第11話 異常者の推し
ちょーぜつお久しぶりです。(数か月振り)
ちょっと今回は趣向を変えてみました。
追記:一部内容に矛盾があったため一部訂正しています。
大まかな変化はありませんので、お気になさらくても大丈夫です。
綾崎の車で家に帰った俺達は、手を洗ってすぐにある部屋に向かう。
そこは通称推し部屋。
数々の推し活グッズが置かれている部屋だ。
といってもこの部屋には白凪のグッズしかない。
なにせ、この家はとても広く部屋数も多いのでここと同じような推し部屋がいくつかあるのだ。
そしてここはほぼ白凪宵のグッズしかない。
玲奈のお宝部屋だ。
玲奈は嬉々としてゲットしたグッズを飾っていく。
俺は推し部屋を出て隣の部屋に入る。
そこは読書部屋。
俺と玲奈が買い集めたありとあらゆる本が本棚に入れられている。
俺は今日買った14冊の本を空いている本棚にしまう。
ここに買った本は置いておき、暇なときに読みに来るのだ。
俺が本を置いて部屋を出ると、玲奈も飾り終えたらしく既にリビングにいてソファに座っていた。
どうやらテレビでcometubeを開いているようだ。
そして登録チャンネルから白凪宵を開いて、配信の待機画面を開く。
それと同時にスマホでも配信を開く。
俺と玲奈は基本的に配信を見る時はテレビで配信を見てスマホやタブレットでコメントやスパチャを飛ばすというスタイルだ。
リビングにあるテレビはとても大きいし、高性能なスピーカーも配置している。
そんなことを考えながら俺も玲奈の横に座ると、綾崎が氷の入った炭酸ジュースを二つ持ってきてソファの前にあるテーブルに置いた。
「他に何かご入用なものがございましたら、お声がけください」
そうして綾崎は下がっていった。
『あ、あ、あー。マイクテストマイクテスト。皆さん聞こえてますかー?」
そして俺と玲奈の推し、白凪宵の配信が始まった。
???視点
私は3年くらい前から配信サイトで白凪宵という名前で活動している。
きっかけは些細なことだった。
私はオタクだった。
小2で深夜アニメにドハマりし、そこから当然のようにずぶずぶと深夜アニメにハマっていった。
小5の夏休み、父親と一緒に図書館に行った。
そこで私は出会った。
ライトノベルに。
気になっていたアニメの内容を早く知ることが出来る。
それが私には革命だった。
そこから私は父親に頼んで図書館に通いつめた。
幸い夏休みだったのでほとんど毎日のように図書館に行ってラノベを借りた。
最後には、同じ市の別の図書館からの取り寄せまで行うようになった。
そこまでならまだよかった。
私は昔、本を読むに魅力を感じなかった。
文章を読むより、絵で声で楽しめるアニメの方がはるかに効率的だと思っていた。
だけどラノベの良さを知ってしまった私は本を、小説を読むことに抵抗がなくなっていた。
そこで私は出会ってしまった。(二回目)
WEB小説に。
図書館と違って取り寄せを待ったりせずに、アニメの内容を知れた。
アニメで見たシーンを読んでアニメとの差異を探すのを楽しんだ。
図書館で長い時間を待って借りるのでもなく、お金を払って買って読むのでもなく無料でたくさんの小説を読める。
WEB小説は最高だった。
そこから私は無敵だった。
アニメを楽しみ、面白かったらWEB小説を探し、なければないで図書館で原作を借りた。
漫画は幼い頃、読もうとして順番が分からず混乱したきり苦手意識を持って読まなかった。
漫画よりも先に小説に出会った弊害か私は漫画よりも小説の方が内容が多いし妄想がはかどる。
と、結論付け。
漫画をほとんど読まなかった。
結果的に漫画原作は諦めるようになった、、、
話が逸れた。
そんな生活をしばらく続けた後、私はWEB小説の新たな楽しみを知った。
投稿サイトに投稿された数万とあるWEB小説。
そこから金の卵を発掘すること。
その頃にはある程度自分の性癖が分かっていたため、それを検索に入れヒットしたものを片っ端から読んで気に入った物は追い、書籍化すれば即座に買う。
それがアニメ化すれば狂喜乱舞。
親からの制限でコメントしたりは出来なかったが、我が事のように喜ぶ。
そこから私はWEB小説をひたすら漁るようになった。
様々な小説に出会った(性癖が増え続けた)
ヤンデレ、共依存、百合といったマイナーと言われてしまうようなものから。
異世界転生、VRMMOといった王道なものまで。
幅広く読んでいった。
そして私は出会ってしまった。(三度目)
私の運命を変えるジャンルに。
Vtuberもの。
それまでの私は動画や配信はゲーム実況くらいしか見てこなかった。
でも私はWEB小説でVtuberを知った。
そして私は見事Vtuberオタク属性も獲得した。
既にアニメ、ラノベオタクを持っていたというのに。
そしてVtuberの配信を見ながら、主人公がVtuberになる小説を読んでいた時に私は思ってしまった。
Vtuberになりたいと。
だがVtuberは金がかかる。
当時中学一年生だった私には到底無理。
しかし、私は諦めずに色々と調べた。
結果的に最低限の環境は既にあることを知った。
父親からおさがりでもらったパソコンはギリギリだがスペックは足りていた。
マイクは家の倉庫に何故かあったものを母親にカラオケごっこをしたいと言って借りた。(母親になぜか哀れまれた)
多少ない機材はあったが、それはお年玉とためにためたお小遣いで何とかなった。
受肉に関しては、顔も知らないネット友達に相談したら協力してくれた。
何でも副業で絵師をやっていたらしく、友達ということで無料で描いてくれて受肉の仕方とかいろいろ教えて貰った。
親が放任主義で助かった。
色々な出会いと幸運が重なり、中学一年生の私ははれてVtuberになった。
私は自分には才能なんてないと思ってた。
タダのオタクだ。
きっと誰にも見られず、いつか心が折れて辞めるだろうと、それもまた経験だと考えていた。
私は初配信で自己紹介もそこそこに憧れていたVtuberさんのようになりたいと歌を歌った。
誰にも見られなくても、配信で歌を歌うと言う行為に私は憧れていたのだ。
そんな私に、奇跡が起こった。
07〈綺麗な声。貴女の歌はとても心地が良い〉
0〈歌上手。もっと聞きたい〉
私の空白のコメント欄にコメントが来た。
私はネットで活動する以上、マイナスな意見にさらされることを覚悟していた。
だけど初めてのコメントは賞賛。
私は嬉しかった。
今まで褒められることなんてほとんどなかった。
だから私は嬉しかった。
そこから私はひたすらに歌い続けた。
結局同時接続はその二人だけだったけど、その二人は配信が終わるまでずっとコメントしてくれた。
それだけで私は満たされた。
配信終了後、私のチャンネル登録者数が二人に増えた。
そして私は配信にどっぷりとハマった。
私が配信を始めれば二人は必ずコメント欄に来てくれた。
それだけで私は満たされた。
私は狂ったように毎日配信をし続けた。
昼は学校に行き、夜は配信をする。
幸い私の部屋は角部屋だったのと壁が厚く、私の声がそこまで大きくないのもあって部屋から配信の声が漏れるようなこともなかった。
そして私は元々学校以外は外に出ない半引きこもりだったのでずっと部屋にいても怪しまれなかった。
毎日配信をしているうちに、0さんと07さん以外の人もコメント欄に来るようになった。
勿論、私に対して否定的な意見を向けてくる人もいたけれど0さんと07さんがレスバでボコボコにしてくれた。
結果的に私のコメント欄にアンチは滅多に現れなくなったし、出ても一瞬で消えた。
気づけば私のチャンネル登録者は1000人を超えていた。
私が配信しているサイトはチャンネル登録者が1000人を超えれば収益化の申請を行うことが出来る。
私はしょうがなく、許してくれそうなお父さんにVtuberをしていることを話した。
知らなかったけど、お父さんもVtuber好きのようで喜んで協力してくれた。
私の申請は見事に通り、私は中学一年生にしてお金を稼げるようになった。
といっても最初は所詮登録者1000人の収入なんて大したことないだろうと思っていた。
配信者の収益は主に広告収入と投げ銭だ。
1000人程度のチャンネルの広告収入は高いとは言えないし、投げ銭なんて私にする人いないだろうと思っていた。
だけど、私のリスナーには化け物がいたのだ。
0さんと07さん。
あの二人は収益化して以降。
全ての配信で一度の配信で投げれる限度額の5万円を投げてくる。
最初の方は心配していたけど、本人たち曰く端金らしい。
私はようやく理解した。
0さんと07さん、尋常じゃないお金持ちだ。
そんな人達が私を推してくれているんだと。
私を支え続けてくれた人達。
二人はどんな人なんだろうとずっと思っていた。
二人はコメント欄で自分語りはしない。
だから私は2人について何も知らない。
ただ、物凄くお金持ちで私のことを推してくれているということだけ。
でもそれだけで十分だった。
私は2人がいるから配信をするのだ。
私がVtuberになって今年で4年目だ。
未だに父親意外の家族には話していない。
父親も収益化の申請に協力してくれた以来、話に出さない。
放任主義ここに極まれし。
だけど私にとっては好都合だった。
ちなみに私の口座にはかなりの貯金がある。
それこそ、MVやグッズを自分で出せるくらいには。
高校に入学したけど、Vtuberを辞めるつもりは毛頭ない。
さすがに昨年は受験もあって毎日配信が出来なくなってしまったが。
定期的に勉強配信をした。
二人は頭がよくて、私がわからないところがあったら分かりやすく教えてくれた。
きっとリアルの二人は高スペックなのだろう。
何故私を推してくれているのかというのは考えないようにした。
二人が私を推してくれる限り、私はVtuberを続けるのだ。
私は今日も配信を始める。
入学でバタバタしていて数日ぶりの配信だ。
だけど、今日からはまた毎日配信する。
『あ、あ、あー。マイクテストマイクテスト。皆さん聞こえてますかー?」
学校では友達を作る気はない。
友達なんて概念は小学校高学年の時点で捨てた。
だけど何ら問題ない。
私の居場所は既にあるのだから。
私は今日も配信するのだ。
長くなってしまった。
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