17話 国王陛下の言い分 その2
ゼノン様は私の相談が無くても、議会への断罪はしていたと言ったのだ。だからこそ、虎の威を借る狐という諺は通用しないのだと……。
「こ、国王陛下……それは……!」
「分かったであろう、メジラマ侯爵。お前は何か勘違いをしているようだ。ウィンベルの相談がなくとも、シルバーマン議長の解任は決まっていたことだ。それが早くなるか、遅くなるかの違いでしかない。同時に癒着していた相手……つまりメジラマ侯爵への断罪も時間の問題だったということだな」
「そ、そんな……!」
サンセット様は非常に脅えた表情になったけれど、今更過ぎる問題だった。議会のメンバーが解雇になった段階で、自分にも被害が及ぶのは容易に想像できるはずなのに。ゼノン様は巧みに論点をずらしていっている。
おそらくは私とヴィクター兄さまをフォローする為だろう。
「で、でも……! ウィンベル嬢が実の父親とはいえ、国王陛下に助けを求めるなんておかしいです! これは、過剰な王家の干渉になるのではないでしょうか……!?」
シリス様はとんでもないことを言いだした。まったく、言い訳にすらなっていない……。
「マリストル伯爵」
「はい、ゼノン国王陛下。如何なさいましたでしょうか?」
「養子に出したとはいえ、血を分けた娘の為に何か助力をすることは間違っているだろうか?」
「いえ……私も過去に養子縁組をした貴族同士の話を知っていますが、資金援助など、助力をしているはずです。陛下のみが、助力をしてはいけないとは決まっていないはずですが?」
「うむ……そう言ってもらえると非常に助かる」
「ありがとうございます」
ゼノン様はもちろん、国の法律には詳しいはずだ。行き過ぎた権力行使ならともかく、今回の件は職権乱用にはならない。なぜなら、貴族と議会の邪な癒着を解消するという大義名分があるからだ。ゼノン様の心情はともかくとして、表向きはその大義名分で全て片付けられるだろう。
まあ、一部の貴族には邪推されてしまうかもしれないけれど、そんなことは想定の範囲内というわけだ。
「メジラマ侯爵、それから……シリス嬢」
「は、はい……!」
「マリストル伯爵家に正式な慰謝料を支払い後、決して軽くない処罰を覚悟しておけ。それから、トークン公爵にも伝えなければなるまい。まあ、あの者なら既に承知しているだろうがな」
「お、お父様に知らせるのですか……!?」
「当たり前だろう。というより、もう話は向かっているはずだ」
「あ、あ……!」
シリス様はかなり動揺していた。父親のケビン・トークン公爵がそれだけ怖いのかしら。ここまでのことをやっておいて、一族に伝わらないわけはないのに。
「さて、それから……不敬罪も追加しておくか」
「ふ、不敬罪でございますか……!? で、ですが国王陛下! 私は国王陛下には何も……」
「私の娘を罵倒していただろう? 本来であれば王女という立場になれた相手なのだぞ? バカなことをしたな」
「……!!」
どこまでが本気なのか、まったく分からなかったけれど……なぜか、私への罵倒ということで不敬罪がサンセット様に追加されることになった。えっ、本当に追加されるのかしら……?




