26話 幸せは普通のこと その1
「サンセット・メジラマ侯爵はどうなったんだ?」
「ゼノン様から決定的なことは聞いていないけれど、議会の私物化と不敬罪も追加で相当な罪になりそうね」
あの舞踏会の後、私のジクトの仲は順調に進展していった。現在は私の屋敷の私室で語り合っているのだ。
話の内容がサンセット様のことになっているのはおかしかったけれど。私達はお互いの手のひらを絡ませて、恋人繋ぎをしている。明らかに行動と会話内容が異なっているのだ。
「議会の私物化は許されることではない。メジラマ侯爵は大変なことをしてしまったな」
「サンセット様がというよりも、あの家系は以前から癒着体質だったみたいだけれどね」
「それなら、今回は家全体を含めた罰になるかもしれないな……」
「そうね……それに不敬罪が加わるから、サンセット様はおそらく家には居られなくなるかもね」
議会の私物化の時点で重罪だし、私への対応と不敬罪。それらを全て含めると、爵位を剥奪の上、追放ということになるかもしれない。それも国外追放的な意味合いで……。
それとも懲役刑や無期懲役などになるのかしら? まあ、流石に死刑まではいかないと思うけれど。その辺りはゼノン様や新しい議会の匙加減次第なのかもしれない。
「自業自得とはいえ……国外追放などになった場合、メジラマ侯爵一人では生きて行けないのではないか?」
「もしかしたら、シリス様も追加されるかもしれないわね。二人でなら……他国でなんとか生きていけるかも」
「シリス・トークン公爵令嬢も国外追放になる可能性があるのか?」
彼女の場合はそこまで大きな罪にならないかもしれないけれど、サンセット様の片棒を担いでいた面があるので、処理を簡単にする為に、仲良く同じ罰になるんじゃないかと思っていた。流石にそれは安易だったかしら。
「不敬罪って結構、重たい罪になるようだから、ジクトも気を付けてよね」
「それは怖いな……ウィンベルと普通に話をしている段階で、ゼノン国王陛下の気分次第では、不敬罪になってしまうということだし」
「ふふ、気を付けてよね」
私達は両手の指を絡め合っていた。ここまで話している内容と違うと、笑いすら込み上げてしまう。
「気を付けるさ。少なくとも、メジラマ侯爵のようにはならないさ」
「そんなことは分かっているわ。貴方がああいう風になるなんて、想像が出来ないもの」
私達の時間は穏やかに流れている。本日の過ごし方は決して特別なものではないけれど、私にとっては何よりも大切な時間になりつつあった。彼との関係を深めていき、近い将来には結婚をしたいと考えているのだから。




