《スキル》

 暗黒の咆哮(ダークロア)夜闇の迷い子(ナイトシェード)魔界の渦(デモンサイクロン)

 《魔術》

 闇の結界(シャドウフィールド)生命の泉(ライフウェル)

 ================


「あれ、そんなレベル高くないな」


 このフロアの敵はレベル1100くらいあった。

 ボスでも雑魚敵とそんなにレベルは違わないのだろうか?

 それともボスっぽいけどボスじゃないとか?


 『暗黒の咆哮』は怯ませ、『夜闇の迷い子』は混乱と状態異常系のくらったらヤバそうなスキルを持ってる。

 この敵も先手必勝でいきなり無能をぶつける形になりそうだ。

 

 もう一体も確認してみる。

  

 ================

 《名前》 メデュラス

 《レベル》 875

 《種族》 悪魔

 《生命力》 27255

 《魔力》 20654

 《攻撃力》 11476

 《防御力》 13772

 《魔法攻撃力》 16783

 《魔法防御力》 13196

 《俊敏》 14918

 《知力》 9467

 《スキル》

 虚空歩行(クオーラムシフト)魔力吸収(マナドレイン)

 《魔術》

 星空の裂け目(スターヴォイド)魂の結界(スピリットバリア)死霊の支配(ネクロマスタリー)

 ================


 今度も悪魔系だ。大きな一つ目に触手のようなものが複数ついて、頭部のみで浮遊している。

 巨体のアイゴノックスと比べると随分と小さい。

 それにしてもこのレベルは……。


「雑魚じゃん。コイツ倒すのは後からでよさそうだな」


 レベルが100以上も違うのだ。楽勝だろう。

 スキルと魔術も詳細を確認しなかった。

 少し厄介そうなアイゴノックスを速攻で倒せば勝ったも同然だ。


「よし、じゃあいくか」

  

 俺は重々しい鉄の塊を思いっきり押して、大扉を開く。


 室内は石畳が続き、石柱が両サイドに並んでいる。

 部屋は広く体育館ほどではないが、それに近いくらいの広さがあった。

 

 正面の座席に鎮座するアイゴノックス。

 巨体に併せて作られたのか座席も大きい。

 アイゴノックスの後方の石柱に隠れるようにしてメデュラスは浮遊している。


 遊ぶつもりはなかった。

 先手必勝、俺はすぐさま手をかざしてアイゴノックスを滅しようとする。

 しかし、アイゴノックスもすぐさま斧槍(ハルバード)を手にして凄まじいスピードで距離をつめてきた。


「…………」


 右上半身、顔の半分も失ったアイゴノックスが崩れ落ちる。

 血は赤ではなく紫色をしている。

 石畳が紫に染まり、ピクリともしない。

 明らかに絶命している。


 後は――


 奥のメデュラスを確認する。未だに石柱の影に隠れているようだ。

 下手に狙って、石柱を巻き込んで天井が崩壊とになったら嫌だ。

 アイゴノックスの屍を超えて、もう少し近づこうとしたときのことだった。


 首筋がゾクリとする。

 それとともにありえないことに、何かしらの気配を背後から感じる。

 怪訝に思いながらも振り向く。

 するとそこでは絶命したはずのアイゴノックスが斧槍(ハルバード)を俺に向けて振りかぶっていた。


 全力で回避する。振り下ろされた斧槍(ハルバード)が地面を穿つ。

 凄まじい衝撃音とともに石畳が一気に破壊される。

 そして、間髪入れずに振り下ろした斧槍(ハルバード)がすぐさま振り上げられる。

 攻撃が早すぎて回避できない。

 物理法則を無視したかのようなスピードだ。


 かざそうとした左腕が肘から先で切断され、鮮血を撒き散らしながら綺麗に宙を舞う。

 そこから先はスローモーションのように非現実的にも感じる。


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