11話 慰謝料未払い問題 その1
サンセット・メジラマ侯爵視点……。
「シルバーマン議長が……議長でなくなる?」
「ええ、そのように伺っておりますが」
私はマリストル伯爵が何を言っているのか、まったく理解出来ていなかった。一体、この男は何を言っているのだ? 私を呼び出したのはシルバーマン議長本人だ。議題についての話がある、ということだったので、彼が議長を退任することとは関係のない話だったはずだが……。
私は軽く混乱状態になっていた。
「おかしいですわね。サンセット様は確かにシルバーマン議長に呼ばれましたのに。だからこそ、二人でこうして訪れているのですよ?」
「左様でございましたか、シリス嬢。あくまでも推測に過ぎませんが、シルバーマン議長が退任してしまう為に、議題についての話が出来ない……という内容だったのではありませんかな? この場合の議題というのはもちろん、慰謝料未払い問題でありますが、その話については自分では何とも結果が出せなくなった、というところでしょうか」
マリストル伯爵の言葉はやけに流暢だった。ここまで流暢に話せる人物だっただろうか? この私を前にして……。これは、何やら陰謀めいたものが見え隠れするな。
「随分と都合よく話が進んでおりますな、マリストル伯爵。何やら、計画じみたものが見え隠れするのですが……」
「計画? 意味が分かりませんな。シルバーマン議長が退任することは事実ですし……まあ確かに、事前に彼からは私が懇願していた慰謝料未払いの件について、自分では答えが出せなくなったという回答を得ていますが。これはついさっき受けた内容です」
「……左様でございますか」
陰謀めいたものがある気はするが。よく考えれば、マリストル伯爵側からも慰謝料未払いの件の訴えは行われていたのだったな。マリストル伯爵が慰謝料請求、私は慰謝料を支払わない、という訴えの対極さはあるが……。
ということはやはり、会議場にシルバーマン公爵は待機しているということか。私を待っているのは間違いないのだろう。私にプレッシャーを与える為に、会議場の前で待機していたというところなのだろう。
無駄なことを……例え、議員が変わったとしても、必ず、慰謝料未払いの件は押し通してやるからな。それだけの自信はあるのだ。しかし、マリストル伯爵は先ほど、気になることをもう1つ言っていたな。会議場に入る前に聞いておくとするか。
「マリストル伯爵……ゼノン国王陛下が私に会いたがっている、というような主旨の話もしていたようだが。そちらはどういう意味なのだ?」
「いえ、言葉の通りでございますよ。国王陛下のお言葉をそのまま伝えただけです。その話については、後日、通知が来るのではありませんかな?」
マリストル伯爵は何を言っているのだ? ヴィクターやウィンベル達も驚いている様子はないが。なぜ、ただの伯爵家の身で国王陛下の言葉を聞くことが出来る?
私はむしろ、そちらの方が気になって仕方がなかった……。




