表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

プロローグ

はい、気まぐれ新シリーズです。よろしくお願いします。

「俺はどうして生きているのだろうか…」

「どうしたんですか、急に。」


俺は会社でいつも通りの仕事をしていると、ふと思った。


「なんかねぇ、思ったんだよね。どうして生きてるんだろなぁって。」

「哲学ですか〜?」

「まぁ、そんな感じかな。」


今年でもう54歳、早くに妻を亡くして愛猫もこの世をさり、男で一つで育てた一人娘も高校生でこの世を去った。

家族を失った今の私には生きる理由がない。

まぁ、生きるのに理由も何もないと思うが。


「先輩は何か趣味とかないんですか?アニメとかプラモ作りとか。」

「趣味ねぇ。趣味もやれるとこまでやちゃったしなぁ。お金にも特に困ってないし、なんなら意味のない貯金がどんどん増えるだけだし。」


実際、お金に関してはこの前に買ったVRゴーグルも50万程したが、一括で払える程には貯金がある。

だが、それ以上に体力がちょっと厳しい。


「羨ましいっすねぇ。そんだけあるならちょっと位くれても良いんじゃないですかぁ?」

「そう言われると何か違うんだよなぁ。」

「人ってめんどくさいっすね〜」


本当、人ってめんどくさい。


「それで、先輩何か悩みでもあるんすか?」

「いやぁ、それがないんだよねぇ。」

「じゃあなんであんな事言ったんです?」

「さっきも言ったろ?どうして生きてるんだろうなって思ったんだよ。」


家族と過ごしたあの頃は、俺の人生の中で一番輝いていたと思う。

でもその後から、俺の人生は色を失っていった。


「それって、ゴールとか目標がないって事ですか?」

「そんな感じかなぁ?」


でも、今はまだ楽しい方だと思う。

なぜなら、不満の無い会社でいい後輩を持てたのだから。


「なら、子供の頃とかの夢とかは無いんすか?」

「夢ねぇ」

「例えば、どんな職業になりたいとか。」

「それならもう叶ってるぞ?」

「そうなんすか?」

「あぁ、こんないい後輩を持てたからな!」

「も〜茶化さないでくださいよ〜」

「すまんすまん。」


仕事中でもこうやって笑える職場に居ると、少し色が戻った気がする。


「だが、それでも俺の失ったものは大きかったのかもな〜」

「ご家族のことですか。」

「そう、あの頃は大変だったけど、なんやかんや楽しかったからなぁ」

「一度見失った目標は探すのが難しんですかね。」

「そうだなぁ」


俺の生きる理由だった家族はもういない。

だけど、ここなら退屈はしない。

だけど…


「やっぱ一度良いもの味わったら忘れられないんだな〜」

「また会えるとしたら、先輩ならご家族にどう声をかけます?」

「そうだな…もうおいていくな、かな。」

「そうっすか。」

「何かしんみりした空気になったな…よし!この話は終わり!仕事するぞ!」

「あぁ、そうだな。」

「え?」


返ってきたのは後輩の声では無く、どこか機械的で、恐ろしさを感じる低い声だった。

止まって感じる時間の中、黒い服を身に纏うそいつは俺に何かを向けた。


「これでお前の望み通り、退屈な人生は終わりだ。」


その瞬間、俺の視界は地面に落ちた。

そこに聞こえるのは後輩の声。

さっきの黒い奴はもういない。

何だったとかと疑問は尽きないが、考えていくうちに一つのことだけは分かった。


(あぁ、ここで俺は終わるのか。やっと家族の元に行けるのか。)



だが、世界はそう簡単に俺を終わらせてはくれない様だ。

目に映るのは俺を包む光。

後輩には見えていない様なその光の中には、確かな温かみと安心感があった。

それなのに、私を突き飛ばす様な確かな拒絶も感じた。


(俺はまだ死ねないのか)


そう思った途端に光が強く輝き出す。

そして3つに別れた光の中から、懐かしい声を聞いた。


(貴方はまだ来てはいけない)

(貴方はまだ彼女を救えていない)

(貴方は彼女を救うまで、こちらには来られない)


懐かしい声と鳴き声、大きな光と2つの小さな光から、確かに感じた3つの想いは確かに亡き妻と愛猫のものだった。


「どうして…お前たちの声が…」


未だに疑問の尽きぬまま、私の意識は遂に幕を閉じた…

どうでしょうか?気まぐれなので猫宿よりもさらに投稿頻度が低いですね。はい

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ