愚者の旅路 ~天命収斂~
それからの激動の30年――。
螺旋のような回顧――。
それは、数多の戦場――。
大勢の魔法師が集う軍議を行う、 風源 魔法師団の指揮所内。
「 報告します!!! 水源 魔法師団 及び、 団長の ゼイール・サタリエル 様が、勝手に単騎掛けを――。 」
「 な、――。共同戦線だというのに……また、事前のうち合わせ無しにか!!!?。……我々はどうされますか、団長殿…… 」
「 ――想定内です。主功は水源に任せて、我々は迂回して、敵の背を奇襲しましょう 」
勝利の歓声を上げる兵達――。
「 ――おい!!! ゲイリー !!! 貴様、俺の隊を囮に使いやがっただろ!!! 」
怒り狂う背に、激流の飛沫をあげる大滝、藍色の刺繍。靡かせる漆黒のローブ服――。
「 おや……ゼイール 殿。随分遅かったですね。 」
「 ふざけんな!!!!! 今日という今日は……勘弁ならん…… 」
「 「 ちょっとお待って下さい、ゼイール 様!!!!! 団員同士の喧嘩は懲罰ものです!!!!! 誰か、手を貸せ!!!!! 止めろ!!! ぁあ”あ”ああああ!!!!! 」 」
犇く乱闘。遠目に眺める場内――。
「 本当…… ゼイール 様には困りましたね…… ゲイリー 様…… 」
「 そうですね……しかし、彼はここにいる誰よりもこの戦場を視えてますよ。第一、全体の行軍の速さ……そして、この人的損失数は少なさは……想定以上の戦果です。 」
「 な――、まさか……それを狙っていたと……? 」
「 ふっ……それはどうでしょうか…… 」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
それは……数多の出会い――。
風源 魔法師団の団長室――。
「 私に客人ですか? 」
「 ええ、それが………… イザベル・フィッツロイ という少女でして…… 」
「 フィッツロイですか……確かに、その名に聞き覚えあります。その子を団長室にお通ししてください 」
大きさの眼鏡、幼い顔の少女――。
「 はじめまして! アシュラ・フィッツロイ の孫の イザベル・フィッツロイ と申します。以後お見知りおき下さい…… 」
「 これはご丁寧に……貴方のおばあ様には昔、大変お世話になりました。おばあ様はご健在でしょうか? 」
「 祖母は先月他界しました。それで、ゲイリー・バトラー を頼るようにと……遺言で…… 」
「 そうでしたか…… 」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
王都 ルミナス。冒険者ギルドの酒場――。
特大盛りの焼き飯を頬張る――黒髪の少女。
「 彼女が噂の 『 猛虎 』 李 蓮花 です 」
「 ほう、彼女が…… 」
「 あんな小さな子が!!!? 先生……まだ子供じゃないですか…… 」
「 おい!そこのめがねのガキ! 聞こえているネ……けんかなら外でかうアルよ! 」
「 な、……なんですか……あの子!!!!! 先生、あんなのやめましょうよ…… 」
「 食事中、失礼。私は 風源魔法師団 団長の ゲイリー・バトラー 。それで、こちらが団員の イザベル・フィッツロイ です。今日は貴女を勧誘に来ました 」
「 かんゆう……?……おっさんたち何の用ネ。今、忙しいアル…… 」
「 そうですか…………時に、その御飯、お味はいかがですか? 」
「 美味くも不味くもないネ……普通アルよ…… 」
「 そうでしたか……もし良しければ、うちの隊舎にいらしてください。ご馳走させて頂きますよ…… 」
「 …………!!!⁉︎……ぜったい……嫌、アル…… 」
「 まあ……そう言わず……うちの食堂は< セルタニア魔法国 >でも髄一、絶品ですよ…… 」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
それは……別れ――。
セルタニア王室。床に伏せる、先代 魔法皇王――。
「 ゲイリー よ……もう腹は決まったのか…… 」
「 はい……大変お世話になりました…… 」
「 ふっ、よい……充分にその務めてくれた。……それにしてもお互いに……老けたのう……もう、あれから……30年も経ったのか…… 」
目を細め、窓の外……眺める老い木――。
「 王位も愚息に譲り…… 余の役目はようやく終えた。まあ……唯一の心残りは、余の代でセルタニアの悲願を果たせなかったことじゃがな…… 」
「 ……そうですね……それは私の責任でもあります…… 」
「 お主はこれから、どうするんじゃ……? 」
「 ……やるべき事が、まだ……あります。 」
「 ほう、なんじゃ、それは……? 」
「 ――次の世代です…… 」
昔と変わらぬ、鋭い眼光の ゲイリー・バトラー ――。
「 ……お主……その眼…………ふっ、お前は変わらないのう……。老いてもなお、修羅でありつづけるというのか……ろくな死に方せんぞ…… 」
「 ……覚悟の上です。それに、その為の踏み台になら、残りの命、惜しくはありません…… 」
「 そうか……分かった。……さらばだ、 ゲイリー・バトラー 。 望む余生を過ごすがいい…… 」
「 ありがとうございます…… 」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
それは……旅立ち――。
< セルタニア魔法国 >王都 ルミナス の城門。黄昏の刻――。
「 行くのか……? 」
城壁に持たれかかり、傲慢に腕を組む――初老の魔法師。
「 ――おや、お見送りに来ていただけるとは、相変わらず……その顔にそぐわぬ、律儀さですね…… ゼイール・サタリエル殿 」
「 ――おい、喧嘩売ってんのか!?……その、人を馬鹿にするような貴様の態度……俺は、お前のそういうところが――大、大、大嫌いだ 」
「 それは、心外ですね。私は好きですよ!貴方のそういう事ところが―― 」
不敵に微笑む老紳士――。
「 ――ああ”!それが癪に障るって言ってんだよ!…………ホント、お前は……最後の最期まで…… 」
金色の短髪を掻き毟る――。
「 ……まあ、いい……それで、…… 風源魔法師団 はどうすんだ……? 」
「 ……後の事は後任の者達が上手くやってくれるでしょう……それに…… 」
「 ――それに?……なんだ……? 」
「 この< セルタニア魔法国 >には、貴方がいれば、大丈夫でしょう…… 」
そう、交わされる双眸――。
その不適に浮かべる笑みに――。
覗かせる、嫌悪の顔――。
「 …………狐野郎が…… 」
吐き捨てた言葉が夕焼け色に染まる。
悠久の彼方へと沈む――落陽。
迫る陰影が二人の表情を覆い隠す――。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
そして……。
「 産まれました!元気な女の子です! 」
邂逅――。
「 お嬢様、もうすぐ新緑節が近いのでそろそろ一般教義の授業も真面目に受けて下さい。 」
「 へいへい~ 」
その天命は――。
「 ……そ、そんな……ばかな……魔法の適正が無い……ですと……。 」
収斂――。
「 お嬢様?私に隠していることありませんか? 」
「 ん、んーないよーなんにも…… 」
「 いいですか、お嬢様。私がいない間くれぐれも気をつけて下さい。 」
「 ……何だよ、急に?大丈夫だって!安心していってこいよ! 」
……その旅路は終着を迎える――。
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ご愛読頂き誠にありがとうございます。
この作品は処女作です。至らぬ点や修正箇所ございましたらコメント頂けると嬉しいです。
作者の先祖でもある剣豪を題材に執筆させて頂きました。
最終章 クルードセツア迷宮攻略編
この物語のクライマックス 『 最強と最凶 』 の開幕でございます。
テーマは 『 この作品の最期 壮絶な介錯 』です。
これまでの二人の伏線を踏まえての頂上決戦になります。
ゲイリーの追憶編 『 愚者の旅路 』ラスト回となりました。
この話では
できるだけ、キャラクターの会話で描写するという
少し特殊な演出をしてみました。如何だったでしょうか?
物語も大詰め、ラスト2話。
最後の最期に少女は何を観るのか?
お楽しみいただければ、幸いです。
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