28話 幸せは普通のこと その3
「やはりサンセット殿とシリス嬢は国外追放になったか……」
「そうね……サンセット様の父親がメジラマ侯爵家だけは残して欲しいと懇願したそうよ」
「それで息子だけしっぽ切りのように追放されたというのか。なんだか納得できないな」
私は暇な時間を見つけジクトと話をしていた。
「まあ、ゼノン様のことだから、メジラマ侯爵家をそのままにはしないと思うけどね」
「そうだな。上手く飼い慣らしそうな予感がするよ」
ゼノン様がサンセット様を追放したくらいで許すとは思えなかったからだ。私のことを考えてくれるなら、最終的には家系没落まで持って行くかもしれない。ただ、すぐにやってしまうと周囲の貴族や国民に影響を与えてしまうので、まだ没落はさせないだろう。
その間にメジラマ侯爵家の反省具合を見るとかも考えているのかもしれないわね。
「それで、驚きなのはメジラマ侯爵家よりも、サンセット様とシリス様にあるんだけれど……」
「ん? ウィンベル、どういうことだ?」
「なんでも、二人は生活費を稼ぐ為に民間の冒険者になったとか……」
「なんと……貴族が冒険者に? やっていけるのか?」
「それは分からないけれど、最低限の生活はなんとか送れているらしいわよ」
「なんと……それは驚きだな……」
冒険者になる貴族なんて非常に珍しいはずだ。そもそも、追放になる人自体が珍しいからね。
私もゼノン様から直接話を聞いた時は、ジクトと同じような反応をした。
「やはり驚きよね……あの二人が冒険者だなんて。少しは真面目になってくれれば良いんだけれど」
「いや、それは難しいんじゃないのか? どのみち、もう戻って来ることは出来ないんだろ?」
「それもそうね……まあ、サンセット様達の話はこのくらいにしておきましょうか」
「そうだな、じゃあこれからどうする?」
本日は暇な1日となっている。そんな時はジクトと一緒に過ごすのが一番だろう。きっと、ヴィクター兄さまとユリアナ嬢も今頃は仲を育んでいることだろうし。あの二人には負けられない……次にゼノン様に会う時に、お互いの恋人を紹介することになっているしね。
まあ、別に勝負というわけではないのだけれど……。
「デートをしましょう、ジクト。しっかりとエスコートしてね」
「当たり前だよ、ウィンベル。ゼノン国王陛下が見ても安心する程に完璧に楽しませてあげるさ」
「ありがとう、ジクト。楽しみにしているわ」
私達は軽くキスをして、屋敷の外へと出た。本日は晴天……デートにはうってつけの日でもある。彼との日常……こうした毎日が永遠に続くことを私は願っていた。




