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第3回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞

謎解きはお味噌汁を作る間に ~手を振る少女と息子編~

作者: 黒銘菓

 なろうラジオのラジオ番組で取り上げて頂いたお便りを基に作りました。

 シリーズ短編(一話完結)なので、他にも投稿する予定です。良ければそちらもご覧下さい。

 「あ、母さんおはよう。」

 僕が5時45分過ぎに台所に向かうと、母はもう食卓に座っていた。

 「早か無いよ。さっさとおし!」

 「はいはい。直ぐに。」

 半袖シャツの上にエプロンを付けて、朝の支度をする。

 ご飯やおかずはもう出来てる。あとは味噌汁だけ。

 『朝ごはんのおかずとご飯は母が、味噌汁は交替で作る。』

 それが我が家の長年のルールだ。


 予め冷蔵庫に準備してあった出汁を加熱する。この季節は火を点ける瞬間が恨めしい。

 我が家には味噌汁以外にもう一つ、ルールがある。

「この時世に子どもが親と一緒に毎日ラジオ体操に参加するなんて感心だと思わないかい?しかも挨拶までして、変わった見送りまでしてくれるんだ。その時間、ウチの千夏は寝てるというのに。」

 味噌汁を作りながら母に気になった事や不思議な事を話すというものだ。

 「んー?ラジオ体操に出る子ってーのは、ああ、毎日行ってる雪さんが言ってたね。『毎日来る人懐っこい子が親と一緒に居る』って。

 けど、なんだい変わった見送りってのは?」

 「ん?いや、僕が通勤する頃に丁度ラジオ体操が終わるんだけど、子どもの方が僕を見ると手を手をグッパーするみたいに振ってくれるんだ。こうやって…」

 ワカメを水に浸しつつ実演して見せる。

 片手は親の手をしっかりと握ったまま、もう片方の手の親指を折り畳み、その後で親指を握る様に手を振っていた。

 僕を探して必ずそれをやってくれるから、こちらも笑顔で手を振り返すようにしている。

 「……訊くけど、もしかしてその子、寒がりって事はないかい?」

 それを聞いて、さっきまで視線をあちこちやっていた母さんがこちらに視線を向ける。

 「ん?如何だろう?でも…あー、そういえばこの時期に長袖着ていたな。こんな暑いのに。」

 「アンタ、その子の親は?親の反応は憶えてるかい?」

 「いや……如何だっただろうか?笑顔で手を振ってたけど、軽く手を振る感じだったな。そっちは普通に。」

 戻したワカメを出汁に入れる。

 「そうかい……」

 母さんは口元で手を組むと目を瞑り

 「このアホ息子!」

 一喝!

 「⁉いきなり何事かい?」

 「『親指を折り畳んだ後にその他の指を折り畳む』これは『Signal for Help』助けを求めるハンドサインさ!こうしちゃいられん!電話だ!」

 そう言って母さんは電話へ向かい、何時もの様に元部下の警察署の署長に電話した。




 この後、一件の児童虐待事件が解決された事は後で知った。

 『え?これ某有名な小説っぽくない?』と取り上げて頂いた番組のパーソナリティーお二方から指摘がありましたが、弁解をさせて下さい。

 『味噌汁』というワードを頭の中で捏ねていたら『お婆ちゃん』というイメージが浮かび、お婆ちゃんがミス・マープルに繋がり、味噌汁と推理が合体。結果本作に成りました。


 某『EastRiverTOKUYA』さんの『ディナーのあとで』行われる『謎解きは』関係御座いません。

 パクる気は有りませんでした。指摘されてやっとタイトルの類似性に気付きました。

 ただ、かの名作を読んだ事はあったので、もしかしたら無意識の内にそちらに引き摺られた可能性は御座います。もし無意識下で行われていたとしたら、申し訳有りません。

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― 新着の感想 ―
[一言] signal for help、知りませんでした。 勉強になりました。(`・ω・´) 読ませていただきありがとうございました。
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