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異常者の恋愛は異常です  作者:


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第13話 社長教師の担当教科

受験近いですが、思いついたので。

宵の配信を見た翌日、俺達は当たり前に登校していた。

といっても、朝の用意は全て綾崎がやってくれたため俺達がやることなんて服を着るとか朝食を食べるとか基本的なことしかなかった。

周りからいつも以上に好奇の視線を浴びる。

恐らく俺達の噂でも広がったのだろう。

そんなことを考えながら登校していれば、いつの間にか教室に着いた。

席に座り、鞄の中の荷物を整理する。


「おはよう。神崎君、神宮慈さん」


その時、一人の女子生徒が俺に話しかけてきた。

確かこいつ、女子の委員長だ。


「おはよう。にしても急に話しかけてくるなんてどういう風の吹き回し?」


当然のように、玲奈が応対する。


「いやーね。私この数日でクラスの皆と仲良くなりたいと思って、話しかけてたんだ。それで、新入生歓迎会とかあって、一応全員と話せるようになったんだけど。二人は来てなかったし、これまで話してなかったから。挨拶をと思って」


「そう、自己紹介の時に言ったはずだけど。悪いんだけど、貴女と関わるつもりはないの」


「そんなこと言わずにさー。いいじゃんっ」


「面倒」


「神崎君も即答しないでよー」


本当に面倒なんだから、しょうがながないだろ。


「二人って、付き合ってるんだよね」


「そうだけど」


「なら、ここでキスしてよ」


「いいわよ」


玲奈はすぐに俺の正面に移動して、俺の唇に自身の唇を当てる。


「へ?」


素っ頓狂な声が聞こえた。

横目で声の方を見ると、女子委員長が顔を真っ赤にしていた。

まさか、教室という公衆の面前で本当にキスをするとは思わなかったのだろう。

女子委員長からすれば、ただの冗談だったんだろうが玲奈がそれを本気にしたが故の状況だ。

目を動かして周囲を見ると、周りの生徒達もこちらを見ている。

気づけば、騒がしかったはずの教室は静寂に包まれていた。


「私を見て」


一度唇が離れたかと思えば、玲奈の言葉が聞こえてすぐに玲奈の方を見る。

それに満足したのか、玲奈が再びキスを再開した。

俺も玲奈に集中する。

結局、俺と玲奈のキスはチャイムが鳴るまで続いた。


「皆、おはよー」


一華さんが教室にいつも通り明るく入ってきた。

しかし、教室は今なお静寂に包まれている。


「あれ?どしたの?」


一華さんがきょろきょろと教室中を見渡す。


「玲奈、何かあった?」


一華さんが玲奈に名指しで聞く。


「特になにもなかったわ」


玲奈はそう平然と返した。

だが、雰囲気から上機嫌がうかがえる。

まぁ、俺や一華さんくらいしか分からないくらいの極僅かな変化だが。


「ふーん。そういこと」


一華さんは玲奈の態度だけで全て察したらしい。

本当に、この人は末恐ろしい。


「まぁ、キスくらいなら別にいいけど。それ以上は教室じゃ駄目だからね」


「分かってるわ」


周りの生徒達の目がギョッとした。

一華さんが、この静寂の原因を突然当てたからだろう。


「ならよし。まぁ、個室が欲しいなら理事長室貸すからいつでも言って」


「ありがと」


明かな贔屓。

しかし、それに文句を言えるような奴はここにはいない。

相手は数多の大企業のトップにして、この学校の理事長。

神宮慈一華なのだから。


「さてと、ホームルーム。始めましょうか。今日から授業が始まるけど、まぁ初日だし簡単なことしかやるつもりはないから、安心して受けて。それと、部活動の入部届はいつでもいいけど早めに出すことをお勧めしておくよ。帰宅部の人もちゃんと入部届忘れないようにね。今週、来週は各部活で部活動見学とか部活動体験とか、放課後にやってるだろうから昨日見れなかった部活とかも見に行ってもOK。入部、退部はいつでもできるけど、大会とかに出たいなら早めに出しとくのがおすすめ。何か質問ある人は挙手」


「はい」


男子委員長が挙手する。


「はい、天風」


「授業で簡単なことしかやらないっておっしゃっていましたが、先生は全ての授業の内容を知っているので?」


「うん。当然、だって全部私が担当するもん」


「はい?」


男子委員長が一華さんに聞き返す。


「だから、私がこのクラスの授業は全て担当するの。文字通り全教科ね」


「それは、この学校では普通なんです?」


「他のクラスは教科ごとに教師がいるけど」


「なら何故うちのクラスだけ?」


「それは勿論。私が担任だからよ」


一華さんのその言葉に男子委員長は絶句した。


「まぁ、安心して。ちゃんと全教科教員免許は持ってるから」


「初めて聞いた」


玲奈が僅かに目を見開いている。

これは、そこそこ驚いている表情だ。

かくいう俺もこれにはさすがに驚いている。

一華さんなら何をしても不思議ではないが、さすがに娘との時間を確保するためにそこまでするとは思わなかった。

この人が子供離れ出来る日はくるのだろうか。

いや、多分来ないだろう。

これは予測ではない。

小さい頃から一華さんの玲奈愛を見てきた俺の経験から導き出される確信だ。

一華さんの玲奈へ向ける熱量は小さい頃から全く衰えていない。

それどころか、勢いを増している節がある。


「まぁ、科学以外は去年取ったばかりだけど」


確信犯だな。

玲奈の入学に合わせて取ったのだろう。

わざわざ調べたことないので、分からないが。

本来なら一年でほぼ全教科の免許を得るなんて不可能だ。

間違いなく、コネと権力を使ったものだろう。

まぁ、ぶっちゃけ他の教師に担当されるより数十倍楽なので嬉しいっちゃ嬉しいんだが。


「さてと、他に質問はない?……OKそうだね。それじゃあ、ちょっと早いけど。休憩。チャイムなったら席に座ってね」


そうしてホームルームは終わった。

玲奈がすぐに席を回して、俺の方を向く。


「まさか、母さんが全教科担当するとは。予想外だった」


「まぁ、いいんじゃないか。楽出来て」


「そりゃ、そうだけど」


玲奈が珍しく口ごもる。


「私だけ、毎日授業参観状態じゃん」


「それは、もうどうしようもないだろ」


元より、普通なら娘の担任に母親がなることなんてありえない。

担任なんだから、元々ほぼ授業参観みたいなものだった。

だが、全教科担当するということは文字通り全ての授業で玲奈の姿が見られるわけだ。

玲奈からすればたまったものではないだろう。

別にこれは、玲奈が一華さんを嫌いだとか親に見られて緊張するとかではない。

シンプルに思春期の娘心として何か思うものがあるのだろう。

昔から一緒にいるおかげで俺と玲奈は、基本的に感性や考えることが同じになる。

あるいは、長い付き合いから行動や心情を予測することもできる。

しかし、思春期の娘の心情はさすがに分からん。

そこは性差というどうしようもない違いがあるからな。


「はぁー。まぁ実際それが楽なのは確かだし。暇ならサボるとしましょう。付き合って」


「了解」


サボるのがありなら、ずっとサボればいいじゃないかと思うかもしれないがそういうわけにはいかない。

そもそも俺たちが毎日授業があり時間が拘束される高校なんて場所に何故来たのかと言えば、2人で高校生活というものを楽しむためだ。

だからこそ、ある程度は高校生として普通の行動を心がけるつもりだ。

そういわば、ゲームで言うイベントスチルの回収だ。

俺達はそのために、この高校に来たのだ。

その後、俺達は適当に雑談をするのだった。

余談だが、雑談の内容は昨日の宵の配信についてだった。


キーンコーンカーンコーン


チャイムがなり、周りの生徒達が席に着く。

俺達は席から移動しなかったので、そのままだ。

ただ、持参しているペットボトルのジュースは飲んだ。

綾崎が俺たちが好きなジュースをケースで箱買いして、冷蔵庫で冷やしてくれていた。

それを持ってきた。

この高校は校則自体はそこまで厳しくないし、何よりこの学校で俺達の行動をとがめるような人物はまずいないだろう。

そんなことを考えていれば、なぜか一度教室を出ていっていた一華さんが教室に入ってきた。


「さてと、授業の前に席替えをしまーす」


生徒達はまた困惑したのだった。

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