終章 風子・・・
いままで読んで下さった方ありがとうございました・・いよいよ終章です・・
宜しくお願いします・・・
Epilogue 風子・・・
そよ風が病室のカーテンを揺らす・・
病院のベッドでぼんやり外を見つめるだけ・・
何もする気がない・・
・・でも・・
今日は身体が軽い・・
「目が覚めました?」アンナとアンヌが入ってくる。
「アルディニュームの残骸から発見した治療法は使えるみたいですね」とアンナ。
「きっと皆も目覚め回復します、留奈さんだって何時か元通りに・・そして其れはそんな遠い未来の事じゃ有りません、アニーだって現在、自己修復中ですし」アンヌも言う。
「・・・そうね・・でも、風子だけは帰ってこない」また涙がにじむ。
「あはっ・・実は悠子さんに合わせたい人がいるんです」とアンナ。
「んっ・・」
「レンゲさん」
アンヌが外に向かって声をかける。
レンゲちゃんが部屋に入ってくる・・赤ん坊を抱いて・・・
「んっ・・まさか・・風子」あわてて眼鏡をかけ確認。
「さすが悠子さん、他の人なら名子さんだと思うでしょうね、残念ですが名子さんはまだ眠ったままです」アンナが言う。
「どうして?」
「ガイアから通信が入ったんです、電波も発生させられるみたいで」アンヌが答える。
「ガイアの指示のポイントにマリア・スクウォドフスカ=キュリーで向かいました」
「マリア・スク・・何?」
「マリア・スクウォドフスカ=キュリー・・通称マダム・キュリー・・旧ガイアの原子力潜水艦です」
「ああ・・あなたたちがフランス侵攻時に乗り込んだ潜水艦・・」
「そうです・・で、指示の海面下2700メートルにバリアーに保護され冬眠状態で眠っていた風子さんを発見したんです」アンナが続ける。
「ガイアが教えてくれた・・」
「私達は、悠子さんが無意識に死にたいと思っているのかと思ってました、だからバリアーが消えたのだと・・でもそうじゃ無かった、悠子さん・・貴女は自分のバリアーを風子さんに与えたのです、自身の身の危険を顧みず」またアンヌが言う。
「そんなあたしは・・」
「悠子さんの無意識の叫びを月のコンピューターがそう解読したんです・・聞いて下さい、日本語に変換してあります」アンナがディスクを再生する。
「緊急指令、緊急指令、今海面ニ向カッテ落下中ノ生命体ヲ保護セヨ・・コレハ絶対命令デアル・・変更ハ、ナイ・・他ノイカナルモノヲ犠牲ニシテモ、スミヤカニ実行スルベシ」
「悠子さん貴女は母親失格じゃ有りません、立派なお母さんです」スイッチを止めアンナが・・
「大丈夫、もうすぐ元通りになります、皆・・皆、帰ってきます」アンヌも・・
「んん、んん」二人の言葉に自らに言い聞かせるように呟く・・
「悠子さん・・」
にっこり笑ってレンゲちゃんが風子を手渡してくれる・・
ベッド上で両手いっぱいに感じる温かい存在・・
これは・・夢・・・
いくら願ってもかなわない夢だと思っていたのに・・
少し重たくなった?
眠っていた風子が目を開ける・・
「きゃっ・・きゃっ・・」
右の頬っぺたに片えくぼ・・あたしの腕に抱かれた風子が笑い始めた・・・
Fin
最後迄読んで頂けた方、本当に本当にありがとうございます・・
詰め込み過ぎたかなとも思いますが、細かい描写がなかなかできず・・あまり長い話も書けなかったので・・
とは言いながら捕捉やストーリーの流れに入らなかった分は外伝で書こうと思います・・いつかまたお会いしたいです・・ありがとうございました・・・